80 中小企業の働き方関連/社会保険・労働保険の法改正などの実施スケジュール(2019~2025年)

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 この投稿では、働き方改革実行計画(2017~26年度)での法改正が本格化した2019年4月から2025年4月までの中小企業の働き方関連、社会保険・労働保険の法改正などについて、概略をまとめています。

 各項目について、当事務所ブログでの解説記事があるものは、記事へのリンク を表示しています。

 働き方改革実行計画での対応策19項目についての記事はこちら
  

  

      

年5日の年休取得義務化

 年10日以上の年休を付与した労働者を対象に年5日の年休取得義務を事業主に課す
  [労働基準法]
   

複数月フレックスタイムの導入

 〇 フレックスタイム制の清算期間の上限を従来の1か月から最大3か月まで延長
 〇 清算期間1カ月超の場合は、労使協定の届出を義務付け

  [労働基準法]    

 フレックスタイムの解説記事はこちら
  

労働時間の状況の把握義務

 〇 労働者がいかなる時間帯にどの程度の時間、労務を提供し得る状態にあったかについて、原則として現認、ICカード
   等の客観的な方法で把握することを義務付け
  [労働安全衛生法] 
  

長時間労働者に対する医師による面接指導の基準変更

 〇 月80時間以上の時間外・休日労働を行ったもののうち面接を希望する者に受けさせる義務(従来は月100時間超)
   なお、時間外・休日労働の上限規制の適用が除外されている新技術・新製品等の研究開発業務従事者については、
   月100時間超の時間外・休日労働を行った場合の罰則付き実施義務が事業主に課せられている。
  [労働安全衛生法]
    

産業医・産業保健機能の強化

 〇 産業医への権限の具体化、 産業医に対する労働者の健康管理等に必要な情報提供など
  [労働安全衛生法]  
  

勤務間インターバル制度の導入

 〇 制度導入について事業主の努力義務化された。
   この制度は、「勤務の終業時刻から翌日の始業時刻までの間、一定以上の休息時間を設ける」ことを企業内の勤務時間
   管理の仕組みとして定めて運用するもので、生活時間や睡眠時間の確保による労働者の健康への配慮でもある。
  [労働時間等設定改善法]    

 勤務間インターバルの解説記事はこちら

  

      

時間外労働・休日労働の上限規制

 〇 36協定(一般条項)で、時間外を月45時間、年360時間以内(限度時間)に制限
 〇 特別条項付き36協定を締結する場合は、時間外を年720時間以内、月45時間超は年6月以内に制限
 〇 時間外・休日労働の実績時間数を、 月100時間未満、2~6か月それぞれの平均で月80時間以内に制限
   (特別条項付き36協定での時間外上限もこの制限の範囲内で定める)
  労働基準法]
    

36協定届の新様式への移行

 〇 特別条項付きの協定届では、限度時間(月45時間)超の時間外労働を行った労働者に対する健康福祉確保措置の
   協定内容の記載を課した
  

派遣労働者の待遇の決定方式を含む改正労働者派遣法の施行

 〇 賃金をはじめとする派遣労働者の待遇の決定方法について、
   a) 派遣先の比較対象労働者の待遇の情報に基づき決定する「派遣先均等・均衡方式」
   b) 派遣元労使で待遇に関する労使協定を締結したうえで、厚生労働省から局長通達で示される「同種の業務に

     従事する一般労働者の賃金」の統計に基づき決定する労使協定方式」
   のいずれかを選択して実施することを課した。

 〇 派遣労働者から、派遣先正社員との待遇の違いやその理由などについて説明を求められた場合の説明義務を事業主に

   課した。
  [労働者派遣法
  

賃金消滅時効の変更

 〇 従来の2年から原則5年に延長したうえで、「当面は3年」とする取り扱い
 〇 改正法の施行5年経過後の状況を勘案して検討し、必要があるときは措置を講じる。
  労働基準法]

 賃金の消滅時効の解説記事はこちら

  

      

複数就業者に係る労災保険給付の新設

 〇 複数就業者の労働災害を対象とした労災保険給付を新設し、非災害発生事業場(事故が発生 した事業所以外の事業所)
   の賃金額も合算した上で給付額を決定する仕組みを導入
    
