今年4月からの中小企業への時間外・休日労働上限規制適用まで残り3か月を切りました。それに関連して改正労働法Q&A(平成31年4月1日版)の「2 時間外労働の上限規制関係」40問からいくつか見ていきます。

■36協定新様式での「1か月の延長時間」の記載について(Q2-27、28)

 1か月の起算日は、36協定の対象期間初日(起算日)から1か月ごとに区分した各期間の初日、例えば、対象期間が4月1日からであれば、各月1日が1か月の起算日となります。そして、具体的な延長時間数を記載します。例えば、100時間未満というのは具体的な時間数を協定したものではないため、有効とはなりません。

■36協定新様式での「労働させることができる法定休日における始業及び就業の時刻」欄について(Q2-30)

 始業及び就業の時刻を記載するのが原則です。ただし、それを記載するのが困難な場合に労働時間数の限度を代わりとするの構わないとされています。

■対象期間途中での36協定の破棄・再締結の際の取扱い(Q2-5)

 Q&Aでは、複数の事業場を有する企業での、対象期間の全社統一の事例が挙げられています。その回答では、対象期間の全社統一のために期間の途中で36協定を再締結することは可能とした上で、旧協定と再締結された協定のそれぞれについて、年間の時間外労働時間、特別条項付協定での限度時間45時間を超える時間外労働を行った月数が上限を超えないようにしなければならないとしています。

 実務上で考えられる事例としては、「有効期間・対象期間(いずれも1年間)ともに4月1日を起算日として締結した36協定について、起算日を給与計算の締切日に合わせて再度締結しようとする場合」があります。ちなみに、36協定の対象期間・有効期間の意味は次のとおりです。(Q2-1)

  • 対象期間……該当する36協定での時間外労働時間、特別条項付協定での限度時間45時間を超える時間外労働を行った月数のカウントを開始する日(起算日)ですが、法律上の上限時間、月数の規制が年単位であることから、「1年間」に限られます。
  • 有効期間……該当する36協定が効力を持つ期間ですが、対象期間が1年限定なので最短1年となります。これについて、1年未満で事業が終了するのが確実な場合でも例外措置はありません。また、36協定の定期的見直しの必要からも1年とするのが望ましいとされています。(1年を超える有効期間は禁止されていないが実務上は1年とするのが妥当な取り扱いと考えられます)

 再締結した年の取扱いは複雑になりますが、その次の年からは、36協定の起算日と給与計算の締切日をが同一あることによる実務上のメリットが享受できます。

■同一企業内で事業所間の異動をした場合の上限時間実績の通算について(Q2-7)

 これは、異動前後で実績を通算するものとしないものに分かれます。なお、このルールは2020(令和2)年4月1日以降に締結されるものからの適用となります。

  • 通算しないもの……36協定(特別条項なし)での時間外労働の上限時間(年360時間以内)、特別条項付き36協定での時間外労働の上限時間(年720時間以内)
  • 通算するもの……時間外・休日労働の月100時間未満、複数月平均80時間以内

 前者は、各事業所での36協定による規制なので通算せず、後者は、個々の労働者の実労総時間の規制なので通算するとされています。人に付く規制とそうでない規制に分けて覚えておくとよいでしょう。

■時間外・休日労働の月100時間未満、複数月平均80時間以内は、複数の36協定をまたいで通算するのかどうか(Q2-8)

 これは、通算します(今年と前年、今年と翌年)。前問と同じく、個々の労働者の実労総時間の規制(人に付く規制)であるためです。このルールの適用の時期的な考え方は前問と同じです。

 また、副業・兼業、他社への転職の場合でも通算します。その際の労働時間実績の把握方法としては、労働者からの自己申告が考えられます。(Q2-32)

■法改正前(中小企業にとっては締結日2020年3月31日まで)に例外的に認められていた、①所定労働時間(法定労働時間以下)を基準とした延長時間、②法定休日も含めた労働時間での36協定の届出は、今後も認められるのかどうか(Q2-33)

 これは、認められません。これまでは、企業それぞれの労使慣行などを考慮して例外が認められていましたが、今回、罰則付きで時間外労働の上限規制が法制化されたため、必ず法定労働時間基準で協定して届け出ることになりました。

 なお、36協定新様式の「所定労働時間を超える時間数」は、任意の記載欄なので空欄としても問題はなく、記載したとしてもその内容自体が「法定労働時間を超える時間数」と別途の効力を持つことはありません(Q2-34)。あくまでも、給与計算や労務管理の人的・金銭的コストなどの理由から所定労働時間を基準として(所定労働)時間外労働の実績時間を管理し、必要となる手当の計算と支給を行っている企業が任意に活用する記載欄です。

 健康福祉確保措置については、次回54で投稿します。

※別の投稿で36協定の新様式の記載事項について触れていますので、リンクを置いておきます。