89 令和3年度厚生労働省助成金情報

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 厚生労働省の助成金というと、雇用調整助成金やテレワーク関連に注目が集まっていますが、幅広いテーマをカバーする助成金コースが100コースほど設定されています。
 令和3年度に募集されているもので、多くの会社が取り組めそうなものを拾ってみると、右の5つのテーマのものがありました。

定年・再雇用は、2021(令和3)年4月から努力義務化された70歳までの就業機会の確保に関連したもので、定年延長や66歳以上での継続雇用の導入などを支援します。
 有期契約社員の正社員・無期転換は、従来よりカバーされていましたが、転換後の給与アップの条件が、 2021(令和3)年4月から3%アップに緩和され取り組みやすくなっています。
 男性社員の育児休業の助成金コースは、昨年度(令和2年度)限りで廃止予定のものが、今年1年延長されています。この後、2022(令和4)年10月に新たな育休制度を設けられ男性社員の育休取得がこれまで以上に推進されます。
 育児休業・休業後の職場復帰について、女性の育休取得率は男性より高水準ですが、この補助金コースでは、育休期間中の要員確保や他の社員によるフォロー体制構築への助成・加算、復帰後の育児目的休暇の創設とその利用に対する助成が残っています。
 年休促進・生産性向上の機器導入等は、長時間の時間外勤務の抑制や特別休暇新設といった労働環境の改善と、生産性の低い業務を改善するための機器導入などの取り組みを組み合わせた助成金コースです。ここでの労働環境の改善が、事業所内最低賃金を底上げすることに置き換わった助成金コースもあります。

  

1.定年・継続雇用

【65歳超継続雇用促進コース】

 定年の65歳以上への引き上げや、65歳超の継続雇用などの就業機会確保のための制度整備を行った事業主に対する助成です。

■ 主な支給要件(事業主)

〇 対象となる制度整備を行っていること
〇 対象となる制度を規定した労働協約または就業規則を整備していること

  (このとき、社会保険労務士などの専門家に制度改正のコンサルを依頼する必要があります)
〇 対象となる労働者を1人以上雇用していること
〇 高年齢者雇用管理に関する措置などを行っていること

■ 対象となる制度整備、対象となる労働者など

【対象となる制度整備】

次のうち1つ以上行うことが必要です。

〇 65歳以上への定年引き上げ
〇 定年の廃止
〇 66歳以上の継続雇用制度の導入
〇 他社による継続雇用制度の導入

【対象となる労働者】

次のすべてに該当する必要があります。

〇 その事業主に1年以上継続雇用されていること
〇 60歳以上で、雇用保険の被保険者であること
〇 定年前の無期雇用労働者もしくは
  無期雇用契約でその定年後に継続雇用中の者

高年齢者雇用管理に関する措置など

 高年齢者雇用等推進者を選任した上で、次の高年齢者雇用管理に関する7つの措置から一つ以上実施する必要があります。

〇 教育訓練の実施 (高齢者対象の技能講習、技術継承の為の指導力向上セミナー等)
〇 健康管理、安全衛生の配慮 (各種がん検診、歯周疾患検診、骨粗鬆症検診など)

〇 勤務時間制度の弾力化 (高齢者対象の短時間勤務、隔日勤務、夜勤からの除外等)
〇 作業施設・方法の改善             〇 職域の拡大
〇 知識、経験等を活用できる配置、処遇の改善   〇 賃金体系の見直し

■ 助 成 額

 
  

  ▼ 上の表をわかりやすくするために、
    60歳定年、継続雇用65歳まで、60~64歳までの従業員1~10人の企業で
    取り組んだ場合の例をまとめました。

  
   

ポ イ ン ト

〇 この助成金コースの手続きは、取り組みを完了してからの支給申請のみで、制度の実施(就業
  規則の改正)の翌日から2か月以内に行う必要があります。
〇 この助成金コースでは、支給申請前の事前相談に対応しています。

 ((独法)高齢・障害・求職者雇用支援機構の各支部)

「他社による継続雇用制度」とは、自社が雇用している65歳以上の方が定年後または継続雇
  用年齢の上限に達した後について、他の事業主がその労働者を引き続き雇用する内容の契約を
  締結して運用する制度のことです。

2.有期契約社員の正社員・無期転換

【正社員化コース(キャリアアップ助成金)

 有期契約社員を正規雇用(正社員)に転換する等してキャリアアップした事業主への助成です。

■ 主な支給要件

〇 有期契約社員を正規雇用への転換など
〇 転換後6か月の賃金を、転換前6か月と比較して3%以上アップする

  

