85 助成金Q&A

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 厚生労働省助成金に関するQ&A集です。

Q1 厚生労働省の助成金にはどのようなものがありますか?

 厚生労働省の助成金は、その目的によって、雇用関係(助成金)、 労働条件等関係(助成金)の2つのカテゴリーに分かれています。

 そして、雇用維持、再就職支援、人材開発、労働時間等の設定改善条件といった目的別に個別の助成金とコースが設定されています。

  

Q2 申請はだれが行うのですか?

 基本的には、事業主が申請して支給(交付)を受けます。新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金などでは、労働者本人が申請して支給を受けますが、これはあくまでも例外です。
 助成金の支給は、申請者が指定した口座への振り込みという形で行われます。

  

Q3  前のQでの「事業主」とはどのような組織や人のことですか?

 ここでの「事業主」とは、「事業の経営主体である」次のもののことです。
                       ( 雇用関係助成金支給要領の第1 共通要領による )
  〇 個人 (個人事業主)
  〇 法人 (株式会社、有限会社、合同会社、医療法人など)
  〇 法人格がない社団 (学会など)
  〇 財団

 また、労働保険の適用事業主、社会保険の適用事業主であることが必要 (強制適用の場合) で、加えて、助成金の各コースでの要件を満たすことも求められます。

   

Q4 助成金を申請・受給できる「中小企業事業主」の定義は?

 厚生労働省の助成金では、申請・受給できるのが中小企業主に限定されたり、大企業と中小企業事業主で助成率や助成額に差が付けられることがあります。
 中小企業事業主としては、下表の条件のうち資本金または出資金、常時雇用する労働者のいずれかに該当すればよいとされています。
 また、資本金等のない事業主は、常時雇用する労働者の数により判定します。

 
 
  (※)「医療・福祉」は、サービス業に含まれる。
   

Q5 事業主または取締役の親族は従業員でも対象とならない?

 対象とならない助成金コースとそうではない(対象となる)ものに分かれますので、申請予定の助成金コースのパンフレットなどで事前の確認が必要です。

 対象とならない例として、キャリアアップ助成金では、「適用事業所の事業主または取締役の3親等以内の親族以外の者」が挙げられています。具体的には、民法(明治29年法律第89号)第725条第1号に規定する血族のうち3親等以内の者、同条第2号に規定する配偶者及び同条第3号に規定する姻族のことです。

  

Q6 助成事業の内容と助成金額の関係は?

 助成事業の内容と助成金額の関係は、次の2つに大きく分けられます。
  

所定の取り組みに対して定額を助成

 賃金を一定率以上引き上げる、男性社員が一定日数以上の育児休業を行う、有期契約社員やパート社員の正社員化といった所定の取り組みを行った場合に、要した額にかかわらず定額を助成するものです。支給された助成金(※)の使途についての制限は特にありません。
 (※)厳密には、助成金額から所定の取り組みに要した額を差し引いた残余額

  

助成事業に要した金額の一定割合を助成

 助成対象となる事業メニューを実施した場合に、その実施に要した経費の一定割合を助成するものです。支給された助成金は、事業実施に要した額の一部の後払いという形になるので、使途は指定されているといえます。雇用調整助成金はこちらに該当します。
   

Q7 他の助成金や補助金を受給している場合の取り扱いは?

 同じ年度に、同じ措置内容(※1)について、国や地方公共団体から他の補助金(間接補助金を含む)の交付を受けている場合には、厚生労働省助成金の支給を受けることはできません。

 過去に同一内容の措置内容を対象とした助成金を受給している場合には、支給対象外とされることがあります。対象となるケースについては、助成金ごとに個別に定められていますので、助成金申請の検討を始める前の確認が必要です。(※2)

 (※1)生産性向上のために導入される機器と設置場所が同じ
     労働条件改善の対象事業所、対象者及び実施内容が同じ など
 (※2)例えば、有期契約社員の正社員転換や人事評価制度導入といった目的が同じである過去に

     あった別名称の助成金コースのこと
    

Q8 生産性要件とは?

 助成金・コースの一部について、生産性向上の取組み支援を目的に、生産性を向上させた事業所に対して、助成額もしくは助成率の割増を行う制度があります。その制度で生産性向上の度合いを判定する基準が「生産性要件」です。
 
 具体的には、助成金の支給申請をした日からみて、直近の会計年度の生産性の値と、直近会計年度の3年度前の値を比較して、6%以上伸びている場合に割増の対象となります。
なお、金融機関から事業性評価を得ている場合には、1%以上6%未満の伸びでも生産性要件を満たすとされることがあります。

 生産性 = 付加価値額 / 事業所の雇用保険被保険者数

   

Q9 助成金の支給までの手続きなどの流れは?

 実施する内容(事業内容)を決めた後、助成金の申請から支給申請・受給までの一連の流れの例です。
 この例での事業内容は、次のようなものです。
 〇 労務管理改善や能率向上のための機器やソフトの購入
 〇 外部専門家によるコンサル、労務関係の勉強会


   

 助成金コースによっては、
 ②で提出するのが制度整備の計画書になったり、
 ④が外部との契約ではなく、事業所内部で完結する事業内容になる場合があります。
  (例: 制度整備のための就業規則変更や賃金アップ、有期・パート社員の無期契約、正社員転換)

   

Q10 助成対象としての可否判断のパターンは?

