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  3. 67 政府の就職氷河期世代支援について

 昨年5月の就職氷河期世代支援プログラム(3年間の集中支援プログラム)の公表から本格化した政府の就職氷河期世代への支援について見ていきます。

就職氷河期世代支援プログラム

 このプログラムでは、現在30代半ばから40代半ばである就職氷河期世代に対する3年間の集中的な取り組みにより、同世代の正規雇用者を30万人増やす目標を打ち出しています。

 支援対象となる方は、いくつかのパターンを想定し100万人程度と見込んでいます。

  • 正規雇用の希望はあるが不本意に非正規雇用で働く者(少なくとも50万人)
  • 就業希望はあるが様々な事情により求職活動をしていない長期無業者
  • 社会とのつながりを作り、社会参加に向けてより丁寧な支援を必要とする者など

 施策の方向性として、次の2つの支援展開の仕方とその施策が示されました。

■相談、教育訓練から就職まで切れ目のない支援

 支援対象者側から関係機関などへのアクセスを前提とした支援であり、ハローワークに専門窓口を設置し、各専門担当者のチーム制での伴走型就職支援を行います。また、社会人の再学習、学び直し(リカレント教育)として、就業、子育てをしながら資格取得を目指すプログラム、短期間での資格取得と職場実習を組み合わせた出口一体型プログラムなどを整備します。採用側の受入機会を増やすために、採用選考を兼ねた社会人インターンシップ、助成金の見直し等による企業のインセンティブ強化などを実施します。これらの施策は、専門ノウハウを有する民間事業者への成果連動型の業務委託を行うことで加速化させます。

■個々人の状況に合わせた、より丁寧な寄り添い支援

 関係機関側から支援対象者への働きかけに重きを置いた支援であり、地域若者サポートステーションや生活困窮者相談支援機関のアウトリーチ機能を強化するなどして、人・家族の状況に合わせた息の長い継続的な伴走支援を行います。また、ひきこもり経験者の参画やNPOの活用も進めていきます。

就職氷河期世代支援に関する行動計画2019

 昨年12月下旬に公表されたこの行動計画において、昨年5月の支援プログラムの支援策が具体化されました。数多い具体策からいくつか見てみます。

■地域における就職氷河期世代の先進的・積極的な取組への支援

 地域の関係機関、当事者団体や支援団体などと連携して、就職氷河期世代への先進的な支援に積極的に取り組む自治体などへの支援策として「地域就職氷河期世代支援加速化交付金」を創設します。(内閣府)

■ハローワークに専門窓口を設置、担当者によるチーム支援の実施

 対象者それぞれの課題や状況に対応するため、 全国の主要ハローワーク69か所に専門窓口を設置して、 キャリアコンサルティング、生活設計面の相談、職業訓練のアドバイス、求人開拓などの専門担当者がチームとして、就職から職場定着までの一貫した支援を実施します。(厚生労働省)

■業界団体等による短期間での資格取得・正社員就職の支援

 就職氷河期世代を視野に入れた「短期資格等習得コース(仮称)」を創設して、1~3か月程度での安定就労につながる資格取得などを支援します。また、正社員就職支援の出口一体型訓練として、業界団体委託での訓練、短期間の職場見学・体験、就職支援を組み合わせた展開なども考えられています。(厚生労働省)

■特定の業界への新規就業者の確保・育成

 観光業 、自動車整備業、建設業、造船・舶用工業、船員等(以上、国土交通省)、農業、林業、漁業(以上、農林水産省)

■求職者支援訓練の訓練期間などの下限の緩和

 求職者支援訓練の実践コースのうち、医療事務や介護初任者といった就職に直結する資格を取得できる特定の訓練コースについて、訓練期間の下限を、現行の3か月以上から2か月以上に緩和します。在職者や育児・介護中など時間的制約がある方を対象とする訓練コースでの訓練時間の下限を緩和して、夜間、土日の受講を可能にします。(厚生労働省)

■助成金の拡充など

 トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)の拡充、特定求職者雇用開発助成金の拡充(就職氷河期 世代安定雇用実現コースの創設)、人材開発支援助成金の要件緩和、キャリアアップ助成金(正社員化コース) (厚生労働省)

■就職氷河期世代の不安定就労者・無業者を対象とした募集機会の拡大

 不安定就労者・無業者のうち、就職氷河期世代を対象とした年齢限定の求人について、ハローワーク限定から民間の職業紹介事業者を通じた求人も可能とすることを検討して、必要な措置を行います。(厚生労働省)

■民間事業者のノウハウを生かした不安定就労者の就職・定着支援

 就職氷河期世代の不安定な就労状態にある方の多い全国16か所の都道府県労働局を選定し、成果連動型の民間委託事業を実施します。具体的には、2~3か月の教育訓練、職場実習などの費用を民間事業者へ支給します。そして、訓練を受けた方の安定就職後の定着支援について、6カ月及び1年経過時点での定着の実績に成果連動型の委託費を支給します。(厚生労働省)

■アウトリーチ等の充実による自立相談支援機関の機能強化

 自立相談支援機関の窓口にアウトリーチ支援員を配置して、アウトリーチを充実させます。この支援員は、家族などからの相談について、自宅訪問をして本人に接触するなどして初期のつながりを確保するほか、つながりが出来た後の信頼関係の構築、本人に同行しての関係機関への相談、就労支援といった、自立までの一貫した支援を行います。

■地域若者サポートステーションの支援対象の拡大、福祉機関等へのアウトリーチの強化

 全国177か所のサポステで、支援対象を49歳まで拡大し、就職氷河期世代の無業者に対する相談体制を整備します。また、支援対象者の把握・働きかけのため、生活困窮者自立支援窓口や福祉事務所、ひきこもり支援センターといった福祉機関などへのアウトリーチ型支援(出張支援)を実施します。

■国家公務員の中途採用の促進

 令和2年度から令和4年度まで集中的に取り組みます。先行的取り組みとして、令和元年度に内閣府、厚生労働省で公募を実施して、その後、令和2年夏に向けて全府省の中途採用に向けた取組を具体化します。(内閣官房、人事院)

■地方公務員の中途採用の促進

 令和元年度内に、全地方自治体を対象に採用規模やスケジュールなどを調査、令和2年度以降、集中的に取組を要請し、取組の具体化を図ります。(総務省)

 最近の目に見える動きとして、昨年の12月下旬に就職氷河期世代限定の職員採用試験の受付を、内閣府(係長、係員若干名)と、厚生労働省(係員10名)が始めました。年末年始を挟んで1月中旬に申し込みを締め切ったところ、正式な報道発表のあった厚生労働省分だけでも1,900名余りの応募がありました。