■ 助成対象となる転換パターンと労働者

対象となる労働者は、次の2つです。
 ➤ 有期雇用労働者
   雇用期間が、通算6か月以上3年以下
 ➤ 無期雇用労働者
   雇用期間が、通算6か月以上

〇 事業主又は取締役の3親等以内の親族は、

  対象外となりますので注意。

〇 多様な正社員(勤務地限定正社員、職務限

  定正社員、短時間正社員)に転換した場合
  も正規雇用(正社員)に転換したとみなし
 ます。

■ 助 成 額

【助成金加算項目・転換別加算額】

ポ イ ン ト

〇 転換前にあらかじめキャリアアップ計画の作成と認定が必要
〇 賃金アップの要件が、今年、令和3年4月から3%アップに緩和(従来は5%要件)

3.男性社員の育児休業

【出生時両立支援コース(両立支援等助成金)

  男性社員の育児休業・育児目的休暇取得のための取組を行った事業主への助成です。

■ 助成対象となる取り組み

【男性社員の育児休業】

 男性社員を対象とした連続5日以上の育児休業制度をを整備して、次の2つをクリアします。

連続した5日以上の育児休業の取得
 (子の出生後8週間以内に開始すること)


男性社員が育休取得しやすい職場作りの

  取組(育休利用促進のチラシ配布、社内
  研修などから1つ以上実施)

男性社員の育児目的休暇】

 男性社員を対象とした育児目的での休暇制度を整備して、次の2つをクリアします。

所定労働日に5日以上の育児目的休暇の

  取得子の出生前6週間から出生後8週
  間の限定)

男性社員が育児目的休暇を取得しやすい

  職場作りの取組(利用促進のチラシ配布
  社内研修などから1つ以上実施)

■ 助 成 額

【個別支援加算】

 対象男性労働者の育児休業取得前に、次の取り組みをすべて行った場合に助成金の加算措置があります。

a) 法による育児休業の関連制度を、メールや書面により対象者に個別に知らせること
b) 対象者に対して育児休業取得を促す個別面談を行うこと
c) 個別面談対象者の上司に、a)のメールや書面を示して、b)の面談を行って育休取得

  を促している旨を説明

ポ イ ン ト

〇 この助成金コースは、令和2年度末で廃止予定だったのが、今年度まで延長されています。
〇 育児休業期間が5日以上14日未満の場合は所定労働日が4日以上、育児休業期間が14日以上

  の場合は所定労働日が9日以上含まれていることが必要とされています。
〇 育児休業等支援コース(育休取得時・職場復帰時)との併給はできません。
   

4.育児休業・休業後の職場復帰

【出生時両立支援コース(両立支援等助成金)

 このコースは、育児休業取得や職場復帰の為の取組を行った中小事業主への助成です。
(コロナ特例を除く)

■ この助成金の仕組み

 この助成金コースの仕組みを次の図にまとめています。時系列で育児休業時、職場復帰時それぞれの取り組みと支給申請があって、付随するものとして、育休中の業務体制関係の助成や加算、職場復帰後の支援関係の助成があるという見方をすると、分かりやすくなります。
 (コロナ対応の措置である「新型コロナウイルス感染症対応特例」は別途説明します。)

  

  

■ 育児休業時・職場復帰時の取り組みなど

【育児休業時】

育休復帰支援プランによる育児休業取得
  および職場復帰の支援
   具体的には、
  ・支援を行うことの周知
  ・育休取得者とその上司等の面談を実施

   した上でのプラン作成
  ・育休開始の前日までの業務引継実施

〇 育児休業取得
   連続3か月以上の育休取得

職場復帰時

〇 プランによる労働者の職場復帰の支援
  具体的には、
  ・プランに基づく措置の実施
  ・育児休業中の職務や業務内容の情報

    及び資料の提供(文書、メール)
   ・育休終了前の上司等との面談実施
   ・原職または原職相当職への復帰

〇 育休終了から申請日までの間、雇用保険

  被保険者として6か月以上継続雇用

■ 育児中の業務体制関係

代替要員確保時
   育児休業取得者の代替要員を新たに確保し、育児休業取得者を原職等に復帰させた場合に助成
   対象となります。
   (対象となる育児休業が3か月以上、取得者を復帰後6か月継続雇用することが必要です)
   その育休取得者が、期間雇用者の場合は別途加算されます。(有期労働者加算)


