58 労災保険の特別加入制度について

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 労災保険では、法人や個人事業主に雇用される方(労働基準法上の労働者)の業務上の傷病等、通勤途上で被った傷病等について給付を行うのが原則です。
 その一方で、労働基準法上の労働者でなくとも、次の条件に該当して労働者に準じて労災保険により保護するにふさわしい者に対して、特に労災保険の加入を認める「特別加入制度」があります。


 〇 業務の実態や災害の発生状況からみて労働者に準じて保護するにふさわしい者であること。
 〇 業務の範囲が明確に特定でき、業務災害の認定等が保険技術的に可能であること。

 その特別加入制度の対象者は、大きく4つの種類に分かれます。
 〇 中小企業主等
 〇 一人親方その他の自営業者等
 〇 特定作業従事者
 〇 海外派遣者


 以下で、種類別に加入対象者、加入の要件、補償の対象となる範囲などに触れて、続いて、複数の種類に共通する事項を見ていきます。
  

中小企業主等

加入対象者

 〇 事業主本人
 〇 家族従事者など労働者以外で業務に従事している人全員
を包括して特別加入の申請を行います。

加入の一般的要件

 〇 雇用する労働者(特別加入によらずそもそも雇用保険の適用対象者)を雇用保険加入させていること
 〇 労働保険の事務処理を労働保険事務組合に委託していること
  (当該事業場の労働者の適正加入及び労働保険料の適正徴収を担保するため、事務組合への委託を要件
   としている。)

加入の手続き

 労働保険の事務処理を委託している労働保険事務組合から労働局長(所轄労働基準監督署長経由)に提出して、承認を受けます。

補償の対象となる範囲

 「業務災害」について、就業中の災害で、次の①~⑦のいずれかに該当する場合に保険給付が行われます。

① 申請書の「業務の内容」欄の労働者の所定労働時間(休憩時間を含む)内に特別加入申請した事業のため
  にする行為およびこれに直接附帯する行為を行う場合(事業主の立場で行われる業務を除く)

② 労働者の時間外労働または休日労働に応じて就業する場合
③ ①または②に前後して行われる業務(準備・後始末行為を含む)を中小事業主等のみで行う場合
④ ①、②、③の就業時間内における事業場施設の利用中および事業場施設内で行動中の場合
⑤ 事業の運営に直接必要な業務(事業主の立場で行われる業務を除く)のために出張する場合
⑥ 通勤途上で次の場合
 ア 労働者の通勤用に事業主が提供する交通機関の利用中
 イ 突発事故(台風、火災など)による予定外の緊急の出勤途上
⑦ 事業の運営に直接必要な運動競技会その他の行事に労働者(業務遂行性が認められる者)を伴って出席

  する場合

 「複数業務要因災害」については、要件を満たしていれば、労働者と同様に保険給付が行われます。

  
   ※同一の中小事業主が2つ以上の事業の事業主となっている場合、1つの事業の中小事業主として
    特別加入の承認を受けていても、他の事業の業務により被災した場合は、保険給付を受けることが
    できない。


 「通勤災害」については、一般の労働者の場合と同様に取り扱われます。

特別加入者としての地位の消滅

① 中小企業主が労働局長の承認を受けて脱退する場合[脱退申請の日から30日以内で申請者が希望する日]
  (中小事業主とその事業に従事する労働者以外の加入者全員を包括して行うこと)

② 自動的に消滅する場合
 ア その使用する労働者について成立している保険関係が消滅したとき
     [脱退申請の日から30日以内で申請者が希望する日]
 イ 中小事業主が事業を廃止または終了した場合 [その廃止または終了の日の翌日]
 ウ 労働保険事務組合への労働保険の事務処理委託を解除した場合[その解除の日]


③ 中小事業主が関係法令の規定に違反して、特別加入の承認が取り消される場合
  

  

一人親方その他の自営業者等

加入対象者

 労働者を使用しないで次の①~⑨の事業を行うことを常態とする一人親方その他の自営業者およびその事業に従事する人(以下「一人親方等」という。)
 なお、労働者を使用する場合であっても、労働者を使用する日の合計が年間100日に満たないときには、一人親方等として特別加入することができます。

