【施行済】 平成31(2019)年4月
■ 年5日の年休取得義務化(労働基準法)
〇 年10日以上の年休を付与した労働者を対象に年5日の年休取得義務を事業主に課す
■ 複数月フレックスタイムの導入(労働基準法)
〇 フレックスタイム制の清算期間の上限をこれまでも1か月から最大3か月まで延長
〇 清算期間1カ月超の場合は、労使協定の届出を義務付け
■ 労働時間の状況の把握義務(労働安全衛生法)
〇労働者がいかなる時間帯にどの程度の時間、労務を提供し得る状態にあったかを原則として
現認、ICカード等の客観的な方法で把握することを義務付け
■ 長時間労働者に対する医師による面接指導の基準変更 (労働安全衛生法)
〇 月80時間以上の時間外勤務を行ったもののうち面接を希望する者に受けさせる義務
■ 産業医・産業保健機能の強化(労働安全衛生法)
〇 産業医への権限の具体化、 産業医等に対する労働者の健康管理等に必要な情報の提供など
■ 勤務間インターバル制度の導入(労働時間等設定改善法)
〇 事業主の努力義務化(高度プロフェッショナル制度の導入もこの時期)
【施行済】 令和2(2020)年4月
■ 時間外労働・休日労働の上限規制(労働基準法)
〇 36協定(一般条項)では、時間外を月45時間、年360時間以内(いわゆる「限度時間」)に制限
〇 特別条項付き36協定を締結の場合は、時間外を年720時間以内、月45時間超は年6月以内に制限
〇 時間外・休日労働の実績時間数を、 月100時間未満、2~6か月それぞれの平均で月80時間以内に
制限(特別条項付き36協定での時間外上限もこの制限の範囲内で定める)
■ 36協定届の新様式への移行
〇 特別条項付きの協定届では、限度時間(月45時間)超の時間外労働を行った労働者に対する
「健康福祉確保措置」の協定内容の記載を課した
■ 派遣労働者の待遇の決定方式を含む改正労働者派遣法の施行
〇 賃金をはじめとする派遣労働者の待遇の決定方法について、
①派遣先の比較対象労働者の待遇の情報に基づき決定する「派遣先均等・均衡方式」
②派遣元労使で待遇に関する労使協定を締結したうえで、厚生労働省から局長通達の形で示される
「同種の業務に従事する一般労働者の賃金」の統計に基づき決定する「労使協定方式」
のいずれかを選択して実施することを課した。
〇 派遣労働者から、派遣先正社員との待遇の違いやその理由などについて説明を求められた場合の説明
義務を事業主に課した。
■ 賃金消滅時効の変更(労働基準法)
〇 従来の2年から、当面は3年に延長された。(原則は5年)
〇 改正法の施行5年経過後の状況を勘案して検討し、必要があるときは措置を講じるとされた。
【施行済】 令和2(2020)年9月
■ 複数就業者に係る労災保険給付の新設(雇用保険法ほか)
〇 複数就業者の労働災害を対象とした労災保険給付を新設し、非災害発生事業場(事故が発生したり、
疾病の原因となった事業所以外の事業所)の賃金額も合算した上で給付額を決定する仕組みを導入
【施行済】 令和3(2021)年1月
■ ⼦の看護休暇、介護休暇の時間単位での取得(育児・介護休業法)
〇 これまで半日が取得が最小単位だった、子の看護休暇、介護休暇が時間単位で取得可能となった。
〇 これまで取得対象外の、1日の所定4時間以下の労働者もこれらの休暇を取得可能となった。
【施行済】 令和3(2021)年4月
■ パートタイム・有期雇用労働法の中小企業への適用(同一労働同一賃金)
〇 同一企業の正社員と短時間労働者・ 有期雇用労働者との間で、基本給や賞与、手当などあらゆる
待遇について、不合理な差を設けることを禁止
〇 短時間労働者・有期雇用労働者から、正社員との待遇の違いやその理由などについて説明を求めら
れた場合の説明義務を事業主に課した。
■ 高年齢者就業確保措置の新設(高年齢者雇用安定法)
〇 65~70歳までの就業機会を確保するため、以下のいずれかの措置を講ずる努力義務を新設
①70歳までの定年延長
②70歳までの継続雇用制度
③定年廃止
④70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度
⑤70歳まで継続的に事業主が自ら実施する社会貢献事業などに従事できる制度
【施行済】令和4(2022)年1月
■ マルチジョブホルダー(複数就業者)への雇用保険の適用(雇用保険法ほか)
〇 65歳以上のマルチジョブホルダーについて、複数の事業所での週所定労働時間の合計が20時間以上
の場合は、雇用保険の対象とする。
【施行済】 令和4(2022)年4月
■ パワーハラスメント防止対策の法制化の中小企業への適用 (労働施策総合推進法)
