67 専門実践教育訓練給付

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 雇用保険の教育訓練給付の対象となる訓練には、そのレベルなどに応じて専門実践教育訓練、特定一般教育訓練、一般教育訓練という3つのカテゴリーがありますが、そのうち中長期的なキャリア形成のための専門的かつ実践的な教育訓練という位置づけにあるのが「専門実践教育訓練」です。
 また、令和7年3月までの暫定措置として失業している専門実践教育訓練給付金の受給資格者を対象とした「教育訓練支援給付金」が設けられています。

  

対象となる講座(指定講座)

 次の7つのカテゴリーで、給付対象講座が今年(2022年)10月に新規指定されるものを含めると2,671講座で、そのうち独占資格取得に関するものが6割を占めます。また、通学制が主流で通信制は2割程度です。
  
   

1. 業務独占資格又は名称独占資格の取得を目標とする養成課程

介護福祉士、社会福祉士、看護師、美容師、歯科衛生士、保育士、調理師 など
訓練期間は、一部を除き1年以上3年以下で目標とする資格の取得に必要な最短期間

    

2. 専門学校の職業実践専門課程及びキャリア形成促進プログラム

・専修学校の専門課程のうち、企業との連携などにより、最新の実務知識等を身に着けられるよう教育課程を編成し
 たもので、その分野は、商業実務、衛生関係、工業関係、文化、動物、情報処理、自動車整備など
訓練期間は、職業実践専門課程で2年、キャリア形成促進プログラㇺの専門課程は1年以上2年未満など
   

3. 専門職学位課程

ビジネス・MOT法科大学院・司法試験合格、教職大学院など
高度専門職業人の養成を目的とした課程で、訓練期間は2年または3年以内
     

4. 大学等の職業実践力育成プログラム

・大学、大学院、短期大学及び高等専門学校の正規課程及び履修証明プログラムのうち、社会人や企業などのニーズ
 に応じた実践的・専門的なプログラム
・保健、社会科学・社会などの正規課程、保険、工学・工業などの特別の課程
・訓練期間は正規の課程は1年以上2年以内、特別の課程は訓練時間が120時間以士かつ訓練期間が2年以内
       

5. 一定レベル以上の情報通信技術に関する資格取得を目標とする課程

・現在指定講座なし
・ITスキル標準レベル3相当以上の資格の取得を目標とした教育訓練講座
・一部を除き、訓練時間は120時間以上、訓練期間が2年以内
  

6. 第四次産業革命スキル習得講座

・社会人向けの専門的・実践的なITスキル標準レベル4相当以上の教育訓練講座
・訓練時間30時間以上で、訓練期間は2年以内

  

7. 専門職大学等の課程

・現在指定講座なし
・高度専門職業人の育成を目的とした課程で、訓練期間は、2年または3年以内
  

 指定講座のWeb検索は、ハローワークインターネットサービス(HWIS)内の       
「教育訓練制度 厚生労働大臣指定教育訓練講座」でできます。 
   

  

専門実践教育訓練給付金の支給対象者

 訓練の開始日に在職者(雇用保険の被保険者)であるか、離職者であるかによって要件が変わります。
       

〇 在 職 者

 訓練の開始日において、雇用保険加入期間(支給要件期間)が3年以上あること。
 なお、初回の給付(※)であれば、雇用保険加入期間が2年以上あれば要件を満たします。

 (※) 平成26年10月1日以降に教育訓練給付金を受けたことがなく、初めて専門実践教育訓練給付金を
   受けようとする者が該当します。

〇 離 職 者

 離職(雇用保険の被保険者資格を喪失)してから1年以内であれば、適用対象期間内で在職者と考え方は同じです。
 

支給要件期間

 訓練の開始日(基準日)までの間に同一の事業主の適用事業に継続して被保険者として雇用された期間
  (→日雇労働被保険者を除き、高年齢被保険者及び短期雇用特例被保険者を含む。)

 なお、その事業主の適用事業に雇用された日より1年以内に他の事業主の適用事業に雇用された期間がある場合は、その期間も支給要件期間に合算します。
  (→基本手当等を支給していても通算します。)
  

適用対象期間とその延長

 原則は、被保険者資格を喪失した日(離職した日の翌日)から1年間で、受講開始日がこの期間内にあることが教育訓練給付金の受給要件の一つです。
 その延長は、引き続き30日以上訓練の受講を開始できない者が、ハローワークにその旨を申し出て、該当する理由により受講を開始できない日数を本来の適用対象期間(1年間)に加算するものです。
 なお、加算された期間が20年を超えるときは、20年とされます。

   

訓練開始前に必要な手続き

 訓練給付金を受給するには、受講開始日の1か月前までに、居住地のハローワークで次のイ~ハの一連の手続きを行う必要があります。

イ 訓練前キャリアコンサルティングを受ける
ロ イを行ったキャリアコンサルタントによるジョブ・カードの作成
ハ 受給資格確認票とロで作成したジョブカード等を提出して専門実践教育訓練受給資格の認定を受ける

  