① 自動車を使用して行う旅客若しくは貨物の運送の事業 (個人タクシー業者や個人貨物運送業者など)
  原動機付自転車を使用して行う貨物の運送の事業
  自転車を使用して行う貨物の運送の事業
② 土木、建築その他の工作物について次の事業を行う者 (大工、左官、とび職人など建設の一人親方等)
   建設、改造、保存、原状回復、修理、変更、破壊もしくは、解体またはその準備
   (除染目的での高圧水による工作物の洗浄や側溝にたまった堆積物の除去などの原状回復も含む)
③ 漁船による水産動植物採取の事業(漁船による自営漁業者)
④ 林業の事業(林業の一人親方等)
⑤ 医薬品の配置販売の事業(医薬品医療機器等法の許可を受けて行うもの)
⑥ 再生利用の目的となる廃棄物などの収集、運搬、選別、解体などの事業(再生資源取扱業者)
⑦ 船員(船員法に規定するもの)が行う事業  
⑧ 柔道整復師(柔道整復師法に規定するもの)が行う事業 
⑨ 改正高年齢者雇用安定法の創業支援等措置である次の制度に基づき、高齢者が行う事業
 ア 70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度
 イ 70歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度
    ・事業主が自ら実施する社会貢献事業
    ・事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業

加入の手続き

 一人親方等の加入希望により、労働局長の承認を受けた「特別加入団体」が労働局長に申請を行い、承認を受けます。承認を得た場合、労災保険の適用上、特別加入団体を事業主、特定作業従事者を労働者とみなすこととされています。

補償の対象となる範囲

 「業務災害」について、次に該当する場合に保険給付を受けることができます。

① 個人タクシー業者、個人貨物運送業者
 ア 免許などを受けた事業の範囲内において事業用自動車を運転する作業(運転補助作業を含む)、
   貨物の積み卸し作業およびこれらに直接附帯する行為を行う場合
 イ 原動機付自転車又は自転車を使用して行う貨物の運送の事業の範囲内において原動機付自転車
   又は自転車を運転する作業、貨物の積卸作業及びこれに直接附帯する行為を行う場合
 ウ 突発事故(台風、火災など)により予定外に緊急の出勤を行う場合

② 建設業の一人親方等
 ア 請負契約に直接必要な行為を行う場合
 イ 請負工事現場における作業およびこれに直接附帯する行為を行う場合
 ウ 請負契約に基づくものであることが明らかな作業を自家内作業場において行う場合
 エ 請負工事に関する機械や製品を製造する作業(手工具類程度のものを携行して通勤する場合を除く)
   およびこれを直接附帯する行為を行う場合
 オ 突発事故(台風、火災など)により予定外に緊急の出勤を行う場合

③ 漁船による自営漁業者
 ア 水産動植物の採捕、これに直接必要な用船中の作業およびこれらに直接附帯する行為を行う場合
 イ 最終の発地から漁船まで、または漁船から最初の着地までの間において行為を行う場合
 ウ 突発事故により予定外に緊急の出勤を行う場合

④ 林業の一人親方
 ア 森林の中の作業地、木材の搬出のための作業路およびこれに前後する土場における作業並びにこれに
   直接附帯する行為を行う場合
 イ 作業のための準備・後始末、機械等の保管、作業の打ち合せなどを通常行っている場所(自宅を除く
   場所で、以下「集合解散場所」という)における作業およびこれに直接附帯する行為を行う場合
 ウ 集合解散場所と森林の中の作業地の間の移動およびこれに直接附帯する行為を行う場合
 エ 作業に使用する大型の機械等を運搬する作業およびこれに直接附帯する行為を行う場合
 オ 台風、火災などの突発事故による緊急用務のために作業地または集合解散場所に赴く場合

⑤ 医薬品の配置販売業者
 住居を出た後の最初の用務先からその日の最後の用務先までの間に行う医薬品の配置販売業務(医薬品の仕入れを含む)およびこれに直接附帯する行為並びに医薬品の配置販売業務(医薬品の仕入れを含む)を行うために出張する場合(住居以外の施設における宿泊を伴う場合に限る)

⑥ 再生資源取扱業者
 ア 再生資源を収集、運搬、選別、解体するなどの作業およびこれに直接附帯する行為を行う場合
 イ 再生資源を収集、運搬するために行われるトラックなどの貨物運搬用車両などを運転または操作する
   作業およびこれらに直接附帯する行為を行う場合
 ウ 台風、火災などの突発事故による緊急用務のために、再生資源の集積場所などに赴く場合


