62 36協定について

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 労働基準法で「1日8時間、週40時間」の法定労働時間、「週1日もしくは4週4休」の法定休日が定められています。
 その法定労働時間を超えた時間外労働や、法定休日に休日労働をさせたりする際に、あらかじめ労使間協議をして必要な事項を定めて締結するのが「36(さぶろく)協定」です。
 この協定は、労働基準監督署に届け出ることで効力が発生して、法定労働時間を超えて時間外労働をさせるなどしても法律違反には問われなくなります。なお、この免罰的効力は、労働基準法に関するものであり、民事上の責任まではカバーしていません。
 また、就業規則とは異なり、雇用している者に時間外労働をさせる場合は、自社の従業員がたとえ1人であっても協定を締結し、届け出る必要があります。

 

36協定で定める5つのこと

 法律で定められている5つの事項を順にみていきます。

1) 時間外労働や休日労働ができる労働者の範囲

 業務の種類と従事する労働者数を定めます。
 指針では、業務の区分を細分化することで業務の範囲を明確にしなければならないとしています。

   

2) 協定の対象期間

 対象期間は、1年で設定します。時間外・休日労働の上限規制が1年間の時間数でなされていることがその理由です。
 事業完了や業務終了までの期間が1年未満の場合でも、対象期間は1年です。
   

3) 時間外労働や休日労働をさせることができる場合

 具体的な理由を定めます。例えば、受注の集中、製品不具合への対応、月末の決算事務といった形で理由を挙げます。
 業務の都合上必要な場合、業務上やむを得ない場合など、具体性が乏しく、対象範囲を広く解釈することができ、時間外労働の常態化につながる可能性のあるものは、理由として認められません。
   

4) 時間外労働の上限時間数、休日労働の日数

  3) の具体的理由のそれぞれについて、次のとおり定めます。
  1日、1か月、1年単位での時間外労働の上限時間数
  休日労働について、休日労働ができる法定休日(例えば、1か月に1日)、休日労働を行う日の
  始業及び終業時間

 時間外・休日労働の上限規制は、次の図を参考してください。


   
   

5) 厚生労働省令で定める事項

 厚生労働省令(労働基準法施行規則)で、36協定で定める事項として次の7つが挙げられています。

 ① 協定の有効期間(労働協約の場合は除く)
 ② 時間外・休日労働の上限時間(1年間)のカウントの起算日
 ③ 時間外・休日労働の上限時間、月100時間未満、2~6か月の平均80時間の遵守の定め
 ④ (特別条項付き協定での)限度時間を超える時間外労働の具体的理由
 ⑤ 限度時間を超えて労働させる労働者に対する健康及び福祉を確保するための措置
   (健康福祉確保措置)
 ⑥ (特別条項付きの協定での)限度時間を超える時間外労働に係る割増賃金率
 ⑦ 限度時間を超えて時間外労働をさせる場合の手続

 これらのうち、⑦の手続きは、月45時間以上の時間外労働をさせる際に行う手続き、例えば、労使間の協議、使用者から過半数組合などへの通知などを事前に定めておくことです。この手続きを経ずに限度時間を超える時間外労働を行わせた場合は、法違反となります。

 ⑤の健康福祉確保措置は、月45時間の限度時間を超える時間外労働を行った労働者にその都度実施することとされています。具体的には、指針で示されている次の9項目から一つ以上協定で定めるのが望ましいとされています。
 
  医師による面接指導
  深夜業の回数制限
  終業から始業までの休息時間の確保(勤務間インターバル)
  代償休日・特別な休暇の付与
  健康診断
  連続休暇の取得
  心とからだの相談窓口の設置
  配置転換
  産業医等による助言・指導や保健指導

 これら9つの項目の説明を別投稿で行っています。
   

届出の方法

 労働基準監督署への届出は、所定の様式により行います。
 様式は7通りありますが、実務上は次のいずれかの扱いとすることが多いです。

 〇 限度時間(月45時間、年360時間)までの時間外労働についての協定………様式第9号
 〇 限度時間を超える時間外労働についての特別条項付き協定………様式第9号の2(第9号も併せて)

 なお、これらの様式に労働者代表の署名又は記名・押印をすることで、協定書を兼ねる扱いとできます。
  

留意するべき点について

 〇 過半数労働組合がない場合は、労働基準法上の管理監督者以外の労働者から、要件を満たす民主的な
   手続きにより選出された過半数代表者が協定の当事者となります。

 〇 時間外・休日労働の上限規制に違反した定めをしている協定は、全体として無効になります。

 〇 次の場合は、法律違反に問われて罰則の対象となる可能性があります。
   ・36協定を締結・提出せずに時間外、休日労働を行わせた場合
   ・36協定で定めた時間数を超える時間外労働や休日労働を行わせた場合
     

  

【この投稿の執筆者】
  
 札幌・新道東コンサルオフィス代表
    特定社会保険労務士 塚田 秀和

代表 塚田秀和