〇 職場におけるパワーハラスメントの防止のために講ずべき措置として、事業主の方針等の明確化及び
その周知・啓発、相談窓口の整備などを事業主の義務とした。
(中小企業については、令和4(2022)年3月まで努力義務であったもの。大企業は2020年6月に義務化済)
■ 有期雇用の社員の育休・介護休業取得の要件緩和(育児・介護休業法)
〇 現在、有期雇用の社員の育児・介護休業は、その事業主の継続雇用期間が1年以上の要件があるが、
今回の改正でこの要件を廃止。
(ただし、その事業所で労使協定を締結した場合は、現行の1年以上の要件を適用可)
■ 育児休業に係る事業主の新たな義務 (育児・介護休業法)
事業主に次の義務を新たに課す。
〇 妊娠、出産の申出があった場合、申し出た社員に、
① 育休制度の内容について知らせること(制度周知)
② 休業取得の意向があるかどうかの確認(意向確認)を行うこと
〇 育休の申出や取得をし易くするための雇用環境整備を行うこと
■ 在職定時改定の導入(厚生年金保険法)
〇 65歳以上の者について在職中の年金額の改定を行うこととした。(年1回、10月分から)
現行の退職時改定は、資格喪失時(退職時・70歳到達時)にそれまでの分を一括して改定する方式。
■ 在職老齢年金制度の見直し(厚生年金保険法)
〇 在職老齢年金のうち、60~64歳での特別支給の老齢厚生年金を対象としたもの (低在老) について
支給停止額を47万円(現行28万円)に引き上げ
■ 公的年金受給開始時期の選択肢の拡大(国民年金法、厚生年金保険法ほか)
〇 現行70歳である繰下げ受給の上限年齢を75歳に引き上げ
(65歳から75歳まで繰下げた時の増額率は84%)
■ 公的年金の繰り上げ受給選択時の減額率の変更(国民年金法、厚生年金保険法ほか)
〇 繰上げ減額率を現行の 0.5%/月から 0.4%/月に引き下げ
令和4(2022)年10月
■ 被用者保険の適用拡大(厚生年金保険法、健康保険法など)
〇 短時間労働者(週所定20時間以上)が加入対象となる企業規模を従業員100人超まで拡大
(現在は500人超)
〇 法律・会計事務を取り扱う士業の適用業種への追加
〇 国・自治体等で勤務する短時間労働者に対して、公務員共済の短期給付を適用
■ 新たな育休制度の創設 (育児・介護休業法)
〇 男性社員の育休取得促進のため、子の出生後8週間(産後休業の期間)以内で取得できる新たな
育休制度を創設 (現行のパパ休暇の特例は廃止)
具体的には、
①その期間内に合わせて4週間まで取得可能
②2回に分けて取得可能
③休業の申し出は、休業の2週間前まででOK
■ 育児休業の分割取得が可能に (育児・介護休業法)
〇 2022年に創設される前項の新たな育休制度以外の従来からの育児休業についても、2回までの
分割取得が可能となる。
令和5(2023)年4月
■ 月60時間超の時間外労働について割増賃金率を50%以上に変更(労働基準法)
〇 平成22年4月に大企業適用済の、月60時間超の時間外労働の割増賃金率(50%)の中小企業へ適用開始
〇 月60時間超の時間外労働について、割増賃金の支払に代えて労働者の希望に応じて代替休暇を付与で
きる制度の導入
令和6(2024)年4月
■ 建設業、自動車運転の業務等への時間外労働、時間外・休日労働の上限規制適用 (労働基準法)
〇建設事業 …… 災害復旧・復興の事業以外は原則どおりの適用
災害復旧・復興の事業は、時間外・休日労働の合計での上限規制(月100時間未満、
2~6か月平均月80時間以下)の適用なし
〇自動車運転の業務 …… 特別条項付きの36協定では時間外労働の上限年960時間以内。
月45時間超の月数制限、時間外・休日労働の合計での上限規制の適用なし
〇医 師 …… 今後厚生労働省令で別途定める
〇⿅児島県及び沖縄県における砂糖製造業……原則どおりの適用
(現在の適用除外は、 時間外・休日労働の合計での上限規制のみ)
※ 新技術・新商品等の研究開発業務は、上限規制の適用が除外されている。
令和6(2024)年10月
■ 被用者保険の適用拡大(厚生年金保険法、健康保険法など)
〇 短時間労働者(週所定20時間以上)を加入対象とする企業規模を従業員50人超まで拡大
(現在は500人超、令和4(2022)年10月に100人超まで拡大)
令和7(2025)年4月
■ 高年齢雇用継続給付の支給水準の見直し
〇 高年齢雇用継続基本給付金、高年齢再就職給付金の支給水準が引き下げられる。
【この投稿の執筆者】
札幌・新道東コンサルオフィス代表
特定社会保険労務士 塚田 秀和