⑦ 船員法第1条に規定する船員
 ア 船員法の適用のある船舶に乗り組んでいる場合(恣意的行為など積極的な私的行為を除く)
 イ 突発事故(台風、火災など)により予定外に緊急の出勤を行う場合
 ウ 下船後における旅客の乗降のための作業および、荷下ろしなどの作業または出荷のための作業など
   事業のためにする行為に直接附帯する作業についても、事業の性質に応じて業務遂行性が認められる
   ことがあります。

⑧ 柔道整復師法第2条に規定する柔道整復師
 ア 柔道整復師法第2条に規定する柔道整復師が行う施術及びこれに直接附帯する行為
 イ 作業のための準備・後始末、機械等の保管、事務作業等を通常行っている場所における作業及びこれ
   に直接附帯する行為
 ウ 突発事故(台風、火災等)等による予定外の緊急の出勤途上

⑨ 創業支援等措置に基づく高年齢者
 ア 改正高年齢者雇用安定法第10条の2第2項に規定する創業支援等措置に基づく事業の遂行に係る作業
   及びこれに直接附帯する行為
 イ 作業のための準備・後始末、事務作業等を通常行っている場所における作業及びこれに直接附帯する
   行為
 ウ 突発事故(台風、火災等)等による予定外の緊急の出勤途上

 「複数業務要因災害」については、要件を満たしていれば、労働者と同様に保険給付が行われます。
 「通勤災害」については、対象外となる次の一人親方等を除いて、 一般の労働者と同様に取り扱われます。


    個人タクシー業者、個人貨物運送業者、漁船による自営漁業者
 

特別加入者としての地位の消滅

① 特別加入団体が脱退することにより消滅する場合[脱退申請の日から30日以内で申請者が希望する日]
  (その団体の構成員全員を包括して行うこと。なお、一人親方等のうち、特定の人のみを脱退させる
   場合は、変更届での対応。)


② 自動的に消滅する場合
 ア 一人親方等が特別加入者としての要件を満たさなくなったとき
     [その日(要件を満たさなくなった日)]
 イ 一人親方等が特別加入団体の構成員でなくなったとき [その日]
 ウ 一人親方等の団体が解散したとき[その解散の日の翌日]


③ 一人親方等の団体が関係法令の規定に違反して、特別加入の承認が取り消される場合
  

特定作業従事者

加入対象者

① 特定農作業従事者(次のア~ウのすべてに該当する者)
 ア 年間の農業生産物の総販売額が300万円以上(畜産・養蚕に係るものを含む)、または
   経営耕作面積2ha以上の規模(地域営農集団などを含む)のいずれかを満たすもの
 イ 次のいずれかの作業を行う農業者(労働者以外の家族従事者などを含む)であるもの
    ・土地の耕作・開墾
    ・植物の栽培・採収
    ・家畜(家きん及びみつばちを含む)・蚕の飼育
 ウ  次のいずれかの作業に従事するもの
    ・動力により駆動する機械を使用する作業
    ・高さが2メートル以上の箇所での作業
    ・サイロ、むろなどの酸素欠乏危険個所での作業
    ・農薬の散布作業
    ・牛、馬、豚に接触し、または接触するおそれのある作業

② 指定農業機械作業従事者
  農業者(労働者以外の家族従事者などを含む)であって、次の機械を使用して土地の耕作、開墾または
 植物の栽培、採取の作業を行う者。
 ア 動力耕うん機その他の農業用トラクター
 イ 動力溝掘機
 ウ 自走式田植機
 エ 自走式スピードスプレーヤーその他の自走式防除用機械
 オ 自走式動力刈取機、コンバインその他の自走式収穫用機械
 カ トラックその他の自走式運搬用機械
 キ 次の定置式機械または携帯式機械
    ・動力揚水機   ・動力草刈機   ・動力カッター
    ・動力摘採機   ・動力脱穀機   ・動力剪定機
    ・動力剪枝機   ・チェーンソー  ・単軌条式運搬機
    ・コンベヤー
 ク 無人航空機(農薬、肥料、種子もしくは融雪剤の散布または調査に用いるものに限る。)

③ 国または地方公共団体が実施する訓練従事者
  国または地方公共団体が実施する訓練として行われる次の作業に従事する者。
 ア 職場適応訓練
    求職者を作業環境に適応させるための訓練として行われる作業
 イ 事業主団体等委託訓練
    求職者の就職を容易にするために必要な技能を習得させるための職業訓練で、事業主または
   事業主の団体に委託されて行われる訓練
   (教育訓練を行うための施設において主として実施される職業訓練を除く) 

