53 改正労働基準法Q&Aを読む(時間外上限規制関係)

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 2020(令和2)年4月から中小企業にも適用された時間外・休日労働上限規制に関連して、厚生労働省の改正労働法Q&A(平成31年4月1日版)の「2 時間外労働の上限規制関係」40問からいくつか見ていきます。
  

36協定新様式での「1か月の延長時間」の記載について(Q2-27,28)

 1か月の起算日は、36協定の対象期間初日(起算日)から1か月ごとに区分した各期間の初日、例えば、対象期間が4月1日からであれば、各月1日が1か月の起算日となります。
 記載する延長時間は、○○時間というように具体的な時間数を記載します。例えば、100時間未満といったに時間の幅を広くとれる記載は、有効ではありません。
  

36協定新様式での「労働させることができる法定休日における始業及び就業の時刻」欄について(Q2-30)

 始業及び就業の時刻を記載するのが原則です。
ただし、それを記載するのが困難な場合に「労働時間数の限度」をその代わりとするの構わないとされています。
  

対象期間途中での36協定の破棄・再締結の際の取扱い(Q2-5)

 Q&Aでは、複数の事業場がある企業で、対象期間を全社統一する事例が挙げられています。
 その回答では、対象期間の全社統一のために当初の36協定の対象期間の途中で、新たな36協定を再締結することは可能としています。
 ただし、新協定締結後も旧協定について、協定した上限時間数、労働基準法での上限規制(単月100時間未満、2~6か月の平均80時間以内など)を超えることがない様に、その対象期間が終了するまで労働時間管理を続けることとしています。
 実務上で考えられる事例としては、有効期間・対象期間ともに起算日4月1日で締結した36協定について、給与計算の締切日(毎月20日)の翌日4月21日を起算日として再度締結する場合があります。この事例では、再締結した年に限っては、旧協定、新協定それぞれの時間管理を重複して行う期間が生じるため、労働時間管理の取扱いは複雑になりますが、その翌年からは、36協定の起算日と月々の給与計算の起算日をが同一あることによる実務上のメリットが享受できます。
  

  • 36協定の対象期間

 該当の36協定での1年間の時間外労働時間、特別条項付協定での限度時間(45時間)超の時間外労働実施月数の1年間でのカウントの対象期間ということなので、その期間は「1年間」に限られます。
  

  • 36協定の有効期間

 該当する36協定が効力を持つ期間ですが、対象期間が1年限定なので最短1年となります。これについては、1年未満で事業が終了するのが確実な場合でも例外措置はありません。
 また、36協定の定期的な見直しの必要からも1年とするのが望ましいとされています。(Q2-1)
1年を超える有効期間は禁止されていませんが、実務上は1年としておくのが妥当な取り扱いと考えられます。
  対象期間……該当する36協定での時間外労働時間、特別条項付協定での限度時間45時間を超える時間外労働を行った月数のカウントを開始する日(起算日)ですが、法律上の上限時間、月数の規制が年単位であることから、「1年間」に限られます。
  

同一企業内で事業所間の異動をした場合の時間外・休日労働実績の通算について(Q2-7)

 これは、異動前後で実績を通算するものとしないものに分かれます。このルールは2020(令和2)年4月1日以降に締結されるものからの適用となります。

・通算するもの…………時間外・休日労働の月100時間未満、複数月平均80時間以内
・通算しないもの………36協定(特別条項なし)での時間外労働の上限時間(年360時間以内)
           特別条項付き36協定での時間外労働の上限時間(年720時間以内)

 前者は、個々の労働者の実労働時間規制なので通算して、後者は、各事業所での36協定による規制なので通算しないとしています。人に付く規制とそうでない規制と分けて覚えておくとよいでしょう。
  

時間外・休日労働の月100時間未満、複数月平均80時間以内は、複数の36協定をまたいで通算するのかどうか(Q2-8)

 中小企業については、対象期間・有効期間の起算日が2020(令和2)年4月1日以降である複数の36協定は通算します。(大企業については、2019(平成31)年4月1日以降のもの)
 例えば、令和2年4月1日から1年間の36協定と、それに続く令和3年4月1日からの36協定であれば通算します。この場合、令和3年4月を起点として6か月の時間外・休日労働の月間平均80時間以内の判定をするには、旧協定の令和2年11月までさかのぼって6カ月の平均を見ることになります。
 副業・兼業、他社への転職の場合でも通算します。その際の労働時間実績の把握方法としては、労働者からの自己申告が考えられます。(Q2-32)
  

法改正前(中小企業は締結日2020年3月31日まで)に例外的に認められていた、①所定労働時間(法定労働時間未満)を基準とした延長時間、②法定休日も含めた労働時間での36協定の届出は、今後も認められるのかどうか(Q2-33)

 これらは、認められません。
 これまでは、企業それぞれの労使慣行などを考慮して例外が認められていましたが、今回、罰則付きで時間外労働の上限規制が法制化されたことから、必ず法定労働時間基準で協定して届け出ることとされました。
 なお、36協定新様式の「所定労働時間を超える時間数」は、任意の記載欄なので空欄としても問題はなく、記載したとしてもその内容自体が「法定労働時間を超える時間数」と別途の効力を持つことはありません(Q2-34)。あくまでも、給与計算や労務管理の人的・金銭的コストなどの理由から所定労働時間を基準として(所定労働)時間外労働の実績時間を管理し、必要となる手当の計算と支給を行っている企業が任意に活用するための記載欄です。
 健康福祉確保措置については、次回54で投稿します。

※別の投稿で36協定の新様式の記載事項について触れていますので、リンクを置いておきます。