95 令和4年度厚労省助成金ピックアップ

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 令和4年度の厚生労働省の助成金から、教育訓練、最低賃金引上げ、高齢者雇用、生産性向上投資といった関心の高いテーマで6つの助成金をピックアップしました。
 6つの助成金の中に、活用できそうなものや興味を引くものがありましたら、早めに厚生労働省の助成金ページやパンフレットに当たってみることをお勧めします。 

   



大学院からサブスクリプション型サービスまでを広くカバーする訓練の助成金

 今年(令和4年)4月に新設されたこのコースは、昨年12月から「人への投資」に関するアイデアを募集した結果を踏まえて制度設計されたもので、次の4つの教育訓練と長期教育訓練休暇等制度の導入・実施への助成をその内容としています。
 ・高度デジタル人材訓練/成長分野等人材訓練
 ・情報技術分野認定実習併用職業訓練
 ・定額制訓練
 ・自発的職業能力開発訓練
  


 ITSS(ITスキル標準)レベル4または3相当の訓練などを対象に、中小企業では、対象経費の75%、訓練期間中の賃金助成が1時間あたり960円という高率・高額の助成が行われます。

 対象となる事業主としては、まず「情報通信業」があります。
 情報通信業以外については、産業競争力競争法に基づく事業適応計画の認定、DX認定(IPA)などの要件のうち1つ以上を満たすことが必要です。
    


 国内外の大学院での正規課程、科目等履修制度、履修証明プログラムによるもののみが対象ですので、活用されるケースは自ずから限られてくると考えられます。  


 IT分野未経験者に対するOFF-JTとOJTの組み合わせ型の訓練で、その訓練計画に公的な認定(厚生労働大臣認定)を受けたものです。

 対象となる事業主は、情報通信業、それ以外ではiT関連業務を主に担う組織などを持つものに限られますが、既存の特定訓練コースより高率の経費助成を受けることができ、昨今のIT人材の不足もあり、企業の訓練需要は高いと考えられます。


 ここでのIT分野未経験者は、文字通りの未経験者に限らず、情報処理・通信技術者としての業務経験が概ね1年未満の者まで含まれます。
(ただし、新規学卒予定者は除きます。) 


 近年多くみられるようになった定額受け放題研修サービス(サブスクリプション)のことです。そのうち、業務上義務付けられ、労働時間に実施される訓練が助成対象となります。
 助成対象経費は、基本料金、訓練に直接要する経費(初期設定費用、アカウント料などが対象となり得る)であり、助成率は中小企業で45%です。
  


 従業員が労働時間外に自発的に行う職務関連訓練です。
 助成対象となるのは、「自発的職業能力開発経費負担制度」を就業規則等に定めた上で、実際に事業主がその経費の1/2以上を負担した場合であり、助成金額は対象経費の30%です。
 この自発的な訓練はOFF-JTですので、受講に際して必要となる入学料・受講料・教科書代等(あらかじめ受講案内等で定めているもの)が事業主負担の対象です。
 


 前記の自発的職業能力開発訓練を行う者を対象に、連続30日以上の連続休暇を含む「長期訓練休暇制度」もしくは「教育訓練短時間勤務等制度」(所定労働時間の短縮及び所定外労働免除制度)を導入して実際に適用した事業主に、制度導入経費(20万円)を支給します。
 また、有給の長期訓練休暇取得に対しては、1日あたり6,000円の賃金助成も行われます。

 人への投資促進コースの訓練のうち情報技術分野認定実習併用職業訓練以外は、有期契約労働者やパートタイム労働者も対象者です。
 ちなみに、人への投資促進コースの修了後に正社員化した場合は、キャリアアップ助成金(正社員化コース)の加算対象になります

 このコースも含めて人材開発支援助成金の対象となる訓練に、この4月から「eラーニング」「通信制」での訓練が対象に加わえられたことで、受講についての時間的な制約が少なくなりより取り組みやすくなっています。  

 上図の業務内容例は、厚生労働省の周知用リーフレットのものですが、訓練期間6カ月以上2年以下、年換算の訓練時間850時間以上という助成要件に即した設定になっています。



事業所内の最低賃金引上げ・生産性向上投資を支援する助成金

 従業員100人以下で、その事業所での最低賃金(事業場内最低賃金)と都道府県の最低賃金の差が30円以内の事業所において、事業所内最低賃金を30円以上引き上げたることが主な助成要件の一つです。
 

