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  3. 83 2022年4月までの高齢者の雇用・年金の法改正について

 今年、2021(令和3)年4月から来年、2021(令和4)年4月までの高齢者の雇用・年金の法改正についてまとめました。
    

■ 高年齢者就業確保措置の新設(高年齢者雇用安定法)

 現在、義務化されている65歳までの継続雇用の先、70歳までの就業機会確保の努力義務が新たに施行されました。
 今回の措置には、65歳までと同様の雇用確保措置に加えて、社外での創業支援等措置が新たに設けられています。これは、65歳以上になるとそれまで以上に体力等の個人差が出てきたりする点なども考えての措置です。

 ●雇用確保措置(現在65歳まで義務化の措置を70歳まで延長するイメージ)
   ①70歳までの定年延長
   ②70歳までの継続雇用制度

     ・契約を結んで他の事業主の下で継続雇用する場合も含む 
   ③定年廃止


   ➤就業規則に定める解雇事由又は退職事由と同一の事由を、継続雇用しないことができる
    事由として、解雇や退職の規定とは別に、就業規則に定めることができます。


 ●社外での創業支援等措置(社外での就業機会の確保を企業が支援するイメージ)
   ④70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度

     ・(その従業員の希望により)
      従業員が社外で新たに事業を始めるとき、その者と業務委託契約を結ぶなどして
      支援すること
   ⑤70歳まで継続的に事業主が自ら実施する社会貢献事業などに従事できる制度

     次の3つのケースでそれぞれの事業の実施者と、元従業員が委託契約などを結ぶことに
     なります。
     ・当該事業主が自ら実施する社会貢献事業
     ・法人その他の団体が当該事業主から委託を受けて実施する社会貢献事業
     ・法人その他の団体が実施する社会貢献事業で、当該事業主が必要な資金提供等の援
      助を行うもの

   
   ➤創業等支援措置を実施する場合は、過半数労働組合等の同意を得たうえで行うことが、
    望ましいとされています。


   ➤雇用時における業務と、内容及び働き方が同様の業務を創業支援等措置と称して行わせる
    ことは、法の趣旨に反するものとされています。

                               【2021(令和3)年4月施行済】
   

マルチジョブホルダー(複数就業者)への雇用保険の適用(雇用保険法ほか)

 マルチジョブホルダー(複数の雇用保険適用事業主に雇用される者)のうち65歳以上の方が、次の要件のいずれにも当てはまる場合に、本人がハローワークに申し出ることで、雇用保険保険者(高年齢被保険者)となることができるようになります。
   ・それぞれの事業主について、1週間の所定労働時間が 20 時間未満
   ・2つ以上の事業主での1週間の所定労働時間の合計が 20 時間以上


   ➤雇用保険適用の要件、一の事業主で「1週間の所定労働時間20時間以上」の例外措置
   
                              【2022(令和4)年1月施行予定】
    

在職定時改定の導入(厚生年金保険法)

 老齢厚生年金の受給権を取得した後に就労した場合の、年金額の改定方法の変更です。
 現在の「退職改定」では、資格喪失時(退職時・70歳到達時)に65歳以降の就労分をまとめて年金額に反映していました。
 今回導入される「在職定時改定」では、年1回(10月)に年金額に反映することで、年金額の増額につながります。
                              【2022(令和4)年4月施行予定】


   
     

在職老齢年金制度の見直し(厚生年金保険法)

 「在職老齢年金」とは、老齢厚生年金(特別支給の老齢厚生年金を含む)の受給権を取得した後に就労した場合に、老齢厚生年金の額(基本月額)や、給与や賞与の額(総報酬月額相当額)に応じて、年金の一部または全額を支給停止する仕組みのことです。

 現在、60~64歳の在職老齢年金の仕組みでは、基本月額と総報酬月額相当額の合計が28万円を超えると年金の一部が支給停止となります。

 この額が見直され、2022(令和4)年4月から「47万円」に引き上げられます。
                              【2022(令和4)年4月施行予定】
   
     

公的年金受給開始時期の選択肢の拡大(国民年金法、厚生年金保険法ほか)

 年金の繰り下げ支給の上限年齢が、70歳から「75歳」に引き上げられます。
 引き上げ後に、65歳から75歳まで繰り下げた時の増額率は、84%です。
                              【2022(令和4)年4月施行予定】
   
     

公的年金の繰り上げ受給選択時の減額率の変更
 (国民年金法、厚生年金保険法ほか)

 年金の繰り上げ支給で適用される減額率を現行の 0.5%/月から 0.4%/月に引き下げられます。
 引き下げ後に、65歳から60歳まで繰り上げた時の減額率は、24%です。
                              【2022(令和4)年4月施行予定】
   
     

確定拠出年金の加入可能要件の見直しなど
 (確定拠出年金法、確定給付企業年金法ほか)

 確定拠出年金(企業型DC・iDeCo)における老齢給付金の受給開始の上限年齢が、70歳から75歳に引き上げられます。これは公的年金の受給開始時期の選択肢の拡大に合わせたものです。
                              【2022(令和4)年4月施行予定】


 確定拠出年金の加入可能年齢が次のとおり引き上げられます。
 ・企業型確定拠出年金(企業型DC) 厚生年金被保険者の65歳未満から「70歳未満」に引き上げ
 ・個人型DC (iDeCo) 国民年金被保険者の60歳未満から「65歳未満」に引き上げ

                              【2022(令和4)年5月施行予定】
   

▼ 今回の期間外ですが、その先に重要なものが1つありますので参考まで。

高年齢雇用継続給付の支給水準の見直し(雇用保険法)

 令和7年度に60歳以上になる方から、給付率が10%に縮小されます。
 なお、令和6年度までに60歳以上になった方は、現行の給付率が適用されます。

   現行の給付率・見直し後の給付率の比較

  

                              【2025(令和7)年4月施行予定】
   
     

この投稿の執筆者
 札幌・新道東コンサルオフィス代表 塚田 秀和

 元国土交通省の地方機関勤務の国家公務員。役所勤務との二足のわらじでゼロから社会保険労務士、中小企業診断士に挑戦して取得。
 早期退職後、事務所を開き、公務員時代の経験も活かして
「30人までの企業のサポートに特化した町医者コンサル」として、
公的支援の活用から始まる改善コンサルを展開している。

代表 塚田秀和

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