89 人材確保等支援助成金(テレワークコース)

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 この助成金は、中小企業主限定の厚生労働省助成金で、在宅またはサテライトでのテレワーク導入を対象としています。昨年(2021年)にテレワーク用通信機器等の導入支援として、対象となる機器や使用料などの範囲が広げられて取り組みやすさが増しています。
 一連の流れは、下図のとおりでテレワーク導入と2回の実施期間での取り組みに助成する形となっています。

 この助成金の申請マニュアルでの例示では、テレワーク実施計画の提出から2回目の受給申請(目標達成助成)の提出まで1年6か月余りですが、実務上はその後に、労働局での2回目の受給申請の内容審査と支給に必要な期間も見込んでおく必要があります。

   

1. 助成対象となる事業主

 対象となるのは、右表の中小企業事業主のうち、テレワーク導入に関して、次のイ、ロいずれかに該当する者です。

 イ テレワーク勤務を新規に導入する事業主
 ロ テレワーク勤務を試行的に導入している事業主

    (→試行的に導入していた場合も含む。)

 厚生労働省のテレワーク関連の助成金では、長らく新規導入のみを対象としてきましたが、昨年(令和3年)12月から施行的導入も対象に加えられました。

①、②のいずれかに該当するのが中小企業事業主

 ここでいう「試行的」とは、この助成金でのテレワークの取り組み以前のもの(現に実施しているもの)が次の2つのいずれにも当てはまる場合です。

a) テレワークの対象が、一部の部門や一部の労働者であること
    (→全社的な実施は、試行的とは言えない。)

b) テレワークの内容や対象労働者について、就業規則や労働協約に規定していないこと
    (→就業規則や労働協約に定めて周知すれば、会社として制度導入しており、試行的とは言えない。)

 試行的な導入をしている(又はしていた)事業主まで対象が拡げられたことで、この助成金は、これまでにコロナ感染症流行への緊急避難的な対応として「試行的なテレワーク」を実施したものの、それ切りになってしまっている企業でのテレワークの本格的立ち上げなどにも使えるものとなりました。   

※ この他に、機器導入、目標達成の2度の助成時でそれぞれの要件があります。

   

2. テレワーク実施計画

 テレワークなどの実施に先立ち、申請対象事業主の事業所でのテレワーク実施内容などについて、次のイ~ホを「テレワーク実施計画」にまとめて、都道府県労働局に提出して局長認定を受けます。

イ テレワーク実施対象労働者(名簿を添付)
ロ 実施する「テレワークを可能にする取組」を1つ以上
ハ ロの取組の税込みの経費見積額(見積内訳等を添付)とそれに基づく申請予定額
ニ 就業規則等の整備予定
ホ 計画時離職率
 

 実施計画の府県労働局への提出期限は、以下のいずれか早い日の1か月前の日の前日までです。

a) テレワークを可能とする取組の実施予定日のうち最も早い日
b) テレワークの評価期間3か月(機器等導入助成)の開始予定日

例えば、
 ⅰ) テレワークを可能とする取組の実施予定日のうち最も早い日:令和4年7月7日
 ⅱ) 評価期間(機器等導入助成)の初日:令和4年9月1日

の場合、実施計画の提出期限は、より早い日であるⅰ)の1か月前6月7日の前日である令和4年6月6日となります。
  

受け入れている派遣労働者のテレワーク

 受け入れている派遣労働者も、前記イのテレワーク実施対象労働者に含めることができます。
 ただし、実施対象労働者のすべてが派遣労働者である実施計画は承認されず、少なくとも1人は直接雇用の労働者を含める必要がります。

  

この助成金での2つの離職率

計画時離職率

 テレワーク実施計画提出日の前月からさかのぼる12か月(計画時離職率算定期間)の離職率で、実施計画書に記載する率です。

(例)実施計画提出日が令和4年6月1日のとき、 令和3年6月1日から4年5月31日まで
  

評価時離職率

 評価期間(機器等導入助成)の末日の翌日起算で12か月経過する日までの期間(評価時離職率算定期間)の離職率で、目標達成助成(2回目の助成金支給)の要件を判断するのに使います。

(例)評価期間(機器等導入助成)の末日が令和4年11月30日のときは、
   令和4年12月1日から5年11月30日まで
  

離職率算定期間とテレワーク評価期間等との関係


  

【離職率の算出式】

離職率(%)= 算定期間に離職した労働者数 / 算定期間初日の労働者数 × 100

・離職した労働者数は、定年退職者、重責解雇者、役員昇格者を除いた人数。
・算定期間初日の労働者数は、その事業主が直接雇用する労働者数で、雇用保険の

 一般被保険者ではない者も含みます。 

   

3. テレワークを可能にする取組

 次のイ~ホの取り組みのうち1つ以上について、その実施内容と税込みの経費見積額をテレワーク実施計画に記載し、計画認定日から7か月以内に完了(※)させます。
 それぞれの取組について助成対象となる範囲は、「7. 対象経費の範囲」を参照してください。

