72 高年齢雇用継続給付と今後の給付の見直しについて

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 高年齢雇用継続給付については、65歳までの定年の引上げ、65歳までの継続雇用制度の導入といった高齢者雇用確保措置の進捗などに伴い、令和7年度から給付水準が見直されることとなりました。今回は、その現在の制度内容と給付の見直しについて見ていきます。

現在の制度について

 現在の制度は、
・基本手当を受給せずに雇用を継続する者が対象の「高年齢雇用継続基本給付金」
・基本手当を受給した後再就職した者が対象の「高年齢再就職給付金」
の2つの給付金から成っています。
  各給付金の支給対象者、支給額、支給期間は下表のとおりです。

  

支給額の計算について

 支給額の計算は、①低下率の算出、②低下率に応じた支給額の算出、③支給額度額による調整等の順で行います。
 

① 低下率の算出

 ここでいう「低下率」とは、対象となる方の支給対象月の賃金額の「60歳到達前6か月の平均賃金」からの減額の度合いを表す数値であり、次の計算式で算出します。
 

 支給対象月の賃金額は、実際に支払われた額を使うのが原則です。(上限額 476,700円、下限額 75,000円)
 ただし、①支給対象月の賃金額が低下していて、②その理由が雇用保険での給付をするには適切でない場合には、「みなし賃金額」を使います。みなし賃金額は、次のような適切でないケースによる減額相当分と、実際に支払われた金額の合計額となります。

・被保険者の本人の非行などでの懲戒による減額
・疾病、負傷等での欠勤、遅刻、早退などによる減額
・事業所の休業
・妊娠、出産、育児、介護等での欠勤、遅刻、早退などによる減額
  

② 低下率に応じた支給額の算出

 ①で算出された「低下率」に応じて下表の計算式により支給額を算出します。
 
  

③ 支給限度額による調整等

 ②で算出された支給額が「支給限度額」以下の場合は、満額の支給となります。
 支給限度額(令和2年3月1日以降は、363,344円)を超える場合は、下表のとおりの取扱いとなります。その逆に最低限度額2,000円を超えない場合は、支給額ゼロとなります。

 
 
  

併給調整について

  

① 再就職手当との調整 

 再就職手当と高年齢再就職給付金は併給できず、いずれかを選択して受給します。(両方とも受給することはできないということ)
  

② 特別支給の老齢厚生年金との調整

 一定の要件(生年月日)に該当した場合に支給される「65歳までの特別支給の老齢厚生年金」と高年齢雇用継続給付を両方とも受給している場合は、下表のとおり老齢厚生年金の受給額を調整します。

 

給付金の初回受給手続きについて

 令和2年6月1日以降に初めてこれらの給付金の支給を申請する場合は、
「雇用保険被保険者六十歳到達時等賃金証明書の提出及び高年齢雇用継続給付受給資格確認・高年齢雇用継続給付(高年齢雇用継続基本給付金・高年齢再就職給付金)の申請(初回申請)(令和2年3月以降手続き)」を使用することになります。従来の「平成30年10月以降手続き」は使用できなくなります。
  

今後の給付の見直しについて

 2020(令和2)年3月31日に参議院本会議で可決成立した「雇用保険法等の一部を改正する法律」において、高年齢雇用継続基本給付金、高年齢再就職給付金の改正として、次のとおり変更されます。施行予定日は、2025(令和7)年4月1日です。

支給額を算出するときに、各月の賃金に乗じる基本の率を現行の15%から「10%」にする
 (逓減率もこれに応じて変更されます)
支給率逓減の対象を、低下率61%以上から「64%以上」にする

 これらは、2019(令和元)年12月25日の「労働政策審議会職業安定分科会 雇用保険部会報告」において、
・令和6年度までは現状を維持した上で、65歳未満の継続雇用制度の経過措置が終了する令和7年度か
 ら新たに60歳となる高年齢労働者への同給付の給付率を半分程度に縮小することが適当
・給付の見直しに当たり、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保(同一労働同一賃金)を推進する
 などの観点から、高年齢労働者の処遇の改善に先行して取り組む事業主への支援策と、給付金の給付
 率の縮小後の激変緩和措置をあわせて講じていくべき
としたことを反映しています。