④ 家内労働者及びその補助者
  家内労働者等(家内労働法にいう家内労働者およびその補助者)であり、特に危険度が高いとされる
 次の作業に、原則として年間200日以上従事し、1日の就労時間が平均4時間以上と見込まれる者。
 ア プレス機械、型付け機、型打ち機、シャー、旋盤、ボール盤またはフライス盤を使用して行う金属、
   合成樹脂、皮、ゴム、布または紙の加工の作業
 イ 金属製洋食器、刃物、バルブまたはコックの製造または加工に関する作業のうち、
   以下のいずれかに当たるもの
    ・研削盤やバフ盤を使用して行う研削または研まの作業
    ・溶融した鉛を用いて行う金属の焼入れ、焼きもどしの作業
 ウ 有機溶剤、有機溶剤含有物または特別有機溶剤等を使用して行う作業のうち、
   以下のいずれかの製品の製造または加工に関するもの
    ・履物、鞄、袋物、服装用ベルト、グラブ、ミット
     (化学物質製、皮製、布製のものに限る)
    ・木製または合成樹脂製の漆器
 エ 陶磁器の製造に関する作業のうち、以下のいずれかに当たるもの
    ・粉じん作業
    ・鉛化合物を含有する釉薬を使って行う施釉の作業
    ・鉛化合物を含有する絵具を使って行う絵付けの作業
    ・施釉、絵付けを行ったものの焼成の作業
 オ 動力により駆動する合糸機、撚糸機または織機を使用して行う作業
 カ 木工機械を使用して行う作業のうち、以下のいずれかの製品の製造または加工に関するもの
    ・仏壇
    ・木製または竹製の食器

⑤ 労働組合等の一人専従役員(委員長等の代表者)
  常時労働者を使用しない労働組合等であって、次の作業に従事する一人専従役員。

    ・労働組合等の事務所、事業場、集会場または道路、公園その他の公共の用に供する施設における
     集会の運営、団体交渉その他の当該労働組合等の活動に関する作業
     (作業に必要な移動を含む)


⑥ 介護作業従事者および家事支援従事者
 ア 介護従事者
   介護労働者の雇用管理の改善等に関する法律に規定する次の作業を行う者
    ・入浴、排せつ、食事などの介護その他の日常生活上の世話
    ・機能訓練または看護に関する作業

 イ 家事支援従事者
   家事を代行し、又は補助する作業を行う者
   (ここでの「家事」は、炊事、洗濯、掃除、買物、児童の日常生活上の世話及び必要な保護
    その他家庭において日常生活を営むのに必要な行為のことです。)


⑦ 芸能関係作業従事者
  放送番組(広告放送を含む。)、映画、寄席、劇場等における
  音楽、演芸その他の芸能の提供の作業、その演出、企画の作業に従事する者で、
  具体例は、次のとおり。

 〇 芸能実演家
  ・俳優(舞台俳優、映画及びテレビ等映像メディア俳優、声優等)
  ・舞踊家(日本舞踊、ダンサー、バレリーナ等)
  ・音楽家(歌手、謡い手、演奏家、作詞家、作曲家等)
  ・演芸家(落語家、漫才師、奇術師、司会、DJ、大道芸人等) ・スタント 他
 〇 芸能製作作業従事者
  ・監督(舞台演出監督、映像演出監督) ・撮影 ・照明 ・音響・効果、録音
  ・大道具製作(建設の事業を除く) ・美術装飾 ・衣装 ・メイク ・結髪
  ・スクリプター ・ラインプロデュース ・アシスタント、マネージメント 他

⑧ アニメーション制作作業従事者
   具体例は、次のとおり

 ・キャラクターデザイナー ・作画 ・絵コンテ ・原画 ・背景
 ・監督(作画監督、美術監督等) ・演出家 ・脚本家 ・編集(音響、編集等)他

⑨ ITフリーランス
 情報処理システム(ネットワークシステム、データベースシステム及びエンベデッドシステムを含む。)の設計、開発(プロジェクト管理を含む。)、管理、監査、セキュリティ管理若しくは情報処理システムに係る業務の一体的な企画又はソフトウェア若しくはウェブページの設計、開発(プロジェクト管理を含む。)、管理、監査、セキュリティ管理、デザイン若しくはソフトウェア若しくはウェブページに係る業務の一体的な企画その他の情報処理に係る作業に従事する者。
 具体的には、次のとおり。