 生産性向上のための機器・設備の購入費
 外部専門家による研修やコンサルティング費用など


 POSレジシステム(小売業等)
 スチームコンベクションオーブン(飲食サービス業)
 フォークリフト(製造業)
 調節機能付の電動式ベット(医療・福祉)
 業務用乾燥機(生活関連サービス業)
 治療器具洗浄機(医療・福祉)など


 生産性向上に直接つながらないもの
 例えば、老朽設備の同等性能のものへの更新、単なる経費削減を目的とした経費(LED電球への交換など)など


 対象経費の3/4で、最低賃金の引上げ額(30~90円の4段階)と賃金を引上げた人数(1人~7人以上の4段階)の組み合わせで決まる上限額まで支給されます。

 引上げ前の事業所内最低賃金が900円未満の場合には助成率が4/5にかさ上げされますが、最低賃金889円の北海道では、該当する事業所はそれほど多くはないと考えられます。

別のブログ記事でより詳しく説明しています 



有期雇用からの正社員登用を支援する定番助成金

 次のいずれかの正社員転換を行い、転換後6か月分の支払給与額が転換前6か月から3%以上増額させていることが主な助成要件の一つです。

    

 また、事前に転換実施のための計画(キャリアアップ計画)で労働局の認定を受けておくこと、正社員については、就業規則等で賃金の額または計算方法を明確にして運用していることが求められます。


 ここでの正社員(正規雇用労働者)は、フルタイム勤務・転勤ありだけではなく、短時間勤務の正社員や勤務地限定の正社員、職務限定の正社員(いわゆる「多様な正社員」)も含んでいます。

 ですから、現在の有期契約の社員のうち、週4日以下の勤務、1日6時間勤務や残業免除、家庭の事情で勤務する店舗・工場限定といった方を、限定正社員制度を新設して正社員登用するといった方法での助成金活用も可能です。


 転換した方1人当たりの額で決まっています。
 中小企業では、有期雇用から正社員への転換が57万円、無期雇用から正社員の転換が28.5万円です。

 この他に、転換の対象者が派遣労働者、母子家庭の母等または父子家庭の父、厚労省の別の助成金を利用して特定の訓練を受けた方である場合などに助成金額の加算措置があります。


 今年(令和4年)10月から、対象となる正社員の要件が追加され、
 a) 賞与または退職金制度の対象者であること
 b) 昇給が適用されること
の2つが新たに求められます。

 加えて、転換前の労働者(有期もしくは無期雇用の社員)についても、賃金の額または計算方法が「正社員と異なる雇用区分の就業規則等」が適用されていたことが求められますので、転換日の設定にあたっては注意が必要です。

別のブログ記事でより詳しく説明しています 



有期雇用からの正社員登用での障害者の職場定着を支援する助成金

 次のいずれかの正社員転換などを行い、転換後6か月分の支払給与額が転換前6か月のそれから減額されていないことが主な助成要件の一つです。

   

 また、事前に転換実施のための計画(キャリアアップ計画)で労働局の認定を受けておくこと、正社員については、就業規則等で賃金の額または計算方法を明確にして運用していることが求められます。
 

 正社員化コースと同じく、ここでの正社員(正規雇用労働者)は、フルタイム勤務・転勤ありだけではなく、短時間勤務の正社員や勤務地限定の正社員、職務限定の正社員(いわゆる「多様な正社員」)も含んでいます。


 転換した方1人当たりの額での設定ですが、次の区分ごとに金額は異なります。

    

 例えば、【区分①】で中小企業の場合は、
 ・有期雇用から正社員への転換:120万円
 ・無期雇用から正社員、有期雇用から無期雇用への転換:60万円
 ちなみに、正社員化コースで設定されているような加算措置はありません。


 正社員化コースと異なり、第1期(転換後6か月)、第2期(転換後1年)の2回に分けて受給します。各期の金額は、それぞれ助成金額の1/2です。
(助成金額が120万円の場合は、第1期 60万円、第2期 60万円)


 今年(令和4年)10月から、対象となる正社員の要件が追加され、
 a) 賞与または退職金制度の対象者であること
 b) 昇給が適用されること
の2つが新たに求められます。

 加えて、転換前の労働者(有期もしくは無期雇用の社員)についても、賃金の額または計算方法が「正社員と異なる雇用区分の就業規則等」が適用されていたことが求められますので、転換日の設定にあたっては注意が必要です。

