75 時間単位年休について

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 2010(平成22)年4月の労働基準法改正で時間単位年休が導入されてから今年(令和3年)で10年ほど。比較的新しい休暇取得の仕組みです。
 事業主にとっては、休暇の管理が煩雑になるデメリットがありますが、
従業員にとっては、小学校入学以降の子供関係、病院への定期的な通院、突発的な介護など活用できる場面が結構あるものです。
 導入している企業は、少し前、4年前の調査ではまだ5社に1社(平成29年就労条件総合調査/厚生労働省)にとどまっていますが、それ以前に比べれば導入割合は増加傾向にあります。

  

1. 労 使 協 定

 時間単位年休の導入にあたっては、過半数労働組合もしくは過半数代表者との労使協定を締結して、
 ① 対象となる労働者の範囲
 ② 時間単位年休の年間日数(5日以内)
 ③ 時間単位年休1日の時間数
 ④ 1時間以外の時間を単位とする場合の時間数
を定めます。
  

2. 年間の上限日数/取得の単位

 年間5日を超えての取得は原則として認められていません。
 前年度の時間単位年休の使い残しを繰り越しても、当年度のものとあわせて取得できるのは5日までです。

唯一の例外は、法定日数を超えた年休を付与する場合に、その超えた分を時間単位年休の枠とした場合です。例えば、新規雇用の従業員に対して入社半年後に法定の10日を超える12日の年休を付与して、時間単位年休を7日(本来の上限5日+超過分2日)とするケースです。
  
 時間単位年休1日の時間数は、1日の所定労働時間を使いますが、このとき、所定労働時間に1時間未満の端数があれば労働者の不利益とならないよう1時間に切り上げます。例えば、7時間45分であれば切り上げて8時間とします。
 取得の単位については、1時間に限らず1日の所定労働時間(端数切り上げ後)の範囲内で任意の時間数を定めることができます。

  

3. 取得したときに支払う賃金

 取得したときに支払う賃金は、日単位の年休と同じ方法により算出します。
 その方法が通常の賃金(所定労働時間の労働に支払う賃金)の場合は、通常の出勤をしたものと取り扱うことにより、休暇取得時間の賃金計算と支払は必要なくなります。
  

4. 事業主の時季変更権

 事業主の時季変更権は日単位の休暇と同様に認められています。
 ただし、時間単位の請求を日単位に、日単位の請求を時間単位に変更することは、時季変更にあたらないので認められません。
  

5. 年5日の年休付与義務との関係

 最後になりますが、時間単位年休は、①年5日を超える年休についての計画的付与制度、②平成31年4月から実施の年5日の年休付与義務の対象ではありません。
 時間単位での付与は、あくまでも労働者の請求があった場合に限られるものであり、それらの仕組みで付与を決定したり、事業主の義務として付与するものではないからです。

   

【この投稿の執筆者】
  
 札幌・新道東コンサルオフィス代表
    特定社会保険労務士 塚田 秀和

代表 塚田秀和