58 時間単位年休について

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 平成22年4月の労働基準法改正で時間単位年休が導入されてから今年(令和2年)でちょうど10年になります。事業主にとっては、休暇の管理が煩雑になるデメリットがありますが、従業員にとっては、小学校入学以降の子供関係、病院への定期的な通院、突発的な介護など活用できる場面が結構あるものです。また、子の看護休暇及び介護休暇について、令和3年1月から時間単位の取得を可能とする方針になったのも、そうすれば必要な時間に合わせて柔軟に取得できるという観点があってのことです。
 導入している企業は3年前の調査ではまだ5社に1社(平成29年就労条件総合調査/厚生労働省)にとどまっていますが、それ以前に比べれば導入割合は増加傾向にあります。
  

  • 労使協定

 時間単位年休の導入にあたっては過半数労働組合もしくは過半数代表者との労使協定を締結して、①対象となる労働者の範囲、②時間単位年休の年間日数(5日以内)、③時間単位年休1日の時間数、④1時間以外の時間を単位とする場合の時間数を定めます。
  

  • 年間の上限日数/取得の単位

 年間5日を超えての取得は原則として認められていません。前年度の時間単位年休の使い残しを繰り越したとしても、当年度のものとあわせて取得できるのは5日までです。唯一の例外は、法定の日数を超えた年休を付与する場合に、その超えた分を時間単位年休の枠とすることです。例えば、新規雇用の従業員に対して入社半年後に法定の10日を超える12日の年休を付与して、時間単位年休を7日(本来の上限5日+超過分2日)とするケースです。
 時間単位年休1日の時間数は、1日の所定労働時間を使いますが、このとき、所定労働時間に1時間未満の端数があれば労働者の不利益とならないよう1時間に切り上げます。例えば、7時間45分であれば切り上げて8時間とします。
 取得の単位については、1時間に限らず1日の所定労働時間(端数切り上げ後)の範囲内で任意の時間数を定めることができます。
  

  • 取得したときに支払う賃金

 取得したときに支払う賃金は、日単位の年休と同じ方法により算出します。その方法が通常の賃金(所定労働時間の労働に支払う賃金)の場合は、通常の出勤をしたものと取り扱うことで休暇取得時間の賃金計算と支払は必要なくなります。
  

  • 事業主の時季変更権

 事業主の時季変更権は日単位の休暇と同様に認められています。ただ、時間単位の請求を日単位に、日単位の請求を時間単位に変更することは時季変更にあたらないので認められません。
  

  • 年5日の年休付与義務との関係

 最後になりますが、時間単位年休は、年5日を超える年休についての計画的付与制度、平成31年4月から実施の年5日の年休付与義務の対象ではありません。時間単位での付与は、あくまでも労働者の請求があった場合に限られるものであり、これらの仕組みで付与を決定したり、事業主の義務として付与するものではないからです。