86 介護休業と介護休暇

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介 護 休 業

介護休業とは?

 負傷、疾病又は身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上にわたり常時介護(歩行、排泄、食事等の日常生活に必要な便宜を供与すること)を必要とする状態にある家族を介護するための休業で、対象家族の介護をする労働者が事業主に申し出ることにより取得できます。      

  

常時介護を必要とする状態

 次のイ、ロのいずれかに該当する場合です。

イ 介護保険制度の要介護状態区分において要介護2以上であること

ロ 状態①~⑫のうち、2が2つ以上または3が1つ以上該当し、かつ、その状態が継続する

  と認められること。

 詳細については、「常時介護を必要とする状態に関する判断基準」(厚生労働省資料) を
右のリンク先から確認してください。                 ➤こちらから

 ここでの判断は、あくまでも判断基準を参照して行うものであり、介護保険の要介護状態区分などによるものではありません。ですから、介護保険の要介護認定の結果通知書や医師の診断書の提出を制度利用の条件とすることはできません。
      

常時介護を必要とする状態に関する判断基準の「状態①~⑫」

① 座位保持(10分間一人で座っていることができる)
② 歩行(立ち止まらず、座り込まずに5m程度歩くことができる)
③ 移乗(ベッドと車いす、車いすと便座の間を移るなどの乗り移りの動作)
④ 水分・食事摂取
⑤ 排泄
⑥ 衣類の着脱
⑦ 意思の伝達
⑧ 外出すると戻れない
⑨ 物を壊したり衣類を破くことがある
⑩ 周囲の者が何らかの対応をとらなければならないほどの物忘れがある
⑪ 薬の内服
⑫ 日常の意思決定

  

対象となる家族の範囲

 介護をする労働者との関係で、

・配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)
・父母 (実父母のみならず養父母を含む。)
・子  (実子のみならず養子を含む。)
・配偶者の父母 (実父母のみならず養父母を含む。)
・祖父母、兄弟姉妹、孫
   

  

申出ができる労働者

 以下のいずれかに該当する者でなければ、事業主に対して介護休業の申出をできます。

・日々雇用されるもの
・労使協定で、介護休業ができないものと定められた者
・有期契約労働者のうち、その労働契約(更新後の契約を含む)が「休業開始予定日起算で93日を経過する日
 から、更に6か月を経過する日」までに満了することが明らかな者

日々雇用されるもの

 1日単位の労働契約期間で雇われ、その日の終了により労働契約も終了する契約形式の労働者。

 ただし、労働契約の上では日々雇用となっていても、その労働の実態が、期間の定めのない契約(無期契約)と実質的に異ならない状態である場合は、実質的に無期契約の労働者として育児休業や介護休業の対象となります。
  

労使協定で介護休業ができないものと定めることができる者

イ 介護休業申出の時点でその事業主に引き続き雇用された期間が1年に満たない労働者
ロ 申出の日から93日以内に雇用関係が終了することが明らかな労働者
ハ 1週間の所定労働日数が2日以下である労働者


 ※ 労使協定とは、事業主と過半数労働組合もしくは過半数代表者との協定
   

事業主に引き続き雇用された期間

 事業所間異動があった場合でも、各事業所での雇用期間を通算します。
 また、労働組合の専従者となっている期間、長期療養等のための休職期間のように、労務の提供が行われていない期間も、労働契約関係が継続する限り雇用された期間とします。
  

1週間の所定労働日数の判断

 原則として休業申出の時点までの1か月間の状況等を踏まえて判断します。

  

取得日数と回数

 対象家族ごとに、回数は3回まで、日数は通算で93日まで取得できます。
   ⇒ 休日(労働日でない日)も含めた日数で計算

 1回の休業日数の下限、1回目の休業開始日から3回目の休業終了までの期間制限は法律上ありませんし、事業所ごとに定めることも原則できません。
 ですから、その事業所が法定の回数及び日数の介護休業制度であれば、 次の例のようなことも可能です。

例えば、 ・3回休業で、8日+20日+65日といった配分をすること
     ・1回目の休業と2回目の間隔を1年以上空けること

 ただし、その事業所の介護休業制度が法定以上の制度(例えば、回数4回、日数180日)であれば、そのうち法定の回数、日数を超える部分(例えば、4回目、94~180日目)については、事業主が休業日数の下限や取得期間の制限を設けることができます。
 