イ テレワーク用通信機器等の導入・運用
ロ 労務管理担当者に対する研修の実施
ハ 労働者に対する研修の実施
ニ 外部専門家によるコンサルティングの実施
ホ 就業規則等の作成・変更

(※)ここでの完了とは、「取り組みの実施に必要な契約行為から取り組みの実施を経て、代金や報酬の支払いまで」の
   一連の流れを完結させることです。

実施計画書どおりの内容で取り組みを行っても支給対象外となるケース

a) 機器購入やコンサルティングなどの契約を認定日前に行っていた場合
b) 機器の納入やコンサルティング等が、認定日から7か月以内(もしくは支給申請までの間)に実施され

 なかった場合
c) 機器の代金やコンサルティング報酬等の支払いが、機器等導入助成の支給申請提出日までに行われなか

 った場合

   

4. 評価期間のテレワーク実施状況評価

 この助成金の取り組みとして2度の評価期間ごとにテレワークの実施状況を評価します。
  

実 施 期 間

実施計画の認定日起算で6か月経過日までの間で、事業主が任意に設定する3か月の期間です。

(例)実施計画認定日が令和3年12月21日の場合は、令和4年6月20日までの間で設定可能なので、
   令和4年3月1日から同年5月31日までの3か月とした。

実 施 実 績

評価期間のテレワーク実施実績として次のいずれかを満たすものが求められます。
この実施実績が、機器

等導入助成の支給申請(1回目の支給申請)の要件となります。

・対象者全員が1回以上テレワークを実施
・対象者のテレワーク実施回数の週間平均が1回以上

実 施 期 間

前の評価期間(機器等導入助成)初日から12か月経過した日から3か月間です。
  ⇒ 評価期間(機器等導入助成)設定の時点で、この評価期間(目標達成助成)も決まる

(例)評価期間(機器等導入助成)が令和4年3月1日から同年5月31日までの場合、
   評価期間(目標達成助成)は、令和5年3月1日から同年5月21日までとなります。

実 施 実 績

評価期間のテレワーク実施実績として以下の基準を満たすことが求められます。
この実施実績が、目標達成助成の支給申請(2回目の支給申請)の要件となります。

評価期間(目標達成助成)に1回以上テレワークを実施した対象者数が、
 次の式での算出人数以上であること

各評価期間の日程設定

 機器等導入助成の評価期間は、認定日以降に開始し、認定日から6か月以内に終了する形であれば、事業主が任意に設定できます。そして、機器等導入助成の評価期間を設定した時点で、目標達成助成のそれも翌年の同じ3か月に決定します。
 認定日以降に評価期間を変更する場合は、テレワーク実施計画の変更で対応します。

  

5. 就業規則等の整備・施行 (テレワーク勤務に関する制度の規定)

 この助成金では、テレワーク勤務に関する制度の導入として、次のイ、ロについて規定した就業規則又は労働協約を整備(※)・施行する必要があります。

イ テレワークの定義、テレワーク勤務の対象者の範囲、テレワーク勤務を行う際の手続、テレワーク勤務を行う
 際の留意事項に関する規定

ロ テレワーク勤務者について、労働時間、人事評価、人材育成、費用負担又は手当に関してテレワーク勤務者以

 外の者と異なる取り扱いをする場合のその内容
   (→異なる取り扱いをしない場合は、その旨を就業規則等に明示

(※)ここでの整備は、就業規則の労働基準監督署への届出まで含みます。(残すは施行のみというところまで進める)
  

 就業規則等の整備や施行については、次の期限までに行います。  

a) 就業規則等の整備 : 機器等導入助成に係る支給申請書の提出日まで
b) 就業規則等の施行 : 評価期間(目標達成助成)開始日の前日まで

  

就業規則等の整備・施行とテレワーク評価期間等との関係


 

 就業規則等での関連規定の整備・施行が、テレワーク勤務に関する制度の整備となるため、テレワーク実施計画提出の時点で、上記イ、ロに関する内容をいずれか1つでも規定していた場合は、この助成金の対象外となります。

  

6. 助成金支給額

支 給 要 件

イ 認定された実施計画のテレワークを可能にする取り組みを行い、支払まで完了していること
ロ 評価期間(機器等導入助成)のテレワークの実績が要件を満たしていること

ハ 労働者がテレワークを実施しやすい職場風土作りの取組を行う事業主であること
をすべて満たすことです。

上記ハの職場風土作りの取り組みを行う事業主

 すべての社員に周知されている全社的な取組で、次の事例が挙げられています。
 この取り組みは、機器等導入助成に係る支給申請書の提出日前日までに実施する必要があります。

a) テレワーク実施促進について企業トップ等からのメッセージの発信及び社内呼びかけ
b) テレワーク実施を促進するための資料配布等及び社内周知
c) テレワーク導入又は実施の事例収集及び社内周知


 機器等導入助成の申請書に添付する書類として、この職場風土作りの取組を周知した日付が分かるものが求められています。
 例えば、
 ⅰ) メール送信・回覧の場合は全労働者に送信・回覧されたことが確認できるもの
 ⅱ) 社内に掲示した場合は社内に掲示していることが客観的に分かる写真等