別のブログ記事でより詳しく説明しています 



中小企業主限定でテレワーク導入の取り組みを支援する助成金

 厚生労働省のテレワーク関連の助成金では、長らく新規導入のみを対象としてきましたが、昨年(令和3年)12月からは、過去に試行的に実施していたり、現に試行しているものが、全社的な導入に移行する場合も助成対象に加えられました。
 この対象拡大により、この助成金は、これまでにコロナ感染症流行への一時的・緊急避難的な対応として「試行的なテレワーク」を実施したものの、それ切りになってしまっている企業でのテレワークの本格的立ち上げにも使えるものとなりました。
 

 まず、テレワークの新規導入等に先立ち、テレワークの対象となる労働者の範囲、テレワーク導入に必要な取り組み(機器の導入・運用、研修等)とその所要経費の見積などを取りまとめたテレワーク実施計画に、労働局長の承認を受けます。
 このコースでは、機器等導入助成、目標達成助成の2期に分けて助成金の支給申請を行います。


 テレワーク実施計画の認定日から7か月以内にこの期の支給申請を行います。
 この期に行うことは3つです。
 1つ目は、実施計画記載の取り組み(機器の導入・運用、研修等)を実施し、支給申請までに納品やサービスの提供を受け、支払まで完了すること
 2つ目は、認定日から6か月以内で、3か月の評価期間を設けてテレワークを実施すること
 3つ目は、労働者がテレワークを実施しやすい職場風土作りの取組を行うこと



 機器等導入助成の翌年の同じ3か月間のテレワーク実施状況、離職率の状況がいずれも要件を満たせば、支給対象となります。
 


 テレワーク導入に必要な取り組みである次のa~eの実施に必要な経費です。

 a) テレワーク通信用機器の導入・運用
 b) 労務管理担当者に対する研修の実施
 c) 労働者に対する研修の実施
 d) 外部専門家によるコンサルティングの実施
 e) 就業規則等の作成・変更


 このうち、a の機器導入・運用に含まれるのは、ネットワーク機器、サーバ機器、
NAS機器、ウェブ会議関係機器、サテライトオフィス使用料、テレワーク用サービス利用料です。


 助成対象経費に対して、
 a) 機器等導入助成  30%
 b) 目標達成助成   20% (生産性要件を満たした場合は35%)

 上限額は、a、bそれぞれについて、「テレワーク実施対象労働者数×20万円」

または「100万円」のいずれか低い額です。

別のブログ記事でより詳しく説明しています 



中高齢の有期雇用社員の無期雇用転換を支援する助成金

 50歳以上で定年年齢までの有期雇用労働者について、いわゆる「無期転換ルール」が適用される継続雇用5年超になる前に無期雇用労働者に転換させる制度などを整備した事業主を支援する助成金ものです。


① 転換後6か月以上継続雇用して、6か月分の給与を支払うこと
   (→転換後の給与の増額までは求められていません。)

② 通算雇用期間5年以内の有期雇用社員を無期転換する制度を就業規則等に定めて
  いること
③ 定年年齢60歳以上であり、加えて、65歳までの高年齢者雇用確保措置(継続雇用
  制度、定年延長、定年廃止)を導入済みであること


 まず高齢者雇用管理に関する措置等を実施したうえで、(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構で計画書の認定を受けてから、無期転換の実施という流れになります。


〇 高齢者(55歳以上)を対象とした短日数勤務・短時間勤務等

  (勤務時間等の弾力化)
〇 高齢者対象の人間ドック検診制度、生活習慣病予防検診制度等

  (健康管理、安全衛生の配慮)
〇 高齢者を対象とした技能講習・資格取得講座の受講等

  (職業能力の開発及び向上のための教育訓練の実施等)
 など、7つの措置のうちいずれか一つ以上を就業規則等に定めて制度化した上で実施すればよいとされています。


 中小企業で転換した方1人当たり48万円

 この助成金は、50代の契約社員が在籍し、会社としては正社員化して長期雇用したいが、その社員自身が正社員という働き方を望まないといったケースでの定着促進策としても活用できるものです。

別のブログ記事でより詳しく説明しています 

   

【この投稿の執筆者】
  
 札幌・新道東社労士オフィス代表
    特定社会保険労務士 塚田 秀和

代表 塚田秀和