75 時間単位年休について

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 時間単位年休は、事業主にとっては、休暇の管理が煩雑になるデメリットがありますが、従業員にとっては、小学校入学以降の子供関係、病院への定期的な通院、突発的な介護など活用できる場面が結構あるものです。
 導入済みの企業は、ほぼ5社に1社という状況です。
(令和2年、JILPT調査)

  

労 使 協 定

 時間単位年休の導入にあたって、次の4つの事項を定めて労使協定を締結します。
 このとき、事業主と協定を締結するのは、過半数労働組合もしくは過半数代表者です。

  

対象となる労働者の範囲

〇 日単位の年休と異なり、時間単位年休の仕組みがなじまない業務の従事者(例えば、一斉に作業を行うことが必要
  とされる業務の従事者など)がいることを考慮して、対象範囲を定めることとしたものです。

利用目的によって時間単位年休の対象労働者の範囲を定めることはできません。
  (→年次有給休暇をどのように利用するかは労働者の自由であるため)

  

時間単位年休の年間日数

労働者に1年間に与えられる年次有給休暇のうち5日を上限に時間単位で取得できます。
  また、5日以内であれば、労使協定で3日や4日といったように任意の日数をその事業場での上限として定める
  ことができます。
  (→上限5日の制限は、まとまった日数の休暇を取得するという年次有給休暇制度本来の趣旨との兼ね合い)

週所定労働日数や週所定労働時間が少ないため、年5日未満の年次有給休暇を比例付与されている者については、
  その比例付与されている日数の範囲内で、時間単位で取得できる日数の上限を定めます。


その年度末の時間単位年休の取得残は、本来の年次有給休暇と同じく次年度に繰り越すことができます。
  その場合、次年度の時間単位年休の上限日数は、繰越し分を含めて最大5日となります。

  

時間単位年休1日の時間数

時間単位年休1日の時間数は、1日の所定労働時間を使います
  所定労働時間に1時間未満の端数があれば1時間に切り上げます。例えば、7時間45分であれば切り上げて8時間
  とします。

日によって所定労働時間が異なる場合は、1年間における1日平均所定労働時間数、
  年間の総所定労働時間数が決まっていない場合は、所定労働時間数が決まっている期間における1日平均所定労働

  時間数をそれぞれ用いて、時間単位年休1日の時間数を定めます。
  

1時間以外の時間を単位とする場合の時間数

前記の時間単位年休1日の時間数未満であれば、任意の時間数(例えば、2時間、3時間など)を年休の取得単位
  として定めることができます。


時間単位年休の取得単位はあくまでも時間単位で、1時間未満(分単位)の取得単位を定めることはできません。
  

労使協定での定めとして認められないもの

時間単位年休を取得することができない時間帯を定めておくこと
所定労働時間の中途に時間単位年休を取得することを制限すること
一日において取得することができる時間単位年休の時間数を制限すること など

  

時間単位年休の上限を年5日超とするには

 唯一の方法は、法定日数を超えた年休を付与して、その超えた分を時間単位年休の枠とすることです。例えば、新規雇用の従業員に対して入社半年後に法定の10日を超える12日の年休を付与して、時間単位年休を7日(本来の上限5日+超過分2日)とするケースです。
 

時間単位での「子の看護休暇」の取得が困難と認められる業務(参考事例)

 育児・介護休業法での子の看護休暇について、時間単位での取得が困難と認められる業務の従事者は、労使協定に定めれことで、時間単位のこの看護休暇の対象外とすることができます。(1日単位での取得の対象外とすることは不可)

 そのような業務の例が関連指針で3つ挙げています。

〇 国際路線等に就航する航空機において従事する客室乗務員等の業務等であって、所定労働時間の途中
 まで又は途中から子の看護休暇又は介護休暇を取得させることが困難な業務

長時間の移動を要する遠隔地で行う業務であって、時間単位の子の看護休暇又は介護休暇を取得し
  後の勤務時間又は取得する前の勤務時間では処理することが困難な業務

流れ作業方式や交替制勤務による業務であって、時間単位で子の看護休暇又は介護休暇を取得する者
  を勤務体制に組み込むことによって業務を遂行することが困難な業務

  

実務でのポイント

時間単位年休取得時の賃金

 取得したときに支払う賃金は、日単位の年休と同じ方法により算出します。その方法が通常の賃金(所定労働時間の労働に支払う賃金)の場合は、通常の出勤をしたものと取り扱うことにより、休暇取得時間の賃金計算と支払は必要なくなります。
 なお、時間帯で金額が異なる時間給で勤務する労働者が取得した場合も同じ取り扱いです。
  (→同じ労働日内で、時間単位年休を取得した時間帯により支払う賃金額が変わることはない

  

事業主の時季変更権

 事業主の時季変更権は日単位の休暇と同様に認められています。ただし、時間単位の請求を日単位に、逆に日単位の請求を時間単位に変更することは、時季変更にあたらず認められません。
  

年5日の年休付与義務などとの関係

 労働基準法での事業主からの年5日の年休付与義務について、使用者による時季指定を時間単位年休で行うことは、労働者の意見聴取時に労働者から時間単位での取得希望があったとしても認められません。
 (→半日単位での時季指定は可)


 同じく労働基準法での年5日を超える年休についての計画的付与制度で、計画的付与として時間単位年休を与えることはできません。
 (→時間単位年休は、労働者が時間単位での付与を請求した場合にのみ与えることができるものであるため)

  

【この投稿の執筆者】
  
 札幌・新道東社労士オフィス代表
    特定社会保険労務士 塚田 秀和

代表 塚田秀和