86 業務改善助成金(特例コース)

  1. ホーム
  2. 厚労省助成金
  3. 86 業務改善助成金(特例コース)

 厚生労働省の業務改善助成金については、令和3年度補正予算にその特例的な拡充(予算:135億円)が盛り込まれ、今年1月13日にこれまでのコース(通常コース)とは別に、「特例コース」として交付申請の受付が開始されています。
 受付の締切りは、当初の3月末から、今年7月29日に延長済みです。

 なお、このコースでの「特例的な拡充」とは、助成対象経費を通常コースでは対象外となってしまう「設備投資等の関連経費」にまで拡げていることです。

  

助成対象経費の拡充(設備投資の関連経費)

 通常コースでは、助成対象外であった広告宣伝費などのうち、生産向上等に資する設備投資等の関連費用として業務改善計画に計上して認められたものに限り、対象経費となります。(設備投資の関連経費)

 厚生労働省のペーパーでは、関連経費の活用例として、

〇 デリバリーサービス拡大のためのデリバリー用バイクの導入(本来の助成対象である設備投資等)に対して、

  その関連経費(特例的な助成対象)として、広告宣伝費を支出して、デリバリーサービスの宣伝を行う場合

〇 サテライトオフィス新設に伴うテレワーク機器の新規導入(本来の助成対象)に対して、その関連経費
  (特例的な助成対象)として、コピー機、プリンター、事務机・椅子等の備品等購入費を支出して、
  サテライトオフィスの業務環境を整備する場合
の2つが挙げられています。


   

助成対象となる事業主(事業場)

このコースの助成対象となるのは、次の①~③のすべてを満たす中小企業事業者です。

右表に該当する中小企業主であること
  なお、特例コースでは、100人以下の事業場の要件
  (通常コースの要件)はありません。


② 新型コロナウイルス感染症の影響により、
 「売上高または生産量等を示す指標の令和3年4月から
 同年12月までの間の連続した任意の3か月間の平均値」
 が、前年または前々年同期に比べ、30%以上減少して
 いる事業者であること

③ 令和3年7月16日から同年12月31日までの間に事業場内最低賃金を30円以上引き上げて(※)、支払を行っていること
  (最低賃金の引上げ日以後の最初の賃金支払日が、交付申請日以降である場合を除く。)

   (※) 引き上げ前の事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が30円以内の事業場に限ります。

  なお、 令和3年7月16日から12月31日までの間の日に遡って賃金引上げを行うことも認められていますが、その場合に
  は、助成金交付申請日前に引上げた賃金の支払いまで行う必要があります。
  

生産指標が30%以上減少したことを判断する「売上高等」

 生産指標は、売上高、生産量、販売量、仕入量の他、例えば、宿泊業であれば「客室の稼働率」「客数」、建設業であれば「工事請負契約数」なども含まれます。

事業開始から1年未満の事業主

 事業開始から1年に満たない場合で、前年同期と比較することができない場合は、事業開始日以降で労働者を雇ってから令和3 年4 月から令和3 年12 月までの間の適当な月の指標で判断します。

事業場内最低賃金

 その事業場における雇入れ後3月を経過した労働者の当該事業場で最も低い時間当たりの賃金額

遡って賃金を引き上げる場合における、既に退職した労働者の取り扱い

 賃金引き上げ日以降に退職している場合であっても、引き上げ後の差額分を支払う必要があります。

定年退職後の再雇用に際して賃金が減少する場合の取り扱い

 賃金規程に基づく賃金の減少については、このケースの他、賃金体系上、高齢期にいわゆる賃金カーブが右肩下がりになっていることによるものについても、要綱でいう賃金引下げには該当しません。

人事評価に基づく賃金引下げがあった場合の取り扱い

 要領上、人事評価制度による賃金額の見直し等正当な理由によると所轄労働局長が認めた場合は、賃金の引下げには当たらないとされています。

   

