高年齢雇用継続給付の見直しに関する法案が通常国会に提出される見込みとなりました。今回は、その現在の制度内容と給付の見直しについて見ていきます。

現在の制度について

 現在の制度は、基本手当を受給せずに雇用を継続する者が対象の「高年齢雇用継続基本給付金」、基本手当を受給した後再就職した者が対象の「高年齢再就職給付金」の2つの給付金からなっています。 各給付金の支給対象者、支給額、支給期間は次の表のとおりです。

■支給額の計算について

 まず、各支給対象月ごとに次の計算式で「低下率」を算出します。以下の文中で「賃金額」というのは、実際に支払われた賃金額のことです。(みなし賃金額を用いる場合は除く)

 次に、算出された低下率に応じて、次の計算式で支給額を算出します。

 低下率計算の際に「みなし賃金」を用いるのは、支給対象月の賃金額が低下していて、その理由が雇用保険による給付を行うのが適切でないものである場合です。具体的には、次のようなケースが該当します。

  • 被保険者の本人の非行などでの懲戒による減額
  • 疾病、負傷等での欠勤、遅刻、早退などによる減額
  • 事業所の休業
  • 妊娠、出産、育児、介護等での欠勤、遅刻、早退などによる減額

以上のケースによる減額相当を「実際に支給された賃金額」に加算したのが、みなし賃金額となります。

 「支給対象月の賃金額が支給限度額以上の額である場合の処理」は、次のとおりです。

■併給調整について

 再就職手当と高年齢再就職給付金は併給できず、いずれかを選択して受給します。

 現在、一定の要件(生年月日)に該当した場合に支給される、65歳までの特別支給の老齢厚生年金と、高年齢雇用継続給付を併給している場合は、次のとおり老齢厚生年金の受給額を調整します。

今後の給付の見直しについて

 通常国会に提出予定の「雇用保険法等の一部を改正する法律案」の要綱で高年齢雇用継続基本給付金の改正として、次のとおり変更するとしています。施行予定日は、2025(令和7)年4月1日です。

  • 支給額を算出するときに、各月の賃金に乗じる基本の率を現行の15%から「10%」にする(逓減率もこれに応じて変更されます)
  • 支給率逓減の対象を、低下率61%以上から「64%以上」にする

 これについては、昨年12月25日の「労働政策審議会職業安定分科会 雇用保険部会報告」において、

  • 令和6年度までは現状を維持した上で、65歳未満の継続雇用制度の経過措置が終了する令和7年度から新たに60歳となる高年齢労働者への同給付の給付率を半分程度に縮小することが適当
  • 給付の見直しに当たり、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保(同一労働同一賃金)を推進するなどの観点から、高年齢労働者の処遇の改善に先行して取り組む事業主への支援策と、給付金の給付率の縮小後の激変緩和措置をあわせて講じていくべき としたことを反映しています。