76 厚生労働省助成金の生産性要件について

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 厚生労働省助成金のうち下表のものでは、生産性向上の取り組み支援のため、所定の期間の前後で比較して生産性が向上している事業所に対して、助成額もしくは助成率の割増を行います。
 ここで、生産性向上の度合いを判定する基準が「生産性要件」です。
 

生産性要件での割増対象となる助成金】

※ 要件の判定対象期間、割増の内容は、助成金コースごとの確認が必要です。

  

生産性の指標算出と比較

 この要件の判定に使う「生産性」の指標は、次の式で算出します。

 
  

 そして、上記の生産性を「助成金の支給申請日の直近の会計年度」と「その直近の会計年度の3会計年度前」で算出し、比較して生産性の伸び率が6%以上であれば、「生産性要件を満たす」と判断されます。
  


    

   

財務諸表が必要

 生産性算定式の分子となる付加価値の計算には、財務諸表(損益計算書、販売費・一般管理費内訳書など)が必要となります。それらが助成金を申請する事業所を単位として作成されていれば問題ないのですが、実際には、もっぱら企業単位で作成されるものなので、生産性の算定も企業単位というケースが多くなります。
 なお、支店単位など事業所により近い組織単位で作成している場合は、そちらを採用します。

   

直近とその3会計年度前との比較で6%以上の生産性の伸びが必要

 生産性伸び率の算定式のところにも書いたように、助成金の支給申請をした日から見て直近の会計年度の生産性が、その3年度前の生産性より6%以上伸びている場合は「生産性要件を満たす」として、助成額もしくは助成率の割増が行われます。
 なお、伸びが1%以上6%未満でも金融機関から一定の「事業性評価」を得ていれば、要件を満たしたことになります。
     

直近の3会計年度前の申請事業所の状況によっては対象外

 生産性の比較の対象となる時点(直近の3会計年度前の年度初日)で、助成金を申請する事業場が雇用保険適用事業場でない場合には、生産性要件判定の対象外となります。
 ちなみに、上記の支給申請日が令和4年7月1日のケースでは、平成30年4月1日の時点で雇用保険適用事業所である必要があります。
     

人件費関連の勘定科目の取り扱いに注意

 人件費では、該当するものしないもの、算定に含める場合とそうでない場合を細かく定めています。

〇 従業員については、法定福利費に加えて、福利厚生費のうち雑給(臨時アルバイト給与等)、特に設けられ
  ている研修費、教育訓練費も算定に含める。

〇 役員の報酬、賞与、法定福利費、退職慰労金その他手当などは算定に含めない。

〇 従業員の退職金退職慰労金については、販売費及び一般管理費に計上のものは算定に含め、特別損失等に
  計上のものは含めない。

〇 通勤費は、諸手当として人件費に該当するものと取り扱う。(旅費交通費に含めている場合は除く)
  旅費交通費(出張旅費等)は、人件費に該当しないものとして取り扱う。

〇 外注加工費などで計上された派遣労働者に係る派遣手数料は、人件費に該当しないものとして取り扱う。
    

生産性が伸びていても事業主都合による離職者がいると対象外

 生産性要件の算定対象期間中、つまり直近会計年度の3年度前(上記のケースでは、平成30年4月1日が初日)から直近会計年度(同じく、令和4年3月31日が末日)の間に事業主都合による離職者等(退職勧奨を含む)がいた場合には、計算上は6%以上の伸びがあったとしても、生産性要件を満たしたことによる助成額や助成率割増の対象外になってしまいます。
     

算定ツールの入手

 生産性要件算定のための「生産性要件算定シート」は厚生労働本省HPからダウンロードできます。

「生産性要件算定シート」ダウンロードページへのリンク

  

事業性評価

 この評価は、都道府県労働局が助成金申請者の承諾のもと、与信取引などがある金融機関に事業の見立て(市場での成長性、競争優位性、事業特性及び経営資源・強み等)を照会して、その回答を参考に割増支給の可否を判断するものです。
  

ここでいう「与信取引」とは?

 金融機関から実際に借入をしている場合に限らず、借入限度額は設定しているが実際の借入はない場合なども該当します。
     

 次の助成金(コース)について、事業性評価を行うことはできません。(伸び率6%以上の要件のみ)

・中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)
・人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)
・65歳超雇用推進助成金(すべてのコース)
・人材開発支援助成金(教育訓練休暇付与コースを除くすべてのコース)

【この投稿の執筆者】
  
 札幌・新道東社労士オフィス代表
    特定社会保険労務士 塚田 秀和

代表 塚田秀和