〇 職場支援加算
  育児休業中の業務処理について、代替要員を確保する代わりに、別の社員に対象労働者の業務
  を代替させて、その別の社員への手当支払と、残業抑制のための業務見直しを行った場合は、
  別途加算されます。 (職場支援加算)
  

■ 職場復帰後支援

 育児休業から復帰後、仕事と育児の両立が特に困難な時期にある労働者のために、次のような支援制度を導入して実際に利用実績があった場合に、制度導入と利用それぞれが助成されます。
  ・育児・介護休業法を上回る水準の子の看護休暇制度(有給かつ時間単位での取得可能)
  ・保育サービス費用補助制度

  

■ 新型コロナウイルス感染症対応特例

 小学校等の臨時休業等により子どもの世話をする労働者のために、有給の特別休暇と支援制度を整備して、実際に特別休暇の取得があった場合に助成されます。
 ここでいう支援制度は、テレワーク勤務、短時間勤務制度、フレックスタイム、時差出勤等です。

  

■ 助 成 額


   

ポ イ ン ト

育休復帰支援プランについては、厚生労働省HPで育休復帰支援プラン策定マニュアルが公開中
  です。
〇 出生時両立支援コースとの併給はできません。
 

5.年休促進・生産性向上の機器導入等

【労働時間短縮・年休促進支援コース(働き方改革推進支援助成金)

 生産性向上の取り組み、労働時間の縮減や年次有給休暇の促進に向けた環境整備の取り組みに対する助成です。

■ この助成金の仕組み

1⃣ 時間外・休日労働の削減や、特別休暇関連の「成果目標」を一つ以上達成すると、
2⃣ 達成した成果目標に応じて助成額の上限が決まります。

3⃣ 生産性向上のための設備・機器の導入といった「支給対象となる取り組み」の経費について、
  その一定の割合を上限額に達するまで助成します。

※ 2⃣の成果目標とは別に、賃金引上げ目標を設定・達成して助成額(上限額)を積み増すことが

  できます。
    

■ 達成目標・支給対象となる取り組み

【達成目標】

① 時間外労働の上限設定
  ➤36協定で月60時間超の時間外・休日

   労働の上限を定めている事業所での上
   限引き下げ
② 特別休暇の導入
  ➤次の特別休暇から一つ以上を導入

   ・病気休暇    ・教育訓練休暇
   ・ボランティア休暇
   ・新型コロナウイルス感染症対応休暇
   ・不妊治療のための休暇
③ 時間単位年休の導入


※①~③のうち1つ以上選択したうえで、

 追加設定のできる目標が、賃金引上げ
 (3%以上、5%以上)

【支給対象となる取り組み】

① 労務管理担当者に対する研修
② 労働者に対する研修、周知・啓発
③ 外部専門家によるコンサルティング
④ 就業規則、労使協定等の作成・変更
⑤ 人材確保に向けた取組
⑥ 労務管理用ソフトウェアの導入・更新
⑦ 労務管理用機器の導入・更新
⑧ デジタル式運行記録計の導入・更新
⑨ ⑥~⑧に該当しない労働能率の増進に資

  する設備・機器等の導入・更新
 
※ ①、②について、業務研修を含みます。
※ ⑥~⑨について、原則として、パソコン、

  タブレット、スマートフォンは対象とな
  りません。

■ 助 成 額

【補 助 率】

 基本率 3/4。ただし、次の項目すべてに当てはまる場合に限り、4/5
  ・常時使用する労働者数が30人以下の事業所であること
  ・支給対象の取り組みの⑥~⑨から一つ以上実施すること
  ・支給対象の取り組みの⑥~⑨の経費の合計が30万円を超えること

   

助成額の算出ルール

 以下の1⃣、2⃣のうち、いずれか低い額を支給します。
 1⃣ 次項での上限額 (a)~(c)、加算額 (d)の合計額
 2⃣ 対象経費の合計額×補助率(基本率3/4、例外 4/5)

   

上 限 額 (a)  (時間外労働の上限設定)

上 限 額 (b)  特別休暇の導入
上 限 額 (c)
  時間単位年休の導入 は、いずれも50万円

加 算 額 (d)  (賃金引上げ)

ポ イ ン ト

年5日の年次有給休暇の取得に向けて就業規則等を整備していることも申請の要件です。
〇 令和3年度スケジュール:交付申請期限 11月30日、事業実施期限 1月31日、

              支給申請期限  2月10日  

     

【この投稿の執筆者】
  
 札幌・新道東コンサルオフィス代表
    特定社会保険労務士 塚田 秀和

代表 塚田秀和