60 厚生労働省助成金の生産性要件について

  1. ホーム
  2. 厚労省助成金
  3. 60 厚生労働省助成金の生産性要件について

 厚生労働省の労働関係助成金で、生産性向上の取組み支援を目的に、生産性を向上させた事業所に対して、助成額もしくは助成率の割増を行う制度があります。
この制度で生産性向上の度合いを判定する基準が「生産性要件」です。

 ■ 生産性要件の対象となる助成金コース
   (要件の判定対象期間、割増の内容は、助成金コースごとの確認が必要です。)

 
   
 
雇用調整助成金の支給要件である「生産指標要件」はこれとは別個のものですが、生産指標と特例措置
  での要件緩和について、この投稿の最後で説明しています。
 

生産性の指標の算出

 この要件の判定に使う「生産性」の指標は、次の式で算出します。

   

▶ 財務諸表が必要

 算定式の付加価値の計算には財務諸表(損益計算書など)が必要となりますが、これはもっぱら企業単位で作成するものなので、生産性要件の算定も企業単位となります。
ただし、支店単位など事業所により近い組織単位で作成している場合はそちらを採用します。

   

算定ツールの入手

 生産性要件を算定するための「生産性要件算定シート」は厚生労働本省ウェブサイトからダウンロードできます。
  

3会計年度前との比較で6%以上の生産性の伸びが必要

 助成金の支給申請をした日から見て、直近の会計年度の生産性が、その3年度前の生産性より6%以上伸びている場合は「生産性要件を満たす」として、助成額もしくは助成率の割増が行われます。
(下の図のイメージ)

 例えば、事業改善助成金であれば、地域内最低賃金、事業場内最低賃金がともに900円未満の事業所は本則の助成率4/5が9/10に、事業場内最低賃金が900円以上の事業所は3/4が4/5にそれぞれ嵩上げされます。

   
  

▶ 生産性の伸びが3会計年度で6%未満のときの対応は?

 金融機関から一定の「事業性評価」を得ていれば、伸びが1%以上6%未満でも要件を満たします。
  

生産性が伸びていても事業主都合による離職者がいると対象外

 生産性要件の算定対象期間中、上の図でいうと直近会計年度の3年度前(B:平成29年度)から直近会計年度(A:令和2年度)の間に事業主都合による離職者等(退職勧奨を含む)がいた場合には、生産性要件を満たしていても助成額、助成率割増の対象外になってしまいます。
  

事業性評価

 「事業性評価」とは、都道府県労働局が助成金申請者の承諾のもと、与信取引などがある金融機関に事業の見立て(市場での成長性、競争優位性、事業特性及び経営資源・強み等)を照会して、その回答を参考に割増支給の可否を判断するものです。

ここでいう「与信取引」とは?

 金融機関から実際に借入をしている場合に限らず、借入限度額は設定しているが実際の借入はない場合なども該当します。
   

【参考】 雇用調整助成金の生産指標要件/特例措置での要件緩和

 指標として使うのは、原則として生産物品の生産量、販売物品の販売量又は売上高ですが、これらの指標を使うのが不適切である場合などには、雇用量の変動との相関がより高く最適と認められるものを使っても差し支えないとされています。
 売上高や生産量のほかの指標の例として、宿泊業での客室の稼働率、客数、建設業での工事請負契約数、労働者派遣事業での労働者派遣契約の件数、就業中の派遣労働者の数(休業中の者を除く)が挙げられています。

(雇用調整助成金FAQ(令和3年7月28日現在版)の設問03-08)

 本来は、初回の休業等の計画届提出前の3か月間について、生産指標が対前年同月比で10%以上低下していることを確認します。
 特例措置では、対象期間の初日が緊急対応期間内(R2.4.1~R3.9.30)にある場合に、以下のとおり緩和や変更がされています。


  
   (※) 生産指標として用いる月、①~③と比較する過去の月ともに、 雇用保険適用事業所であり、
     雇用保険被保険者を雇用した月であることが必要

   (※) 生産指標として用いる月に「①休業した月」を選択する場合で、その申請に複数の判定基礎
     期間を含むときは、最初の判定基礎期間以外も選択可
  

緊急対応期間前における指標の低下率の特例について

 コロナ特例の期間のうち緊急対応期間前(R2.1.24~R2.3.31)に対象期間の初日がある場合は、指標の低下率が対前年同月比等で「1か月 10%」に緩和されていました。
(北海道におけるR2.2.28~R2.4.2の特例は除く)
   

  

【この投稿の執筆者】
  
 札幌・新道東コンサルオフィス代表
    特定社会保険労務士 塚田 秀和

代表 塚田秀和