78 2022年4月以降の育児・介護休業法などの改正について

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 改正育児・介護休業法と関連する法律は、今年4月、9月と来年4月の3回に分けて順次施行され、それらに間に合うように以下の項目について、段階的な対応が求められます。ある意味、一括での施行に比べて難易度が高いかもしれません。

各項目の( )書きは、その項目の実施日(施行期日)です。

 本人または配偶者の妊娠・出産についての申出があった場合、事業主からその申し出た社員に対して個別に次のイ、ロを行うことが義務付けられました。

イ 育休制度などに関する4項目の周知
   ・育児休業に関する制度
   ・育児休業申出等の申出先
   ・育児休業給付金に関すること
   ・その労働者が育児休業期間間に負担すべき社会保険料の取扱い
ロ 育児休業取得に関する意向確認

※ イの各項目の「育児休業」について、2022年10月以降は「産後パパ育休」(出生時育児休業)を含みます。

 妊娠・出産についての申出に対して、事業主が周知等の対応を行う必要がないのは、子の年齢が育児休業の対象年齢を既に超えているなど、今後育児休業を取得する可能性がない場合に限られます。
 例えば、その事業所において、労使協定で入社1年未満の者を育児休業の対象外としている場合でも、上記イの周知だけは行う必要があります。
  (→その後、入社後1年となった時点で子が1歳に達していなければ育児休業の申出が可能となるためです。
    ここでの継続雇用期間には、産前産後休業の期間も含むため、その期間中に1年の要件を満たすことも
    あり得ます。)

 その方法については、オンラインを含む面談、郵送を含めた書面の交付に加え、その申出をした労働者が希望する場合に限って、FAXや電子メールなどを利用できます。
   

 育児休業申出が円滑に行われるようにするため、次のイ~ニの「育児休業に係る雇用環境の整備」のうち1つ以上実施することが事業主に義務づけられています。

イ 育児休業・出生時育児休業に関する研修の実施
    ⇒ 少なくとも管理職の者については研修を受けたことのある状態にすべきとされている
      オンライン研修については、事業主の責任で受講管理等を行う必要がある

ロ 育児休業・出生時育児休業に関する相談体制の整備等(相談窓口設置)

    ⇒ 形式的な設置ではなく、実質的な対応が可能な窓口を設けることに加えて、労働者にその窓口を
      周知するなどして、利用しやすい体制を整備しておくことが必要
      (以上の要件を満たしていれば、既存の相談窓口での対応も可) 

ハ 自社の労働者の育児休業・出生時育児休業取得事例の収集・提供

    ⇒ 男女双方の事例を収集し、提供することが原則であり、収集した事例を掲載したペーパーの配布や
      イントラネットへの掲載などを行う

ニ 自社の労働者へ育児休業・出生時育児休業制度と育児休業取得促進に関する方針の周知

    ⇒ ここでの方針は、事業主の方針のことで、周知の方法は前記ハの提供と同様です。

※ 上記ハ、二ついては、いったん実施した後にも定期的な情報の更新や方針の周知が必要とされている。

※ この措置の法的義務付けは、対象の事業主を限定しておらず、すべての事業主が実施することとなります。
  

 育児・介護休業法ではこれまで、有期契約社員(有期雇用労働者)について、その事業主の雇用期間が1年以上であることを育児休業取得の要件としていましたが、2022年4月にこの要件が削除されました。

 2022年4月以降、有期雇用労働者の育児休業取得の要件に関する規定は、次のイ、ロの2つです。   

イ 育児・介護休業法での有期雇用労働者の育児休業取得の要件
   ・子が1歳6か月に達する日までに、労働契約の期間が満了することが明らかでないこと
     (→労働契約が更新される場合には、更新後の契約期間等で判断)


ロ 労使協定に定めることで次の者を育児休業の対象外にできる
   ・その事業主の継続雇用期間が1年未満の者
   ・育児休業申出の日から1年以内に雇用関係が終了することが明らかな者
   ・週の所定労働日数が2日以下の者