複数の対象家族について介護休業を取得する場合

  介護休業日数は、個々の労働者について、対象家族ごとに計算します。

【例】
・労働者の父について:3回、93日の介護休業
・配偶者の母について:2回、65日の介護休業


 この場合、労働者の父についての新たな介護休業の取得はできませんが、配偶者の母については、1回、28日までの新たな介護休業の取得が可能です。
  

同一の対象家族について他の事業主の下で介護休業をしたことがある場合

 以前に、他の事業主の下で取得した介護休業日数は、現在の事業主の下での介護休業日数には算入しません

【例】(同一の家族について)
以前の事業主A:1回、28日の介護休業
現在の事業主B:1回、28日の介護休業


 この場合、現在の事業主Bの下で、この先介護休業を取得可能な回数は2回、休業可能な日数は65日です。
  

  

手続きについて

休業の申出の内容

対象家族の氏名とその労働者との続柄、要介護状態にある事実、介護休業の開始
 予定日と終了予定日等

〇 申出の開始予定日から
  実際に休業するには

開始予定日2週間前までの申出が必要

事 業 主 の 対 応

・経営困難、事業繁忙その他どのような理由があっても適法な介護休業申出を拒む
 ことはできない。
   ⇒ 例外は、法の定めや労使協定により申出することができないとされた労働者
     からの申出

申出を受けた後に、その申出を受けた旨、申出の介護休業の開始予定日と終了予定
 日を労働者に速やかに通知しなければならない。
    ⇒ 申出を拒む場合は、その旨、その理由もあわせて通知が必要

休業開始予定日の変更

法令の定めはありませんが、事業所で手続きを定めて運用することは可能

休業終了予定日の変更

繰り下げは、1回に限り、休業終了予定日の2週間前までに申出が可能
   ⇒ 終了予定日の2週間前までに行われなかった申出を事業主は拒める


繰り上げには、法令の定めはありません。

休業の申出の撤回

介護休業開始予定日の前日まで可能

  

介護休業の開始予定日の2週間前までに申出をしなかった場合

 その場合には、申出の休業開始予定日と、申出日の翌日起算で2週間経過する日までの間で、事業主が休業開始予定日を指定して申し出た労働者に通知することができます。
 その際の事業主の休業開始日指定の通知は、申出日の翌日起算で3日以内に行います。

【例】
・労働者の申出日:1月10日
・申出の休業開始予定日:1月20日


 事業主は、労働者申出の開始予定日1月20日と、申出日の翌日起算での2週間経過日である1月24日の間で、開始予定日を指定できます。
 事業主の指定した開始予定日の通知は、申出日の翌日起算で3日経過日の1月13日までに行います。

  

  

撤回した介護休業申出に係る対象家族についての再度の申出

 撤回後、再度の介護休業申出は、1回の介護休業につき1回に限りできます。
 例えば、1回目を撤回後の再度の申出による介護休業は1回目の休業とされますので、改めて2回目の介護休業を申し出て取得することが可能です。
 ただし、再度の撤回が行われた(撤回を2度続けた)場合は、事業主は、その後になされる同じ対象家族についての申出を拒むことができます。

   

申出等の方法

 労働者からの申出や、事業主からの通知の方法は、次の①~③のいずれかで①が原則の方法、②と③は事業主が認めた場合に使用可能となります。

① 書面を提出する方法(手交もしくは郵送)
② ファクシミリを利用して送信する方法
③ 電気通信回線を通じて事業主の使用に係る通信端末機器に送信する方法
  

 ③の方法は、電子メール等の記録を出力することで書面を作成できることが前提となっています。
 その前提で、電子メール以外にも、イントラネット(企業内LAN)、SNS(LINE、Facebook など)を利用した申出が認められています

  

申出がされなかったものとみなされる場合

 介護休業開始予定日の前日までに、以下のような「対象家族を介護しないこととなった場合」に該当したときは、休業の申出がされなかったものとみなされます。
   ⇒ 労働者の申出と事業主の通知がいずれもなかったことになる

