50 令和4年度の最低賃金改定の目安について~全都道府県30円以上の増~

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全都道府県の最低賃金の答申が出揃う(8/23)

 全都道府県の地方最低賃金審議会での最低賃金額の答申状況が厚生労働本省サイトで公表されました。
 全都道府県で30円以上の増、全国加重平均は31円増の961円です、

 最高額 1,072円(東京都) (このほか1,000円超は、神奈川県 1,071円、大阪府 1,023円)
 最低額  853円(青森、秋田、愛媛、高知、佐賀、長崎、熊本、宮崎、鹿児島、沖縄の10県)

 目安から減額した都道府県はなく、目安のランクDの県の多くで、1~3円の上乗せが行われています。
 2年前の2020年には790円台が16県ありましたが、2年でそれらの県も60円ほど、率にして7%台引き上げられ850円台になります。
 適用予定日は、8割強の都道府県で10月1日から9日の間となっています。

 ➤ 令和4年度 地域別最低賃金 答申状況(厚生労働省本省サイト 8/23付公表資料)へのリンク

   

 以下は、8月2日付の元投稿です。

 8月2日開催の中央最低賃金審議会(厚生労働省所管の審議会)で、令和4年度の地域別最低賃金額改定の目安についての答申の取りまとめが行われました。
 この答申は、前日8月1日の審議会小委員会で取りまとめられた報告に基づき、改定の目安を次のとおりとしています。


※ランクA~Dは、現在の最低賃金額別に都道府県をグルーピングしたもので、最低賃金が最も
 高いグループをランクAとしている。

 昨年どの目安は、全国統一(A~Dグループ共通)で過去最高の28円の引き上げでしたので、2年連続で過去最高を更新する形となります。

 地域別最低賃金については、東京の中央最低賃金審議会が、都道府県をその経済実態に応じて、ABCDの4ランクに分けて、ランク別の引上げ額の目安を提示して、各都道府県の地方最低賃金審議会でその目安を参考に地域別の最低賃金を決めて、10月に改定するという流れになっています。

 都道府県段階で、中央での目安から若干の増減額を行うケースもあり。昨年度は全国統一28円引上げの目安に対して、実際の引き上げ額は、4つのグループに分かれました。

【昨年度(令和3年度)都道府県別引き上げ額】
  32円  島根
  30円  秋田、大分

  29円  青森、山形、鳥取、佐賀
  28円  上記7県以外の都道府県


 ※目安を上回る引き上げを行ったのは、すべてランクDの県

 今回は、答申に先立つ小委員会での取りまとめが難航して、その終了が9年ぶりに8月までずれ込みました。
 また、小委員会では、労働者側と使用者側の意見が一致せず、公益委員がとりまとた上記の目安に対しても、労使ともに自らの側の主張が十分に反映されずに取りまとめられたとして不満の意を表明する状況でした。

 今回の小委員会でのとりまとめにあたって、最低賃金の決定で考慮すべき3つの要素(賃金、労働者の生計費、通常の事業の賃金支払能力)については、次のように考慮されています。

〇 賃 金
  ・春季賃上げ妥結状況での賃金上昇率(規模計)は2%超であり、ここ数年低下してきた賃金引上げ水準が反転
  ・ただし、今年4月以降に上昇している消費者物価の動向が十分に勘案されていない可能性がある点にも留意が
   必要

労働者の生計費
  ・必需品的な支出項目を中心とした消費者物価の上昇に伴い、最低賃金に近い賃金水準の労働者の中には生活
   が苦しくなっている者も少なくないと考えられる。
  ・今年4月の消費者物価指数の「持家の帰属家賃を除く総合」が示す 3.0%を一定程度上回る水準を考慮する
   必要がある

通常の事業の賃金支払能力
  ・企業の利益や業況では、コロナ禍からの改善傾向は見られるものの、コロナ禍や原材料費等の高騰により賃上
   げ原資を確保することが難しい企業も少なくないことに留意する必要