教育訓練経費

 訓練給付金の対象となるのが「教育訓練経費」で該当するのは、次のイ、ロのうち受講終了日までに支給対象者自らの名義で直接指定教育訓練実施者に支払ったものです。
 ここで経費として計上するイ、ロの額は、指定教育訓練実施者が証明する額です。

  イ 入学料(受講開始時に納付する入学金又は登録料)
  ロ 受講料(受講費、教科書代及び教材費で最大3年分)

   

教育訓練経費とならない費用の例

・検定試験の受験料
・受講に当たって必ずしも必要とされない補助教材費
・教育訓練の補講費
・教育訓練施設が実施する各種行事参加に係る費用
・学債等将来受講者に対して現金還付が予定されている費用
・受講のための交通費
・パソコン、ワープロ等の器材等
・クレジットカードを利用する場合の支払い手数料(金利)
・事業主などが指定教育訓練実施者に支払った額

  

教育訓練経費から差し引く費用の例

・事業主などが指定教育訓練実施者に支払った額
・教育訓練施設から受け取った物品・粗品等の合計額(千円未満のときは、差し引かない)
・専門実践教育訓練に係る公的な割引制度又はその他の割引制度が適用された場合の当該割引額

  

受講に伴い事業主などから支給された手当の取り扱い

・その手当のうち明らかに入学料または受講料以外に充てられる額を除き、教育訓練経費から差し引く  

  

給付金の支給手続き・支給額

 この教育訓練に係る給付金は、訓練受講時、資格取得や就職をした後の2回に分けて支給されます。
  

〇 支給手続き

 支給手続きは、支給単位期間(訓練の受講開始日から6か月ごとに区切った期間)ごとに居住地のハローワークに本人が受給申請書を持参して行うのが原則です
 ただし、疾病又は負傷その他やむを得ない理由があると認められた場合に限り、社会保険労務士の提出代行を含む代理人(※)または郵送により行うことができます。
  (→支給対象者が在職中でハローワークへの出頭が困難なこともやむを得ない理由となる)

 (※) 次の者を支給申請の代理人とすることはできません。
    ・指定教育訓練実施者及び教育訓練施設、その販売代理店など所属する者
    ・訓練前キャリアコンサルティングを行った訓練対応キャリアコンサルタント

 支給申請期間は、各支給単位期間の末日の翌日起算で1か月です。
 実務では、受給資格決定時に交付される教育訓練受給資格者証に各支給単位期間とその支給単位期間ごとの支給申請期間が記載されていますのでそれに従います。
    

〇 支 給 額

 支給要件を満たした場合に、各支給単位期間の教育訓練経費の50%が支給されます。
 上限額は、連続した2支給単位期間(※)(1年)当たり40万円、最長3年・120万円が原則で、下限額は4千円で設定されています。

 (※) 受講開始日から2支給単位期間ごとに区切っていって、最後の区切りが終了日を含む1期間だけ
   となった場合は、その1期間で上限額を判断します。

 上記の例外として、法令上最短4年の専門実践教育訓練(専門職大学等、管理栄養士の養成課程)を受講している者は、上限額が4年・160万円に加算されます。

 なお、連続した2支給単位期間での支給額算定額が上限額を超えた場合に、その超過額を次の連続した2支給単位期間に繰り越すことはありません。

 (例) 最初の連続した2支給単位期間で上限額を5万円超過した場合に、次の連続した2支給単位期間
   での支給額が35万円と算定されても支給額は繰り越し調整なしの35万円。
  

〇 支給の要件

 給付金の対象訓練の修了日に就職していない者、している者それぞれの要件があります。 

イ 教育訓練修了日に就職していない者

 次のa)、b)の要件をいずれも満たしていること
  a) 教育訓練指定の際に定められた資格の取得等を予定された時期(※1)にしていること
  b) 訓練修了日の翌日起算で1年以内に就職していること(※2)
    

(※1) 受講開始時に予定していた実施回の試験で資格の取得ができずに、訓練修了日の翌日起算
    で1年以内の再受験で資格を取得した場合は、要件を満たしたことにはなりません。
    また、業務独占資格の場合は資格の登録手続きや免許の取得まで行う必要があります。 (※2) 修了日の翌日起算で1年以内に就職が困難な者を含む。
  

ロ 教育訓練修了日に就職している者

 次のa)、b)の要件をいずれも満たしていること
  a) 教育訓練の指定の際に定められた資格の取得などを予定された時期にしていること
  b) 資格の取得などは訓練修了前又は修了から1年以内になされていること
  

〇 支給手続き

 手続きの方法、代理や郵送による手続きの考え方などは、訓練受講時の申請手続きと同じ。
 支給申請期間は、教育訓練の終了後に定められた資格等を取得し、就職した日(※3)の翌日起算で1か月以内。