・対象家族の死亡
・離婚、婚姻の取消、離縁等による対象家族との親族関係の消滅
・労働者が負傷、疾病等により対象家族を介護できない状態になったこと

  

休業期間の満了以外の終了事由

 次の場合には、申出をした労働者の意思にかかわらず介護休業の期間は終了します。

・労働者が介護休業の申出に係る対象家族を介護しないこととなった場合
・介護休業をしている労働者について産前産後休業、育児休業又は新たな介護休業が始まった場合

  

介 護 休 暇

〇 申出ができる労働者

介護休業と同じで、要介護状態にある対象家族の介護や世話をする労働者日々雇用される者を除く)ですが、労使協定で次に該当する者を対象外とすることができます。

・その事業主の継続雇用期間が6か月に満たない労働者
・週所定の労働日数が2日以下の労働者
・時間単位での取得が困難と認められる業務に従事する労働者

  (→1日単位での取得は可能)

介護休暇の対象となる世話

 次のイ、ロのことですが、対象家族を直接介護するものに限らず、対象家族のために行う家事や買い物等も、対象家族の世話と認められるものであれば含まれる。

イ 対象家族の介護
 対象家族の通院等の付添い、対象家族が介護サービスの適用を受ける
 ために必要な手続きの代行その他の対象家族に必要な世話
   

時間単位での取得が困難と認められる業務

 指針(厚生労働省告示)では、次のとおり参考例を示しています。

イ 国際路線等に就航する航空機において従事する客室乗務員等の業務等で
 あって、所定労働時間の途中まで又は途中から介護休暇を取得させること
 が困難な業務

ロ ⾧時間の移動を要する遠隔地で行う業務であって、時間単位の介護休暇
 を取得した後の勤務時間又は取得する前の勤務時間では処理することが困
 難な業務

ハ 流れ作業方式や交替制勤務による業務であって、時間単位で介護休暇を
 取得する者を勤務体制に組み込むことによって業務を遂行することが困難
 な業務

〇 申 出 の 方 法 な ど

・口頭での申出が可能であり、休暇取得当日に電話により申出があった場合でも事業主
 は拒むことはできない。
  (→世話を必要とする日に休暇の権利を保障する制度であるため)

・申出書の提出を定めていた場合でも、その提出は事後でも差し支えないものとすべき
 とされている。

〇 取得日数の上限など

・一年度(4/1~3/31)あたり5日(対象家族が2人以上の場合は10日)
・取得単位は、時間もしくは1日。

・この休暇の時間単位での取得について、法律ではいわゆる「中抜け」の定めまでは
 義務化していません。
 (→始業時間から連続、または就業時間まで連続した時間単位での取得を求める)

介護休暇制度の規定がある事業所は6割強、30人以上に限ると約8割となっています。
 (厚生労働省実施の令和2年度雇用均等基本調査による) 

  

介護休業・介護休暇以外の措置

 介護休業・介護休暇以外の措置として、所定外労働の制限、時間外労働の制限、深夜業の制限、所定労働時間の短縮等の措置の4つが事業主の法律上の義務となっています。
 これらのうち、所定外労働の制限と時間外労働の制限を重複して請求することはできません。
   

所定外労働の制限

・介護休業と同じく、要介護状態にある対象家族の介護や世話をする労働者(※)が
 請求した場合に、所定労働時間を超えての労働を不可とするもの。
  (→事業の正常な運営を妨げる場合に限り、事業主は請求を拒否できる。)

(※)日々雇用される者は除く。
   また、労使協定により、その事業主の継続雇用1年未満、週の所定労働時間2日
   以下の労働者を対象外とすることが可能。

・1回の請求期間は1か月以上1年以内であり、開始予定日の1か月前までに事業主に
 請求します。なお、回数の制限はありません。

・対象家族を介護しないこととなった場合、制限期間中の者が新たに産前産後休業、
 育児休業又は介護休業が開始した場合には、その時点で制限期間は終了します。

・制度の弾力的運用として、所定外労働の制限期間内でも、労働者が一時的に介護のた
 めに早く退社する必要がなくなった期間等に、労働者の真の希望に基づいて残業を行
 わせることは差し支えないとされています。
   