 〇 脳・心臓疾患や精神障害で、1つの事業場での業務上の負荷(労働時間やストレス等)を評価をして業務災害に当たら

   ない場合に、複数の事業場での負荷を総合的に評価して、労災認定できるか否かを判断する仕組みを導入
  (複数業務要因災害)
  雇用保険法ほか     

  

      

⼦の看護休暇、介護休暇の時間単位での取得

 〇 これまで半日が取得が最小単位だった子の看護休暇、介護休暇が時間単位で取得可能となった。
 〇 これまでは取得対象外の1日の所定4時間以下の労働者もこれらの休暇を取得可能となった。

  育児・介護休業法   

  

      

パートタイム・有期雇用労働法の中小企業への適用(同一労働同一賃金)

 〇 同一企業の正社員と短時間労働者・ 有期雇用労働者との間で、基本給や賞与、手当などあらゆる待遇について、
   不合理な差を設けることを禁止
 〇 短時間労働者・有期雇用労働者から、正社員との待遇の違いやその理由などについて説明を求められた場合の

   説明義務を事業主に課した。
  パートタイム・有期雇用労働法
            

高年齢者就業確保措置の新設

 〇 65~70歳までの就業機会確保のため、以下のいずれかの措置を講ずる努力義務を新設
   ・70歳までの定年延長
   ・70歳までの継続雇用制度
   ・定年廃止
   ・70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度

   ・70歳まで継続的に事業主が自ら実施する社会貢献事業などに従事できる制度
  高年齢者雇用安定法          

 高年齢者就業確保措置の解説記事はこちら

  

      

マルチジョブホルダー(複数就業者)への雇用保険の適用

 〇 65歳以上のマルチジョブホルダーについて、複数の事業所での週所定労働時間の合計が20時間以上の場合に自ら
   申し出て雇用保険に任意加入できる制度の新設
  [雇用保険法         

 マルチジョブホルダーへの雇用保険適用の解説記事はこちら

  

      

パワーハラスメント防止対策の法制化の中小企業への適用

 〇 職場におけるパワーハラスメントの防止のために講ずべき措置として、事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発、
   相談窓口の整備などを事業主の義務とした。
  (令和4年3月まで努力義務であったもので、大企業は令和2年6月に義務化済)

  [労働施策総合推進法   

 パワハラ指針とパワハラ6類型の記事はこちら
  

有期雇用の社員の育休・介護休業取得の要件緩和

 有期雇用社員の育児・介護休業取得の法定要件のうち「その事業主の継続雇用期間1年以上」を廃止。
   (ただし、その事業所で労使協定を締結した場合は、現行の1年以上の要件を適用可)
  [育児・介護休業法  
  

育児休業に係る事業主の新たな義務

 事業主に次の義務を新たに課した。
   a) 妊娠、出産の申出があった場合、その申し出た社員に、
     ・育休制度の内容について知らせること(制度周知)
     ・休業取得の意向があるかどうかの確認(意向確認)を行うこと
   b) 育休の申出や取得をし易くするための雇用環境整備を行うこと

  育児・介護休業法  
  

在職定時改定の導入

 〇 65歳以上の在職中の老齢厚生年金受給者について、年金額を毎年10月に改定し、それまでに納めた保険料を年金額に
   反映する制度を導入
   (従来の退職時改定は、資格喪失時(退職時・70歳到達時)にそれまでの分を一括して改定する制度)

  厚生年金保険法
  

在職老齢年金制度の見直し

 〇 在職老齢年金のうち、60~64歳での特別支給の老齢厚生年金を対象としたもの(低在老)ついて支給停止額を47万円
   (現行28万円)に引き上げ
  厚生年金保険法  
  

公的年金受給開始時期の選択肢の拡大

 〇 従来70歳であった老齢年金の繰下げ受給の上限年齢を75歳に引き上げ(65歳から75歳まで繰下げ時の増額率は84%)
  国民年金法、厚生年金保険法ほか

 〇 公的年金に合わせて企業型DC・個人型DC(iDeCo)における老齢給付金の受給開始年齢の上限も75歳に引き上げ
  (→75歳に達するまで資産の運用が可能
   1952年4月2日以降に生まれた方が、この拡大措置の対象
  確定拠出年金法 
  

公的年金の繰り上げ受給選択時の減額率の変更

 〇 老齢年金の繰上げ減額率を従来の 0.5%/月から 0.4%/月に引き下げ
   (65歳から60歳まで繰上げた時の減額率は、30%から24%に縮小)