 (※3) 訓練を修了した日の翌日から1年以内であることが必要
  

〇 支 給 額

 すでに受給済の各支給単位期間ごとに、教育訓練経費の70%で改めて算定した額と支給済額との差額を追加支給します。
 支給済額と追加支給額の合計での上限額は、連続した2支給単位期間(1年)当たり56万円、最長3年・168万円が原則で、下限額は4千円で設定されています。
 なお、法令上最短4年の専門実践教育訓練での例外は、上限額が4年・224万円です。

 訓練受講時と同様に、連続した2支給単位期間での総支給額が上限額を超えた場合に、その超えた金額が次の連続した2支給単位期間に繰り越されることはありません。
 

 訓練受講時の支給申請の時点では未納であった入学料または受講料が、訓練終了後の資格取得や就職による支給申請の時点で納付済である場合、その納付された額は教育訓練経費に加算します。
  

10年の間に複数回専門実践教育訓練を受講する場合

 最初に受けた専門実践教育訓練の受講開始日から10年経過するまでの間に開始した教育訓練についての支給額(訓練終了後の追加給付分を含む)の合計は、168万円が上限となります。
 なお、複数受講した教育訓練に法令上最短4年の専門家実践教育訓練が含まれているときは、224万円が上限となります。
  

法令上最短4年の専門実践教育訓練の受講者で、上限額が加算されない者

 ・すでに専門実践教育訓練を受講したことがある者
 ・高収入の在職者
   (→対象となる教育訓練の3年目の受講が終了した際に、3年目の後期の賃金に基づき算出する

     賃金の日額が、基本手当の賃金日額の50%(3年目の後期の支給単位期間の末日において
     60~64歳の者については45%)屈折点における額以上である者)

  

教育訓練支援給付金

 専門実践教育訓練給付金の受給資格者のうち失業状態にある者を支援するため、2025(令和7)年3月末までの暫定措置として設けられた給付金制度です。   
 なお、本人の意向にかかわらず、基本手当が支給される期間ついては、この支援給付金は支給されません。
   (→基本手当の支給終了後に要件を満たしていれば、この支援給付金が支給されます。)

  

〇 支給対象者

 次のイ~二の要件にすべて該当する者が支給対象となります。
 なお、通信制又は夜間制の訓練受講者は、この支援給付金を受給対象外です。
   (→就労しながら受講できる訓練は対象とならない)

(訓練の開始日)
  対象訓練の開始日が、離職日の翌日(雇用保険の一般被保険者でなくなった日)から
   1年以内
    (→この給付金を受給するには、ハローワークで失業の認定を受ける必要がある) 

(離職以降の状況)
 ロ 離職日の翌日(雇用保険の一般被保険者でなくなった日)以降、次のいずれかになってい

  ないこと
   ・雇用保険の短期雇用特例被保険者又は日雇労働被保険者
   ・会社の役員

      (→株式会社又は有限会社の取締役又は監査役。合名会社の社員又は合資会社の
        無限責任社員)
   ・自治体の長


専門実践教育訓練給付金関連)
 ハ 専門実践教育訓練給付金の受給資格者であり、受講開始日に45歳未満で、その講座を修了

  する見込みがあること

(過去の給付金受給)
 ニ 受講開始日前に教育訓練給付金及び教育訓練支援給付金を受けたことがないこと
    (→平成26年10月1日前に支給されたものを除く)

   

〇 支給手続き

 最初に、訓練開始日の1か月前までに居住地のハローワークで受給資格の決定を受ける必要があります。この受給資格は、専門実践教育訓練給付金の受給資格の決定が前提となるため、訓練給付金の手続きと同時もしくはその後に資格決定の手続きを行うこととなります。

 訓練開始後は、支給単位期間(訓練開始日から2か月ごとに区切られた期間)ごとに、指定された認定日にハローワークに出頭して、その支給単位期間についての失業の認定を受けます。
  (→2か月ごとに失業の認定を受けて、給付金額が決まる)
       

〇 支 給 額

 支給単位期間ごとに次の式により算出した金額です。

 (支給額)=(雇用保険の基本手当日額の80%)×(その支給対象期間中の失業認定日数) 

 ここでの失業認定日数は、実際に訓練を受講した日で認定するため、訓練の欠席日や就職した日は除外されます。また、欠席日が多く、出席率が開講日数に対して8割未満の支給単位期間が生じた場合は、それ以降は支援給付金の支給はありません。

 基本手当と同様に、この支援給付金でも、訓練開始日以降で失業の認定を受けた日が7日になるまでは待期期間として、給付金は支給されません。
    

訓練開始日の1か月前までに受給資格認定の手続きができない場合

 訓練開始日1か月前は、在職中で雇用保険の一般被保険者であったが、その後、離職して雇用保険の被保険者でなくなった場合は、遅くとも訓練開始日から1か月以内に手続きを行うこととなっています。
          

訓練期間終了前に受講を取りやめた場合

 受講を取りやめた支給単位期間を含めて、支給は行われません。
  (→その支給単位期間の途中まで失業認定を行い、支給するということはありません。)
 
     

適用対象期間を延長している者の要件について

 一般被保険者資格を喪失した日(離職した日の翌日)以降、最長でも4年以内に受講を開始しなければこの支援給付金を受給できません。