対 象 経 費

設備投資等の対象経費から除外されるもの

 ※ ②、③のうち、生産性向上等に資する設備投資等の関連費用として業務改善計画に計上して
   認められたものに限り対象経費となります。

① 単なる経費削減を目的とした経費((例)LED電球への交換等)
② 不快感の軽減や快適化を図ることを目的とした職場環境の改善経費
  (例:エアコン設置、執務室の拡大、机・椅子の増設等)

③ 通常の事業活動に伴う経費
  (例:事務所借料、光熱費、従業員賃金、交際費、消耗品費、通信費、汎用事務機器購入費、
   広告宣伝費等)
④ 法令等で設置が義務づけられ、当然整備すべきとされているにもかかわらず義務を怠っていた場合に
  おける、当該法令等で義務づけられたものの整備に係る経費及び事業を実施する上で必須となる資格
 の取得に係る経費
⑤ 交付決定日以前に導入又は実施した経費
⑥ 申請事業場の生産性向上、労働能率の増進が認められないと所轄労働局長が判断したもの
⑦ 経費の算出が適正でないと所轄労働局長が判断したもの

   

助 成 額

 助成額は、対象経費の3/4で、賃金を引き上げた人数(引上げ労働者数)により上限額が設定されています。
 また、通常コースのように最低賃金の引上げ幅による上限額の差は付けられておらず、シングルレートとなっています。

 事業場内最低賃金を引き上げた労働者の「引上げ後の賃金額」を下回る労働者の賃金額を30円以上引き上げた場合は、その労働者を引上げ労働者数に含めます。

交付決定後に退職した労働者

 賃金引上げ後退職までの間に勤務し、それに応じた賃金が支払われているときは、その日数如何にかかわらず助成対象となりますが、事業実績報告書提出の際は、様式第9号別紙2の「12 その他」欄にその旨付記してください。

産前産後休暇中等で引上げ後の賃金支払実績のない、もしくは少ない労働者

 賃金引上げ前に産前産後休暇又は育児休業を取得したため、その労働者に対する引上げ後の賃金の支払が全くない場合は、賃金引上げが実際になされたかが確認できないため助成対象とはなりません。
 ただし、事業実績報告書提出までに職場復帰し、賃金引上げ後に1日でも勤務し、引上げ後の賃金が支払われた場合は助成対象となります。

雇入れ後3月未満の労働者

 引き上げる労働者の雇用期間についての定めはなく、雇入れ後3月未満の労働者も「引上げ後の賃金額を下回る労働者」に該当し得ます。

   

一連の手続きと今後のスケジュール

 手続き・実施の流れは右図のとおりですが、留意する点は、

〇 通常コースでは、交付決定後に賃金引上計画に基づいて賃金引上げを行います
  が、今回の特例コースでは、助成金交付申請までに引上げを行い、支払いまで
  終えておく必要があります。

〇 通常コースでは、交付申請書に「業務改善計画(設備投資などの実施計画)」と
 「賃金引上計画(事業場内最低賃金の引上計画)」の2つの計画を記載しますが
  特例コースでは、更新申請日前に最低賃金を引き上げるので、賃金引上計画の作
  成はありません。


〇 事業場内最賃の引上げ後の賃金額を定める就業規則の改正等の手続きは、交付
  申請前に行う必要があります。


〇 設備投資として申請した導入機器の発注は、交付申請後であれば、交付決定前で
  も問題はありません。ただし、納品は、交付決定後でなければなりません。


助成金支給後に、賃金を引き上げてから次のいずれか遅い日までの期間における
  解雇等の有無や引き上げ後6か月の対象労働者の賃金について
状況報告書を提
  出します。
  ・助成金の支払請求手続を行った日の前日
  ・賃金を引き上げてから6月を経過した日

【今後のスケジュール】

 1月13日から始まった交付申請は、今年7月29日が締め切りで、同じ日までに助成対象の事業(設備投資の実施、関連経費の執行及び支払いまで)を完了しておく必要があります。