 ・ITコンサルタント ・プロジェクトマネージャー ・プロジェクトリーダー
 ・システムエンジニア   ・プログラマ   ・サーバーエンジニア
 ・ネットワークエンジニア ・データベースエンジニア
 ・セキュリティエンジニア ・運用保守エンジニア
 ・テストエンジニア    ・社内SE
 ・製品開発/研究開発エンジニア  ・データサイエンティスト
 ・アプリケーションエンジニア  ・Webデザイナー  ・Webディレクター等

加入の手続き

  特定作業従事者の加入希望により、労働局長の承認を受けた「特別加入団体」が労働局長に申請を行い、承認を受けます。 承認を得た場合、労災保険の適用上、特別加入団体を事業主、特定作業従事者を労働者とみなすこととされています。

補償の対象となる範囲

「業務災害」について、次に該当する場合に保険給付を受けることができます。

① 特定農作業従事者
  農業者が、農作業場で行う土地の耕作や開墾、植物の栽培や採取、家畜(家きんやみつばちを含む)や
 蚕の飼育の作業のうち、次のア~ オのいずれかに当たる作業を行う場合
 (その作業に直接附帯する行為を含む)
 ア 農作業場で動力により駆動する機械を使用して行う作業
 イ 農作業場の高さが2メートル以上の箇所において行う作業
 ウ 農作業場で牛・馬・豚に接触し、または接触するおそれのある作業
 エ 農作業場の酸素欠乏危険場所で行う作業
 オ 農作業場で農薬を散布する作業


② 指定農業機械作業従事者
 ア 農業者が、農作業場において指定農業機械を使用して行う作業およびこれに直接附帯する行為を行う
   場合
 イ 農業者が指定農業機械を農作業場と格納場所との間において、運転または運搬する作業
   (苗、防除用薬、堆肥などを共同育苗施設などから農作業場へ運搬する作業を含む。)
   およびこれに直接附帯する行為を行う場合

③ 国または地方公共団体が実施する訓練従事者
  訓練現場に就労している労働者に準ずる。

④ 家内労働者等
 ア 家内労働者等が、作業場で、申請書の「業務又は作業の内容」欄に記載された作業またはこれに直接
   附帯する行為を行う場合
 イ 家内労働者等が、作業場に隣接した場所(作業場の敷地内、作業場前の道路上など)において行う
   家内労働に関わる材料、加工品などの積み込み、積み卸し作業および運搬作業を行う場合

⑤ 労働組合等の一人専従役員(委員長等の代表者)
 労働組合等の常勤役員が、労働組合等の事務所、事業場、集会場または道路、公園その他の公共の用に供する施設において、集会の運営、団体交渉その他の当該労働組合等の活動に関する作業(作業に必要な移動を含む)を行う場合

⑥ 介護作業従事者および家事支援従事者
 ア 介護作業従事者が、介護労働者の雇用管理の改善等に関する法律に規定する介護関係業務で、入浴、
   排せつ、食事などの介護その他の日常生活の世話、機能訓練または看護に関する作業およびこれに
   直接附帯する行為を行う場合
 イ 家事支援作業従事者が、炊事、洗濯、掃除、買物、児童の日常生活上の世話及び必要な保護その他
   家庭において日常生活を営むのに必要な行為に関する作業およびこれに直接附帯する行為を行う場合

⑦ 芸能関係作業従事者
 ア 契約に基づき報酬が支払われる作業のうち、放送番組(広告放送を含む。)、映画、寄席、劇場等に
   おける音楽、演芸その他の芸能の提供の作業又はその演出若しくは企画の作業(ただし、建設の事業
   及びアニメーション制作作業を除く。)及びこれに直接附帯する行為を行う場合
 イ アに必要な移動行為を行う場合(通勤災害の場合を除く)

⑧ アニメーション制作作業従事者
 ア 契約に基づき報酬が支払われる作業のうち、アニメーションの制作の作業及びこれに直接附帯する
   行為を行う場合
 イ アに必要な移動行為を行う場合(通勤災害の場合を除く)