※ ロの3項目は、これまでもあったもので、そのうち 「継続雇用期間1年未満」は、これまでは有期雇用労働者以外
  の者(正社員や無期雇用労働者など)を対象としていたものです。
   (→有期雇用労働者は、法律上の継続雇用期間の要件があったので、労使協定で対応する必要は無かった。)

  今回、有期雇用労働者も法律上の要件が削除されたので、その他の者と同様に労使協定で定めれば継続雇用期間

  1年未満の場合は対象外にできるという位置づけです。
  

 主に男性社員の育休取得促進(※)のため、子の出生後8週間(産後休業の期間)以内で取得できる「産後パパ育休」制度が創設されます。(現行のパパ休暇は廃止)

  (※) 養子縁組、特別養子縁組などの場合は、女性社員も取得可能

 具体的には、
子の出生後8週間(産後休業の期間)以内に合わせて4週間まで取得可能
〇 2回に分けて取得可能(産後パパ育休に限り、初回・2回目を合わせて申し入れる)
〇 休業の申し出は、休業開始の2週間前まででOK

〇 有期雇用労働者は、子の出生後8週間となる日の翌日から6月以内の契約満了が明らかでない場合に、
  対象となります。


労働者からの申し出により休業中の就業が可能となります。
 (就業可能となるのは、その事業所で必要な労使協定が締結され、使用者・労働者間で休業中の就業に
  ついて個別合意している場合に限られます。)


  就業する場合の上限は、休業期間中の所定労働日・所定労働時間の半分(休業開始・終了予定日を就業日
  とする場合は当該日の所定労働時間数未満)です。また、就業した日は、社会保険料免除の判定をする際
  の休業日数には含まれません。


〇 育児休業給付金(出生時育児休業給付金)の対象となります。
  (休業中の就業日数が一定以上の場合は対象外。また、「休業中就業の賃金+給付金」が「休業前賃金

  日額×休業日数」の80%を超える場合は、その超過額を給付金から減額。)
   

 産後パパ育休版の育児休業給付です。
 支給額は、「休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 67%」であり、休業中の就労に賃金の支払いがあれば、その額に応じて支給額を調整減額します。
 出生時育児休業給付金の支給日数を、育児休業給付金の支給日数と通算して180日を超えたところ(181日以降)から育児休業給付金の給付率が50%になります。

  
 産後パパ育休4週間取得の場合は、休業中の就業日数が就労の上限10日を超えると支給対象外となります。
  (→10日超でも就労時間80時間以下の場合は支給対象)
 4週間未満(27日以下)の休暇取得では、10日に「取得日数/28日」の値を乗じた日数が就労の上限となります。

   

 従来からの育児休業についても、2回までの分割取得が可能となります。
 (今回の法改正での産後パパ育休を含めると、男性社員は最大4回、女性社員は最大2回の育休分割
  取得が可能となる)
 

 1歳(1歳6か月)以降の育児休業について、期間の途中で配偶者と交代して育児休業を開始できるようになります。
 (現在、1歳以降の延長での育休開始日は1歳、1歳半の時点に限定されています。)

  

 現在、育児休業期間中の社会保険料の免除要件は、「その月の末日が育児休業期間中である場合」ですが、「産後パパ育休」の創設に伴い、2022年10月から次の2つを満たす場合も社会保険料の免除対象月となります。

 ① その月の末日が育児休業期間中である場合
 ② 同一月内で育児休業を取得(開始・終了)し、その日数が14日以上の場合
   (賞与に係る保険料については連続して1か月を超える育児休業を取得した場合に限り免除)

    

 常時雇用する労働者が1,000人を超える事業主に、次のいずれかを年1回、一般の方が閲覧できる方法(インターネットなど)で公表することが義務付けられます。
 ① 育児休業等の取得割合
 ② 育児休業等と育児目的休暇の取得割合

   

【現行と2022(令和4)年10月以降の育児休業の比較】

(出典)育児・介護休業法の改正について(厚生労働省):2021年11月30日更新版

現行の制度については、別投稿で解説しています。 

別投稿で「改正育児・介護休業法に関するQ&A」を取り上げています。 
   

   

【この投稿の執筆者】
  
 札幌・新道東社労士オフィス代表
    特定社会保険労務士 塚田 秀和

代表 塚田秀和