93 建設アスベスト給付金

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 今年1月19日に「建設アスベスト給付金法」が完全施行されました。
 この法律は、全国各地で提起されていた「建設アスベスト訴訟」のうち横浜1陣と大阪1陣について、昨年5月17日に出された国敗訴の最高裁判決の内容と、判決の翌日に国と建設アスベスト訴訟原告団・弁護団の間で締結された「基本合意書」の内容に沿った形で、議員立法として6月9日に成立し、同月16日に公布されていたものです。
 今回の給付金の概要は、以下のとおりとなっています。
   

給付金の支給を請求できる方

 次の1~3にすべて該当する方が請求できます。

 1 以下の期間ごとに記載の、石綿にさらされる建設業務(特定石綿ばく露建設業務)に従事していた方

  ・石綿の吹付け作業に係る建設業務(昭和47年10月1日~昭和50年9月30日)
  ・一定の屋内作業場で行われた作業に係る建設業務(昭和50年10月1日~平成16年9月30日)

 2 1の業務に従事することにより、次の石綿関連疾病にかかった方
  ・中皮腫
  ・肺がん
  ・著しい呼吸機能障害を伴うびまん性胸膜肥厚
  ・石綿肺(じん肺法のじん肺管理区分のうち管理2~管理4、もしくはこれらに相当するもの)
  ・良性石綿胸水

 3 労働者、一人親方、中小事業主(家族従事者等を含む)のいずれかである方(あった方)

 給付金の対象となる方が、認知症等で請求できない場合は、成年後見制度を活用して後見人の方が請求を行うことができます。また、委任を受けた代理人が請求書を提出する場合は、代理人が請求者本人により適切に代理権を授与された者であることを確認するため、委任状の提出が必要となります。(社会保険労務士が代理する場合、委任状は不要)
   

本人が亡くなっているとき

 その遺族である①配偶者(内縁の方を含む)、②子、③父母、④孫、⑤祖父母、⑥兄弟姉妹が本人名義で請求します。
 (〇番号が、遺族が複数いる場合の請求順位となります。)   

建設業務の定義

 次の①~③の作業に関する業務です。
 ① 土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊または解体の作業
 ② ①の準備の作業
 ③ ①または②の作業に付随する作業(現場監督の作業を含みます。)

屋内作業場の定義

 屋根があり、側面の面積の半分以上が外壁などに囲まれ、外気が入りにくいことにより、石綿の粉じんが滞留するおそれのある作業場

労災保険給付や石綿救済法の特別遺族給付金との関係

 あらかじめ労災保険給付または石綿救済法の特別遺族給付金を請求し支給決定を受けていることは、給付金等の請求に当たっての要件とはされていません。
 ただし、労災保険給付や特別遺族給付金の請求を行いその支給決定を受けた後に給付金等の請求を行った方が給付金申請の手続きが簡易になるため、支給に関するQ&Aではこの流れでの請求をお勧めしています。

     

給付金額

 次の1~7の区分に応じた額が支給されます。

 1 石綿肺管理2で、じん肺法所定の合併症のない方  550万円
 2 石綿肺管理2で、じん肺法所定の合併症のある方  700万円
 3 石綿肺管理3で、じん肺法所定の合併症のない方  800万円
 4 石綿肺管理3で、じん肺法所定の合併症のある方  950万円
 5 中皮腫、肺がん、
   著しい呼吸機能障害を伴うびまん性胸膜肥厚、
   石綿肺管理4、良性石綿胸水である方      1,150万円
 6 上記1、3により亡くなった方         1,200万円
 7 上記2、4、5により亡くなった方       1,300万円
   

上記以外の額から減額して支給する場合

 次のいずれかに当てはまる場合は、上記1~7の額の90%、いずれにも当てはまる場合は81%が支給されます。

 〇 石綿にさらされる建設業務(特定石綿ばく露建設業務)に従事した期間がが疾病別でみて以下の年数より短い場合
    ・肺がん又は石綿肺              10 年
    ・著しい呼吸機能障害を伴うびまん性胸膜肥厚  3年
    ・中皮腫又は良性石綿胸水           1年


 〇 肺がんにかかった方で、喫煙の習慣があった場合
     

損害賠償や給付などを受けている場合の取り扱い

 〇 国からの和解金、判決による賠償金
   この給付金を請求できますが、すでに受けている和解金・賠償金の価額を限度に調整(減額)が行われます。

 〇 国以外の謝(企業など)からの和解金、判決による賠償金
   この給付金を請求できますが、すでに受けている和解金・賠償金による損害補填額の範囲で調整(減額)が行われる

   ことがあります。

 〇 石綿救済法の救済給付
   現に受けている方、既に受けた方のいずれについても、この給付金を請求できます。  
 
     

追加給付金

 給付金を受給した後に、病状が変化するなどして、受給時と異なる区分に該当することとなった場合には、請求により受給済の額との差額を追加給付金として支給します。
 請求の期限の考え方は、その前の給付と同じであり、支給額の減額や調整も行われます。
   

受給の手続き

 次のような流れで手続きが進められます。

 1 請 求 (本人又は遺族→厚生労働省)
    
 2 請求内容の審査 (特定石綿被害建設業務労働者等認定審査委員会)
    
 3 認 定 (審査委員会から通知された結果に基づき厚生労働者で認定)
    
 4 認定結果通知 (厚生労働省→請求者)
    
 5 給付金の支給 ((独)労働者健康安全機構(※)→請求者)

  (※)給付金等の支払に関する事務は、独立行政法人労働者健康安全機構が厚生労働省からの委託を受けて実施。
  

請求の期限

 上記1の請求の期限は、次のイ、ロのいずれかの日から20年以内です。

 イ 石綿関連疾病にかかった旨の医師の診断があった日
 ロ じん肺法の規定によるじん肺管理区分(管理2~管理4に限る)の決定があった日


 本人が石綿関連疾病により亡くなられている場合は、イ、ロによらず、亡くなられた日から20年以内となります。
    

請求の方法

 所定の様式で作成した請求書と必要な添付書類を下記のあて先に、簡易書留、レターパックなど、配達状況や到着の確認ができる郵送方法により送付して請求します。(郵送以外の提出方法はありません。)

  〒100-8916 東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎第5号館
          厚生労働省労働基準局労災管理課 建設アスベスト給付金担当 あて


 給付金の請求に必要な書類については、厚生労働本省のサイトで公開の「建設アスベスト給付金 請求の手引き」で確認てきます。
 請求書などの様式は、厚生労働省本省のサイトからダウンロードできるほか、最寄りの監督署(労働局)でも交付しています。
   

労災支給決定等情報提供サービス

 すでに労災保険給付等の決定を受けている方について、労災保険給付等の支給決定の際に収集した情報のうち給付金の請求に必要となる情報を無料で提供するシステムです。
 このサービスを利用することで、添付書類の一部を省略することができるなどのメリットがあります。


 システムの利用申請は、所定の様式で作成した申請書と本人確認書類を、上記の利用申請と同じ方法で同じあて先に提出することで行います。
 

  厚生労働省本省サイトのページ「建設アスベスト給付金制度について」に、
  この給付金の請求の手引き、Q&A、様式などが掲載されています。