⑨ ITフリーランス
 ア 契約に基づき報酬が支払われる作業のうち、
   情報処理システム(ネットワークシステム、データベースシステム及びエンベデッドシステムを含む)
   の設計、開発(プロジェクト管理を含む。)、管理、監査、セキュリティ管理若しくは
   情報処理システムに係る業務の一体的な企画又はソフトウェア若しくはウェブページの設計、開発
   (プロジェクト管理を含む。)、管理、監査、セキュリティ管理、デザイン若しくはソフトウェア  
   若しくはウェブページに係る業務の一体的な企画その他の情報処理に係る作業及び
   これに直接附帯する行為を行う場合
 イ アに必要な移動行為を行う場合(通勤災害の場合を除く)


 「複数業務要因災害」については、要件を満たしていれば、労働者と同様に保険給付が行われます。
 「通勤災害」については、対象外となる次の特定作業従事者を除いて、 一般の労働者の場合と同様に取り扱われます。

     特定農作業従事者、指定農業機械作業従事者、家内労働者等   

特別加入者としての地位の消滅

① 特別加入団体が脱退することにより消滅する場合[脱退申請の日から30日以内で申請者が希望する日]
  (その団体の構成員全員を包括して行うこと。なお、 特定作業従事者のうち、特定の人のみを脱退させる
   場合は、変更届での対応。)


② 自動的に消滅する場合
 ア 特定作業従事者が特別加入者としての要件を満たさなくなったとき
     [その日(要件を満たさなくなった日)]
 イ 特定作業従事者 が特別加入団体の構成員でなくなったとき [その日]
 ウ 特定作業従事者 の団体が解散したとき[その解散の日の翌日]


特定作業従事者 の団体が関係法令の規定に違反して、特別加入の承認が取り消される場合
  

➤ 加入時健康診断

 中小企業主等、 一人親方その他の自営業者等、特定作業従事者のいずれかでの特別加入希望者が、次の業務に、それぞれ定められた期間従事したことがある場合には、申請の際に健康診断を受ける必要があります。

 〇 粉じん作業を行う業務 (3年以上従事) → じん肺健康診断の受診 
 〇 振動工具使用の業務  (1年以上従事) → 振動障害健康診断の受診
 〇 鉛業務        (6か月以上従事)→ 鉛中毒健康診断
 〇 有機溶剤業務     (6か月以上従事)→ 有機溶剤中毒健康診断

 手続きは、まず所定の申出書を労働保険事務組合もしくは特別加入団体を通じて労働監督署長に提出します。
健康診断が必要と認められる場合には、指示書と依頼書が交付されますので、指示書記載の期間内に、労働局長委託の診断実施機関から選んで加入時健康診断を受診します。受診後に、診断実施機関が作成した「健康診断証明書(特別加入用)」を申請書(変更の場合は変更届)に添付して監督署長に提出します。

 加入時健康診断の結果が次のような場合には、特別加入が制限されます。
 ア 特別加入予定者がすでに疾病にかかっていて、その症状または障害の程度が一般的に就労することが
  難しく、療養に専念しなければならないと認められる場合には、従事する業務の内容にかかわらず特別
  加入は認められません。
 イ 特別加入予定者がすでに疾病にかかっていて、その症状または障害の程度が特定の業務からの転換を
  必要とすると認められる場合には、特定業務以外の業務についてのみ特別加入が認められることとなり
  ます。

 特別加入前に疾病が発症、または加入前の原因により発症したと認められる場合には、特別加入者としての保険給付を受けられないことがあります。

   

海外派遣者

加入対象者

① 日本国内の事業主から、海外で行われる事業に労働者として派遣される者
② 日本国内の事業主から、海外にある中小規模の事業に事業主等(労働者ではない立場)として
  派遣される者
③ 独立行政法人国際協力機構など開発途上地域に対する技術協力の実施の事業(有期事業を除く)を
  行う団体から派遣されて、開発途上地域で行われている事業に従事する者


  ※ 派遣先の事業には有期事業を含みます。

加入の手続き

 派遣元の団体または事業主が、その事業から派遣する特別加入予定者の申請をまとめて労働局長(所轄労働基準監督署長経由)に提出して、承認を受けます。

  ※ 派遣元の団体または事業主が、日本国内において実施している事業(有期事業を除く)について、
    労災保険の保険関係が成立していることが必要

補償の対象となる範囲

【労働者としての海外派遣】

 国内の労働者の場合と同様、業務または通勤により災害を被った場合に労災保険から給付が行われます。
  

【中小企業の代表者等としての海外派遣】

 「業務災害」について、就業中の災害で、次の①~⑦のいずれかに該当する場合に保険給付が行われます。

① 申請書の「業務の内容」欄の労働者の所定労働時間(休憩時間を含む)内に特別加入申請した事業のため
  にする行為およびこれに直接附帯する行為を行う場合(事業主の立場で行われる業務を除く)

