50 賃金等請求権の消滅時効について(賃金請求権は当面の間3年)

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 民法の一部改正を受けて検討が進められていた「賃金等請求権の消滅時効の在り方」について、今月27日に労働政策審議会長から厚生労働大臣に建議がなされました。

 賃金請求権の消滅時効(労働者が過去の未払い賃金等を企業に請求できる期間)について、原則5年、当分の間3年(現行2年)としています。その施行期日は、民法一部改正法の施行日と同日(令和2年4月1日)で、施行期日以降に支払期日(賃金支払日)が到来した賃金債権から3年の消滅時効が適用されます。なお、退職手当の請求権の消滅時効は、現行の5年を維持します。

 当分の間3年の措置は、改正後の民法における消滅時効の規定「債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間」に合わせて一気に現行の倍以上の5年とした場合には、労使の権利関係が不安定化するおそれがあることなどを考慮したもので,労働関係に関する重要な書類(労働者名簿、賃金台帳など)の法定の保存期間3年に合わせた形となっています。

 年次有給休暇請求権、災害補償請求権については、現行の2年を維持します。これは、そもそも民法の規定にかかわらず、労働基準法で2年としたことやそれぞれの請求権の制度趣旨などを考慮したものです。

 その他の短期間の定めをしている次の請求権については、労働者の早期の権利確定を念頭において定めたものであることから、現状を維持します。

  • 帰郷旅費(契約解除の日から14日以内)
  • 退職時の証明(労働者が請求した場合、遅滞なく交付)
  • 金品の返還(権利者が請求した場合、7日以内に返還)

 ちなみに、帰郷旅費とは、労働契約締結時に明示された労働条件が事実と異なることを理由に労働者が労働契約を解除した時に使用者が帰郷に必要な旅費を負担するもの。退職時の証明とは、退職する労働者が使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由(解雇の場合は解雇理由を含む)についての証明書を使用者に請求するもの。金品の返還とは、労働者の死亡または退職に際して請求があった時に、使用者は7日以内に賃金を支払い、労働者の金品を返還しなけらなならないとするものです。

 付加金、先述した労働関係に関する重要な書類の法定の保存期間(記録の保存)についても、賃金請求権と同じく原則5年、当分の間3年としています。ちなみに、付加金とは、①解雇予告手当、②使用者の責に帰すべき事由による休業手当、③時間外・休日及び深夜の割増賃金、④年次有給休暇取得時の賃金についての未払いがあったときに、労働者の請求により裁判所が使用者に支払を命ずることができるものです。

 なお、当分の間3年の措置の見直しについては、施行日から5年経過後の状況を考慮して検討を行い、必要があると認められるときには措置を講じることとしています。