 中央最低賃金審議会での答申に続く、都道府県段階での検討においてもこれらの状況は変わらないため、今回の小委員会と同様に労使双方の意見が一致しないケースが出てくる可能性が考えられます。

 今年度のここまでの流れは、6月の骨太の方針2022で再確認された「全国加重平均1,000円までの引き上げを行う」という政府の方針に沿った形で進んでいます。このまま進めば、今年10月の改定後の最低賃金の全国加重平均は960円程度(現在は930円)、来年には1,000円にかなり近づき、再来年で1,000円を超える可能性が出てきます。

 実際に都道府県レベルではどうなっているかを、ランクCの北海道を例にみると、2016年以降はそれまでとは明らかに違う高い水準での引上げが続いていることがわかります。


※2020年度は、コロナ禍の影響もあり据え置き。改定額の全国加重平均も1円増。

北海道の2022年度は、31円引上げの「920円」で北海道地方最低賃金審議会が答申。
  早ければ10月2日から適用。
   

 このような高い水準での引き上げが続く中では、経済実態から最低賃金が比較的低い地域での引き上げ率がより高くなり、その地域の企業、特に最低賃金近辺でのパートや短期雇用を戦力としている企業にとって大きな負担となります。
 ただ、「賃金の引上げ➤可処分所得の継続的な拡大➤消費の拡大」という好循環を目指す政府の考え方は、揺るぎないものです。

 そして、昨年8月以降は、賃金の引き上げの前提としての生産性向上が、経済産業省関連のみならず、厚生労働省の施策や助成金においても、それまで以上に強く打ち出されている状況です。

 この先、企業によっては、その作業、その商品やサービスが本当に必要なのかといったところまで立ち入った対策が必要となってくるものと考えられます。

  

 ➤ 業務改善助成金で9月から物価高騰対策等で特例を拡充

 厚生労働省のこの助成金は、中小企業・小規模事業者が、事業場内で最も低い賃金の引上げと、生産性向上のための設備投資やコンサルティングなどの取り組みをあわせて行ったときに、その設備投資等の経費を助成するものですが、昨年来続いている特例がこの9月から物価高騰対策等で拡充されています。

 この特例は、一定の要件を満たした特例事業者について、車両購入やパソコン等の新規購入を助成対象経費としたり、10人以上の賃上げでの助成金増額を行うものですが、今回は、そのうち車両購入の範囲が「定員7人以上又は車両本体価格200万以下」に緩和されました。

 特例事業者の要件では、このところの原材料高騰などの外的要因で利益率が低下している事業者を対象にした「物価高騰等要件」が新設されています。この要件に該当するのは、申請前3か月間のうち任意の1月の利益率が前年同月に比べ3%以上低下している場合で、利益率は、売上高総利益率、売上高営業利益率のいずれも可です。
 また、従来からの生産性要件での売上高等の減少率も30%以上から15%以上と大幅に緩和され、コロナ以前(3年前の2019年)との比較も可能となっています。

 これまでの助成率は、引上げ前の事業場内最低賃金900円以上と900円未満の2区分でしたが、9月からは、870円未満、870円以上920円未満、920円以上の3区分となりました。特に870円未満の助成率は9/10で、10月以降に最も低い最低賃金となる850円台の県に手厚くなっています。

 この助成金は、最も低い区分でも助成率が3/4と高く、助成要件である賃上げ額も30円からで、今年の最低賃金の引上げ額とほぼ同じです。例えば、自社内に、手作業や自家製のからくりで対応していて、かつ、社員の評判も良くない作業・工程があるなら、ボトルネック解消の面から一度検討してみても良い助成金です。
 また、過去1年の外部環境の変化を考えると、物価高騰等要件に該当する企業は、それなりの数があるのではないかと感じます。

                                              (2022/9/4)

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