支 給 額

テレワークを可能とする取組の実施に要した経費(支給対象経費)の30%

支給上限額

「テレワーク実施対象労働者数×20万円」または「100万円」のいずれか低い額

申請の期限

計画認定日から起算して7か月以内
(事務所所在地の都道府県労働局に支給申請書を提出)
   

支 給 要 件

イ 評価期間(目標達成助成)のテレワークの実績が要件を満たしていること
ロ 評価時離職率が、計画時離職率以下となっていること

ハ 評価時離職率が30%以下となっていること
をすべて満たすことです。

※離職率については、前記「1. 助成対象となる事業主」の「この助成金での2つの離職率」を参照

支 給 額

テレワークを可能とする取組の実施に要した経費(支給対象経費)の20%
(生産性要件を満たした場合は35%)

支給上限額

「テレワーク実施対象労働者数×20万円」または「100万円」のいずれか低い額

申請の期限

評価時離職率算定期間の末日(評価期間(目標達成助成)の末日)の翌日起算で1か月以内
(事務所所在地の都道府県労働局に支給申請書を提出)

   

7. 対象経費の範囲

 以下での【 】書きは、該当する項目での経費計上の上限額(税込)です。

ネットワーク機器

a) ネットワーク機器(VPNルータ、Wi-Fiルータ(据置型・モバイル型)
b) Wi-Fiアクセスポイント及び中継器
c) Wi-Fiレシーバ(アダプタ)
d) USBデータ通信端末
e) リモート電源制御(WOL)機器)
f) ネットワーク機器に付随する機器等

    【a~f の機器等の購入・設置・設定・保守費用で合計16万5千円】
  

サーバ機器

a) 物理サーバ1台及びサーバに付随する機器等の購入・設置・設定・保守費用
b) 仮想サーバの導入・構築・設定・保守費用
    【a、b のいずれか一つのみ対象として55万円】
  

NAS機器

a) NAS1台及びNASに付随する機器等の購入、設置、設定、保守費用
    【aで11万円】
  

セキュリティ機器

a) セキュリティ機器(アプライアンス型統合脅威管理装置(UTM))
b) ネットワーク脅威対策製品(ファイアウォール装置、侵入検知・防御装置)
c) セキュリティ管理に用いる認証装置
   (ワンタイムパスワードトークン、生体〈静脈・顔・指紋〉認証装置、ICカードリーダ、デバイス制御機器)
d) セキュリティ機器に付随する機器等

    【a~d の機器等の購入、設置、設定、保守費用で合計33万円】
  

ウェブ会議関係機器

a) ウェブカメラ
b) マイク
c) スピーカー
d) ヘッドセット
e) ヘッドフォン
f) イヤフォン

    テレワーク実施対象労働者が使用するa~f の機器で、対象労働者1人あたり合計1万1千円
  

サテライトオフィス利用料

a) 評価期間(機器等導入助成)における利用料
    【aの最大3か月分で33万円】
  

テレワーク用サービス利用料

a) リモートアクセス及びリモートデスクトップサービス
b) 仮想デスクトップサービス
c) クラウドPBXサービス
d) web会議等に用いるコミュニケーションサービス
e) ウイルス対策及びエンドポイントセキュリティサービス

    【a~e のサービスの導入に係る初期費用で、合計5万5千円(当該サービスに必要不可欠なもの限る。)】
    a~e のサービスの利用料で合計38万5千円
  

a) 労務管理担当者に対し研修を行う専門家への謝金
b) 研修を行う専門家の旅費
c) 研修に参加する労務管理担当者の旅費
d) 研修会場の借料
e) 資料作成・印刷費
    【a~eの合計で11万円、そのうち旅費は1万1千円まで】
  

a) 労働者に対し研修を行う専門家への謝金
b) 研修を行う専門家の旅費
c) 研修に参加する労働者の旅費
d) 研修会場の借料、資料作成・印刷費
    【a~dの合計で11万円、そのうち旅費は1万1千円まで】

  

a) コンサルティングを行う専門家への謝金
b) コンサルティングを行う専門家の旅費
c) 資料作成・印刷費
    【 a~cの合計で33万円、そのうち旅費は1万1千円まで】
  

a) 就業規則・労働協約の作成・変更費用 【11万円】
b) 労使協定の作成・変更費用 【1万1千円】
  

支給対象外経費の例

a) 不動産賃料(自社のサテライトオフィスとして利用する物件の賃料等)
b) サテライトオフィスに設置する機器等の購入費用
c) 通信費
d) 事業所間の通信に係る費用(事業所間をつなぐウェブ会議関係機器費用等)
e) 通信回線工事費(事業所及び自宅の光回線やLAN等の整備費用)
f) ポイントにより支払われた費用
g) テレワーク用通信機器等の販売を業として行っていることが証明できない会社・個人事業主からの、
  テレワーク用通信機器等の購入費用
h) 料金体系が従量課金方式である費用