時間外労働の制限

・介護休業と同じく、要介護状態にある対象家族の介護や世話をする労働者(※)が
 請求した場合に、「月24時間、年150時間」を超える時間外労働を不可とするもの。
  (→事業の正常な運営を妨げる場合に限り、事業主は請求を拒否できる。)

(※)日々雇用される者は除く。
   また、労使協定により、その事業主の継続雇用1年未満、週の所定労働時間2日
   以下の労働者を対象外とすることが可能。

・1回の請求期間は1か月以上1年以内であり、開始予定日の1か月前までに事業主に
 請求します。なお、回数の制限はありません。

・対象家族を介護しないこととなった場合、制限期間中の者が新たに産前産後休業、
 育児休業又は介護休業が開始した場合には、その時点で制限期間は終了します。

・請求した制限期間が1年未満の場合も、月24時間、その制限期間を通して150時間を
 超える時間外労働を不可とします。そのため、制限期間が6か月以下の場合、通しで 
 150時間の制限に実効性はなく、実質的に月24時間の制限のみとなります。

    

深 夜 業 の 制 限

・介護休業と同じく、要介護状態にある対象家族の介護や世話をする労働者(※)が
 請求した場合に、深夜(22時~5時)の労働を不可とするもの。
  (→事業の正常な運営を妨げる場合に限り、事業主は請求を拒否できる。)

(※)対象外とされる者は次のとおり(いずれも労使協定不要)
   ・日々雇用される者
   ・その事業者の継続雇用期間が1年未満
   ・週の所定労働日数が2日以下
   ・所定労働時間の全部が深夜(22時~5時)にある場合
   ・深夜においてその対象家族を常態として介護できる同居の家族がいる場合

・1回の請求期間は1か月以上6か月以内であり、開始予定日の1か月前までに事業主
 に請求します。なお、回数の制限はありません。

・対象家族を介護しないこととなった場合、制限期間中の者が新たに産前産後休業、
 育児休業又は介護休業が開始した場合には、その時点で制限期間は終了します。   

深夜において対象家族を常態として介護できる同居の家族

 16歳以上の同居家族で、次の3つの項目すべてに該当する者です。

・深夜に就業していない者であること
 (深夜就業の日数が月3日以下は、深夜就業していない者とする)
・負傷、病気などにより対象家族の介護が困難な状態にある者でないこと
・6週間(多胎妊娠は14週間)以内に出産予定、又は産後8週間以内の者では

 ないこと

所定労働時間の短
  縮等の措置

・介護休業と同じく、要介護状態にある対象家族の介護をする労働者(※)について、
 仕事と介護の両立を容易にするために事業主は、連続3年以上の期間における所定労
 働時間の短縮等の措置を行わなければならない。

(※)日々雇用される者は除く。
   また、労使協定により、その事業主の継続雇用1年未満、週の所定労働時間2日
   以下の労働者を対象外とすることが可能。

・その措置は、次のイ~ニから少なくとも1つを選択し、3年以上の期間で2回以上
 利用できるようにします。
  ⇒ 法律上の最低限の義務を果たす規定は「3年の間に2回まで(上限2回)」
    「3年以上の期間」の起算点は、対象者の下記制度の最初の利用開始日

イ 短時間勤務の制度

 a) 1日の所定労働時間を短縮する制度
 b) 週又は月の所定労働時間を短縮する制度
 c) 週又は月の所定労働日数を短縮する制度(例:隔日、特定曜日のみ勤務)
 d) 労働者が個々に勤務しない日又は時間を請求することを認める制度

ロ フレックスタイムの制度
ハ 始業または就業時間の繰上げ、繰下げの制度(時差出勤)
ニ 労働者が利用する介護サービスの費用助成その他これに準ずる制度

・上記イのa) の所定労働時間の短縮は、通常の所定労働時間が8時間の場合は2時間
 以上、7時間の場合は1時間以上の短縮となるような制度とすることが望ましい。

・上記ニの「介護サービス」は、介護サービス事業者、公的介護保険外のサービスを
 提供する事業者、障害福祉サービス事業者等が提供するサービスであって、要介護
 状態にある家族の介護に役立つサービスのこと。