 下図は、働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)の2021年度申請マニュアルに掲載されているものです。

 6つの例のうち助成対象となるのが、〇の2つです。

 このうち最上段の〇が、事業実施期間内に支払まで完了している原則どおりの対応です。

 2段目の○は、「支払※」が事業実施期間外でイレギュラーながらも許容範囲内の対応です。
これは、事業実施期間中に発生して額も確定しているが、事業実施期間中に支払えない理由があるものです。マニュアルで、「社会保険労務士に支払った謝金から源泉徴収した所得税の納付」を例として挙げています。

 残りの助成対象とならない4つのXについては、

 〇 交付決定前に契約を行った
 〇 必要となる就業規則の変更や改善措置を事業期間外に行った
 〇 事業対象期間外かつ支払後に納品を受けた
ことが助成対象外の理由です。


  
   

Q11  助成金の申請から受給までの期間は?

 助成金・コースにより異なってきますが、数カ月から長いものでは1年6か月超となります。
 緊急対応期間中の雇用調整助成金では、特例措置として、本来は休業実施前に提出する計画届が省略され、支給申請も休業実施月の翌々月末まで可能であり、かつ短期間で受給することができますが、あくまでも例外です。

   

Q12 助成金を申請するには就業規則を必ず作成しなければならない?

 従業員数に関係なく、就業規則の作成、事業所内周知と労働基準監督署への届出を求めている助成金コースもありますが、多くの助成金・コースでは、10人未満の事業所は労働基準監督署への届出の代わりに、事業所の労働者側の代表者による申立書でも申請可としています。
  

Q13 助成金申請にあたって確認する書類や労務管理関係事項は?

対象となる従業員について、
 〇 労働契約書もしくは労働条件通知書
 〇 出勤簿、タイムカードなどの勤務日、勤務時間が確認できる書類
 〇 賃金台帳、給与明細などの賃金、手当及び賞与の支払が確認できる書類
 〇 労働保険・社会保険料の控除が確認できる書類 など

事業所全体としては、
 〇 就業規則や関係規程、36協定書など
 〇 年次有給休暇管理簿
 〇 近年の自己都合以外の退職の有無、あればその内容
 〇 労働保険・社会保険料の納入済が確認できる書類 など

     

Q14 助成金と補助金の違いとは?

 申請の採択までのプロセスの違いに着目すれば、その違いは、

助 成 金

 助成の条件を満たしていて、事業実施計画などに問題がなければ、先着順に申請が採択されます。
 そのため、締切日前でも予算枠が無くなれば申請の受付を終了します。実際に令和3年度にも複数の助成金・コースで、当初予定の締切日前に予算枠が無くなり申請の受付を終了しています。

  

補 助 金

 締切日までに申請されたすべての案件(申請書類の不備などは除く)を審査して評価の高いものから順に採択して、予算枠が無くなった時点で採択終了となります。
  つまり、助成金と異なり申請提出の前後は採択に影響しません。

 ちなみに、採択率を見てみると、経済産業省補助金は、公募回ごとに見れば30%台ということもあり、60%台であれば高めといえるのではないでしょうか。厚生労働省助成金の採択率は公表されていませんが、経産省補助金よりは高いというのが私の実務上の感覚です。
 

 次に、支給対象と支給額の関係ということになると、主に2つ挙げられます。
 (ここでは、コロナ関係の給付金は除いて考えます。)

その事業の目的に合った対象経費の合計額に補助率(助成率)を乗じた額を支給するタイプ

 設備投資に重点を置く経産省補助金は主にこのタイプです。中には、設備投資の関連経費について、個別に上限額を設けたり、補助率を本則より低くすることもありますし、逆に、小規模持続化補助金の低感染リスク型ビジネス枠のように、国として緊急性や重要性が高い政策課題に関するものに対して、本来の補助枠と別枠で補助率も嵩上げすることもあります。
 なお、設定されている支給上限額を超えるときは、補助対象経費からの算出額にかかわらずその上限額が支給されます。
 厚労省助成金では、雇用調整助成金がこれに該当しますし、他には、テレワーク、最低賃金引上げ関連などで生産性向上のための機器購入やコンサルティングなどをその内容とするものが該当します。

   

一定の要件を満たした場合に定額を支給するタイプ

 こちらは、厚労省助成金に見られ、事業所あたり、対象者1人あたりでの支給となります。
 例えば、有期契約社員を正社員に転換して要件を満たした場合に1人あたり定額を支給する、法定の健康診断以外に独自の検診制度を導入した場合に事業所あたり定額を支給するといったものです。

 また、厚労省の一般訓練・特別訓練関連の助成金は、OJT、OFF-JTへの1人時間当たり定額の実施助成・賃金助成と、研修経費に対する定率助成から成るので、①と②の混合型といえます。

   

【この投稿の執筆者】
  
 札幌・新道東社労士オフィス代表
    特定社会保険労務士 塚田 秀和

代表 塚田秀和