② 労働者の時間外労働または休日労働に応じて就業する場合
③ ①または②に前後して行われる業務(準備・後始末行為を含む)を中小事業主等のみで行う場合
④ ①、②、③の就業時間内における事業場施設の利用中および事業場施設内で行動中の場合
⑤ 事業の運営に直接必要な業務(事業主の立場で行われる業務を除く)のために出張する場合
⑥ 通勤途上で次の場合
 ア 労働者の通勤用に事業主が提供する交通機関の利用中
 イ 突発事故(台風、火災など)による予定外の緊急の出勤途上
⑦ 事業の運営に直接必要な運動競技会その他の行事に労働者(業務遂行性が認められる者)を伴って出席

  する場合

 「複数業務要因災害」については、要件を満たしていれば、労働者と同様に保険給付が行われます。
 「通勤災害」については、国内の労働者の場合と同様に取り扱われます。


   ※海外出張の場合は、海外出張者について何らの手続なく、所属する国内の事業場の労災保険により
    保険給付を受けられます。一方、海外派遣の場合は、特別加入の手続が必要となります。
   ※海外出張者とは、単に労働の提供の場が海外にあるにすぎず、国内の事業場に所属し、その事業場
    の使用者の指揮に従って勤務する労働者であり、海外派遣者とは、海外の事業場に所属して、その
    事業場の使用者の指揮に従って勤務する労働者またはその事業場の使用者(事業主およびその他労
    働者以外の者)です。

特別加入者としての地位の消滅

① 海外派遣者全員が特別加入者でなくなるとき
  (労働局長の承認が必要)
② 海外派遣者のうち、特定の人のみが特別加入者でなくなるとき
  
  

給付基礎日額・保険料

給付基礎日額

 保険料や各種給付額算定の基礎となる「基礎給付日額」は、申請に基づいて、労働局長が決定します。
令和3年度の給付日額は、3,500円~25,000円で16個設定されています。(このほかに家内労働者等にのみ適用される日額が3つあります)

保険料

 年間保険料は、保険料算定基礎額(給付基礎日額×365)に事業ごとに定められた保険料率を乗じたもの
  

保険給付の種類等

〇 療養補償給付/複数事業労働者療養給付/療養給付  (特別支給金はなし)
〇 休業補償給付/複数事業労働者休業給付/休業給付 + 休業特別支給金
〇 障害補償給付/複数事業労働者障害給付/障害給付 + 障害特別支給金
〇 傷病補償年金/複数事業労働者傷病年金/傷病年金 + 傷病特別支給金
〇 遺族補償給付/複数事業労働者遺族給付/遺族給付 + 遺族特別支給金
〇 葬祭料/複数事業労働者葬祭給付/葬祭給付      (特別支給金はなし)
〇 介護補償給付/複数事業労働者介護給付/介護給付   (特別支給金はなし)
   

フリーランスへの適用拡大

 特別加入制度自体、1965(昭和40)年の創設以来、数次にわたり対象者の範囲を拡大してきましたが、近年、労働者以外の働き方での副業者が一定数存在していること、IT関連など昭和の制度創設時にはなかった業種が出てきていることなどもあり、フリーランスへの適用拡大の検討が進められてきました。

 その結果、2021年4月と9月の2回に分けてフリーランスへの適用拡大が行われています。
 対象となったのは、次の6業種で、一人親方その他の自営業者等もしくは特定作業従事者のカテゴリーに入っています。
① 芸能関係作業従事者
② アニメーション制作作業従事者
③ 柔道整復師
④ 創業支援等措置に基づき事業を行う方
  (70歳までの就業機会確保の努力義務関連)
⑤ 自転車配達員
⑥ ITフリーランス

 2021年8月~9月に、労災保険特別加入制度に係る提案・意見の募集が行われ、追加すべき業種として17業種の提案がありました。このうち、「イラストレーター、漫画家、アート従事者」、「トラック運転手(2トン、4トンダンプカー、ミキサー等)」では、10件以上の提案が集まっています。