  [国民年金法、厚生年金保険法ほか  

  

      

被用者保険の適用拡大

 〇 短時間労働者(週所定20時間以上)が加入対象となる企業規模を現行の従業員500人超から「従業員100人超」に拡大
 〇 法律・会計事務を取り扱う士業の適用業種への追加
 〇 国・自治体等で勤務する短時間労働者に対して、公務員共済の短期給付を適用
   
  厚生年金保険法、健康保険法など  
  

「産後パパ育休」の創設

 〇 男性社員の育休取得促進のため、子の出生後8週間(産後休業の期間)以内で取得できる新たな育休制度を創設
   (現行のパパ休暇の特例は廃止)
   その内容は、
   a) 子の出生後8週間(産後休業の期間)以内に合わせて4週間まで取得可能
   b) 2回までの分割取得可能
   c) 休業の申出は、休業開始の2週間前まででOK

   d) 法律で定める日数の範囲での就業が可能

 〇 産後パパ育休(出生時育児休業)を対象とする「出生時育児休業給付金」が新設された。  
  育児・介護休業法  
  

 育児休業と産後パパ育休の記事はこちら

育児休業給付金と出生時育児休業給付金の記事はこちら

  

育児休業の分割取得が可能に

 〇 従来からの育児休業についても、2回までの分割取得が可能となった。
   子の1歳到達日(1歳誕生日の前日)までで見ると、男性社員は産後パパ育休とあわせて4回まで育児休業の分割取得
   が可能となった。  
  育児・介護休業法  

  

      

月60時間超の時間外労働の法定割増賃金率を50%以上に変更

 〇 月60時間超の時間外労働に対する法定割増賃金率(50%)を中小企業に適用開始
   大企業は平成22年4月に適用済)
 〇 月60時間超の時間外割増賃金の一部について、割増賃金の支払に代えて労働者の希望に応じて代替休暇を付与できる

   制度の適用
  労働基準法  

 月60時間超の時間外労働の法定割増賃金率の記事はこちら

  

      

建設業、自動車運転の業務、医師等への時間外・休日労働の上限規制適用

 〇 建設事業
   災害復旧・復興の事業以外は原則どおりの適用
     ・災害復旧・復興の事業は、時間外・休日労働の月100時間未満、2~6か月平均月80時間以下の適用はなし

 〇 自動車運転の業務
    ・特別条項付き36協定を締結する場合の時間外労働の上限は年960時間で、時間外労働月45時間以上は
      年6か月までの規制の適用はなし
     ・時間外・休日労働の月100時間未満、2~6か月平均月80時間以下の適用はなし
     ・改善基準告示の見直し(ハイヤー・タクシー、トラック、バス)

 〇 医 師
   ⇒ 医療機関に適用する水準に応じて年の時間外上限規制を適用
     ・時間外上限年960時間
       A(診療勤務従事医/一般労働者と同程度)
     ・時間外上限年1,860時間
       連携B(地域医療確保暫定特例水準/医師を派遣する病院)
       B  (地域医療確保暫定特例水準/救急医療等)
       C-1(集中的技能向上水準/臨床・専門研修)
       C-2(集中的技能向上水準/高度技能の修得研修)
     連携B水準は、個々の病院での36協定では年960時間までで、複数の病院勤務で時間外年上限1,860時間を適用

     する仕組みです。
     また、連携B水準、B水準は、2035年度末を目標に終了(A水準への移行)


 〇 ⿅児島県及び沖縄県における砂糖製造業
   ⇒ 原則どおりの適用
     (現在の適用除外は、時間外・休日労働の月100時間未満、2~6か月平均80時間以下の規制のみ)
  労働基準法

  

      

被用者保険の適用拡大

 〇 短時間労働者(週所定20時間以上)が加入対象となる企業規模を「従業員50人超」に拡大
  厚生年金保険法、健康保険法  

  

      

高年齢雇用継続給付の支給水準の見直し

 〇 令和7年度以降に新たに60歳以上となる者について、給付率を賃金の原則15%から「原則10%」に縮小
  雇用保険法  

  

【この投稿の執筆者】
  
 札幌・新道東社労士オフィス代表
    特定社会保険労務士 塚田 秀和

代表 塚田秀和