59 令和3年度の業務改善助成金について(10月からの要件緩和・運用改善)

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 この助成金は、中小企業・小規模事業者の生産性向上を支援し、事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)の引上げを図るための制度です。

 具体的には、
1.事業場内の最低賃金と地域内最低賃金との差が30円以内の事業場で、
2.事業場内の最低賃金を一定の額以上引き上げると、
3.その事業場の生産性向上のための設備投資などに対して、最低賃金の引上げ幅と

  対象人数に応じた設備投資等の費用助成が行われる
というものです。


 令和3年度の当初は、従業員数100人以下の事業所を対象として、最低賃金引き上げ幅が、20円以上、30円以上、60円以上、90円以上の4つのコースが設定されていました。
 その後、7月中旬に令和3年度の地域別最低賃金額改定の目安を、全国一律28円とする答申が取りまとめられたことなどを受けて8月1日から特例的な要件緩和や拡充の措置が行われます。
 最低賃金改定については8月中旬までに、全都道府県で答申がなされ、28円以上の引き上げとなりました。昨年の地域別最低賃金は、全国平均1円増に止まりましたが、全国平均1,000円までの早期引上げのために、年3%程度の引上げ軌道に今年一気に戻したということです。
   

令和3年8月からの特例的な要件緩和・拡充

助成対象となる全事業主に適用

 〇 45円コースの新設
    事業所内最低賃金の45円以上の引上げを求めるコース(10人以上の区分を除く)

 〇 同一年度内に2回までの申請が可能
    例えば、年度当初に助成金を活用した賃上げを行い、10月以降に最低賃金改定対応の賃上げを
    重ねて行う場合など

  

特例事業者のみに適用

 特例事業者とは、次の2つの要件のいずれかを満たす者のことです。
  ① 賃金要件:事業場内最低賃金900円未満の事業場
  ② 生産量要件:売上高や生産量などの事業活動を示す指標の直近3ヶ月間の月平均値が前年又は
          前々年の同じ月に比べて、30%以上減少している事業者


 〇 助成上限額の特例(全特例事業者に適用)
    新設の賃上げ対象者10人以上の助成上限額を適用

 〇 対象経費の特例(②生産性要件を満たす特例事業者が、30円以上の引上げ行う場合のみ適用)
    通常は補助対象外である次の設備投資が補助対象となります。
     ・乗車定員11人以上の自動車及び貨物自動車等
     ・パソコン、スマホ、タブレット等の端末及び周辺機器(新規導入に限る)
  

▼ 特例措置後の賃金引き上げのコース区分、要件、助成率は次のとおりです。

   

令和3年10月からの特例的な要件緩和・運用改善

■ 助成対象となる「人材育成・教育訓練」費用の要件緩和

 〇 研修の外部講師の謝金について、1回当たり10万円まで、回数は5回までに上限を緩和
  〇 外部団体が行う研修等の受講費について、上限を50万円に緩和

  

■ 助成対象となる「人材育成・教育訓練」費用の要件緩和

 〇 受給要件である賃金を引き上げてから6月経過後に提出が必要となる賃金台帳を賃金引上げ対象者分に限定
   (従来は全労働者分の提出を求めていた)
  〇 コロナ禍においてニーズの高い設備について、助成対象となることの周知
    例)宅配用バイク・自転車、自動検温器、Web会議システムなど

  

令和3年度のスケジュール

 〇 申請締切予定   令和4年1月31日
 〇 事業完了期限   令和4年3月31日
   

助成金交付申請

 〇 業務改善計画(設備投資などの実施計画)
 〇 賃金引上計画(事業場内最低賃金の引上計画)

の2つの計画が交付申請の内容となっています。

 そして、この2つの計画に従い事業を実施しますが、交付申請の前に行った賃金引き上げ、設備や機器の導入などは、この助成金の対象経費には計上できません。

 前年度以前にこの助成金を申請した事業場(事業主)でも再度申請できます。(同一年度内の再度申請は不可)

  
   

事業場内の最低賃金の考え方

 その事業場に3月以上勤務する労働者の中で、最も賃金額が低い者の賃金(時給換算)のこと。
 その算定方法は、 地域別最賃と 同様の考え方であり、諸手当のうち精皆勤手当、通勤手当及び家族手当は、原則除外されます。

  

賃金の引き上げと実際の支払い

 両者は別のことであり、
 〇 賃金引き上げ……就業規則などの改正と適用のことで、交付申請後から事業実施の完了までの
           間に行います
 〇 実際の賃金の支払い……賃金引き上げ後、事業実績報告書の労働局提出日までに支払います

   

助成対象経費となるものの例

  外部講師による従業員向けの研修、導入機器の操作研修等に対する謝金
  専門家及び職員の旅費(日当、宿泊費などを除く)

  会議の費用(会場借料、通信運搬費を含む。)
  受講料等の費用
  研修資料、マニュアル等の作成費用
  機械装置等購入費
  (特種用途自動車以外の自動車、パソコンなどの汎用品は除く)
  外部団体等が行う人材育成セミナー等の受講費
  (賃上げに効果的なものに限る。)
  外部専門家やコンサルタント会社による経営コンサルティング費用
  調査会社、システム開発会社等への委託費用
  (就業規則の作成・改正及び賃金制度の整備は除く。)

    

助成対象となる設備投資の事例

  
    

設備投資での注意点

  導入予定機器等の発注は、申請後であれば、交付決定前でも問題はない
  導入機器等の納品は、交付決定後でなければならない

  機器の購入業者は、競争入札で決定する
  原則として、自社で施工、製造するものは助成の対象外
   ただし、その原材料費のみを経費計上する場合は助成対象となる
  老朽化や破損した機器設備等の、同等性能のものへの更新は助成の対象外
   (設備投資と認められないため)
   ただし、既存機器等より高能力のものに置き換え、生産性向上が認められれば助成対象となる
  機器の増設は、既存の機器等では対応できない作業量があり、増設により生産性が向上する
   と認められる場合には、助成対象となる

  

当事務所サイトトップのTOPICSから転載

➤ 補正予算での業務改善助成金の特例的な拡充 (2021.12.03/12.21加筆)

 12月20日に成立した令和3年度補正予算に業務改善助成金の特例的な拡充(予算:135億円)が盛り込まれました。

 業務改善助成金では、今年度の最低賃金の引き上げ(全都道府県で28円以上、3%以上の増)を受けて、①今年8月から「45円コース」の新設、②コロナ禍で特に業況が厳しい事業者に限り設備投資の範囲を、乗車定員11人以上の自動車及び貨物自動車等、パソコン、スマホ、タブレット等の端末及び周辺機器(新規導入に限る)まで拡げる措置が行われています。
 今回の補正予算案での「特例的な拡充」では、助成対象経費を現在の生産性向上に資する設備投資などに加えて、「生産性向上に資する設備投資等に関連する費用」まで拡大することとしています。

 具体例として挙げられているのは、
 〇広告宣伝費
 〇執務室の拡大、机、椅子等の増設
 〇汎用事務機器購入費 等です。

 厚生労働省の助成金としては、他に例がないところまで思い切った内容といえます。

 ただ、対象となる事業者の要件は、
 〇前年又は前々年同期比較で売上高や生産量等の指標が30%以上減少していること
 〇事業場内最低賃金を、令和3年7月16日から同年12月までの間に30円以上引き上げること

であり、いずれも満たすことができる事業者は自ずから限られてくるものと考えられます。

   

【この投稿の執筆者】
  
 札幌・新道東コンサルオフィス代表
    特定社会保険労務士 塚田 秀和

代表 塚田秀和