86 人事評価制度Q&A

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Q 人事評価制度とは? その導入の目的は?

 企業や組織がそれぞれの考え方によりあらかじめ定めた基準に基づいて、公正に社員や組織員の評価を行う仕組みのことです。
 その評価の基準に置くものとしては、仕事、能力、コンピテンシーなどがあります。

 その評価結果により、社員や構成員それぞれの貢献に応じた適正な賃金水準とすることが目的の一つです。
 そして、評価の結果が、給与・賞与などの報酬面の査定にとどまらず、人材育成に活用されることで社員や構成員の能力や意欲を向上させていき、企業や組織の強化を通じて業績の拡大につなげることができます。

導入する大きな目的はここにあると考えます。
  

Q いわゆる「〇〇給」とは?

 賃金決定の方式のことで、日本の企業での主なものは次のとおりです。
(以下の内容解説は、「第7版人事労務用語辞典」(日本経団連出版)による)


 
  

Q 過去に人事評価表と賃金テーブルを導入して続かなかったが?

 このような結果に至る原因として考えられるのは、次のようなものです。

〇 制度を導入して運用開始した時点で、発注先との関係が終了して、実際の運用で発生する問題のケアを

  受けられなかった。

〇 制度構築の過程での発注者(利用者)側の関与が少なく、発注先任せになりがちであった。

〇 導入後1~2年はそれなりに使えたが、日常業務で余裕がなく、制度のメンテナンスをしないうちに、

  次第に使えないものとなってきてしまった。

〇 これまで、人事評価制度を導入していなかった会社で、目標管理制度を全職員に一気に導入した。

  考課者訓練は十分に行われず、試行期間もなかった。

〇 人事評価表と賃金テーブルは整備したが、人事評価での目標の立て方や評価結果の活用といったところ

  で人材育成につながる運用をしていなかった。

〇 制度構築がほぼ終わった段階で、社員に制度を導入することを伝え、説明会後間もなく運用を開始した。
                                             など

 もし、これらに当てはまるものがあれば、まずその点にフォーカスして改善できるかどうかから人事評価制度の手直しが始まります。

  

Q 労働関係の法律での賃金の決め方に対するスタンスは?

 短時間勤務のパート社員や有期契約社員の給与に関しては、パート・有期雇用労働者法第10条が参考となります。
 
 ここでは、それらの社員の賃金について、
「職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験その他の就業の実態に関する事項を勘案し、…‥決定するように努める」としています。その他の就業の実態に関する事項として勤続年数が挙げられていますので、基本給の決定に用いる基準となる職務、役割、職能、業績・成果、年齢・勤続はカバーできています。
 
 法律の解釈通達(※)では、法第10条で挙げた前記の勘案する要素について、どの要素によることとするかは、各企業の判断に委ねられるものとしています。
 ただ、その前提として、法でいうところの均等待遇、均衡待遇に合うものとして説明できることが求められているといえます。


 また、同一労働同一賃金ガイドライン中に「我が国においては、基本給をはじめ、賃金制度の決まり方には様々な要素が組み合わされている場合も多いため、……」という行政の認識も示されています。 

   (※)短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律の施行について

(参考)パート・有期労働者法第10条

 事業主は、通常の労働者との均衡を考慮しつつ、その雇用する短時間・有期雇用労働者(通常の労働者と同視すべき短時間・有期雇用労働者を除く。次条第2項及び第12条において同じ。)の職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験その他の就業の実態に関する事項を勘案し、その賃金(通勤手当その他の厚生労働省令で定めるものを除く。)を決定するように努めるものとする。

  

Q 現実的に見て同一労働同一賃金に対応できる「〇〇給」は?

 私見も入りますが、①職務給、②仕事ベースの職能給、③役割給などが考えられます。
そして、年齢、勤続年数といった要素は、その会社の事業の特性(経験年数とスキルアップの関係)、人事労務政策、社員の納得性、同一労働同一賃金との関係などを考慮したうえで、給与決定に取り入れる余地があるものと考えられます。

  

Q 中小企業(特に30人以下)での人事評価制度構築で留意する点は?

 私見も入りますが、次のようなことがいえると考えています。

【制度の導入・運用開始と制度の完成は別】
 制度の導入・運用開始は始まりであり、制度の完成ということにはならないです。
 運用開始後に出てくる疑問や問題点を解決し、改善していくことで、評価制度はより使えるものになっていきます。

【人材育成に活かせるようにする】
 評価してランク付け、ポイント化して給与・賞与その他の待遇に反映させるところで終わっていまうと、本人では動かすことのできない要因(市場環境の急激な悪化など)により、たまたま低い評価となった社員・構成員の不満がそのままになり、かえってモチベーションを下げることになってしまいます。
 低評価を繰り返さないための目標設定とフォローを組むこむこと、従業員ごとに将来のイメージ(やりたい仕事・就きたい職位など)とそこに至るルートを明確にしておくことが必要です。

【人事評価を仕事として評価する】
 人事評価自体から直接目に見える形での売上や利益増加といったものにつながらないことから、人事評価は本筋の仕事ではない、余分な手間がかかる作業と見られがちなところがあります。
 人材育成にも活用していくのであれば、会社や組織のトップが、人事評価を仕事として明確に位置付け評価することを示すことが必要です。
 
【制度の運用や改善に使えるリソースを考慮する】
 例えば、人事労務の専担者がいなかったりいても少数である、評価に携わる役職者もプレイヤーであるといったように、制度の運用や改善に使えるリソースが限られている場合は、できるかぎりシンプルな制度にしていくこと、丸投げにならない範囲でのアウトソーシングなどを検討します。

【これまでの経営者による評価との関係】
 これまで人事評価制度がなく主として経営者が評価を行ってきた場合にも、これまでの方法と評価を第三者的な視点で分析して、取り入れるべきところは取り入れることです。主観的な評価であったことと、その企業における妥当性、従業員の納得性はあくまでも別のことです。

   

【この投稿の執筆者】
  
 札幌・新道東コンサルオフィス代表
    特定社会保険労務士 塚田 秀和

代表 塚田秀和