48 今後の年金制度の改革案について(短時間労働者の適用拡大、75歳までの繰り下げ、老齢厚生年金の在職時定時改定)

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 今月25日に社会保障審議会(厚生労働省設置)の年金部会において、今後の年金制度の改革案となるものが示されました。これは、社会経済の変化や年金制度の現状、今年行われた財政検証の結果から、働き方の多様化・高齢期の長期化という今後の社会経済の変化を見越した制度改革が必要という認識により検討が進められてきたものです。

■短時間労働者等に対する被用者保険(厚生年金・健康保険)の適用拡大

 現在、短時間労働者の厚生年金等の加入要件(適用範囲)は下図のとおりとなっていますが、今回の案では適用範囲の拡大を、2022(令和4年)10月に100人超規模の企業、2024(令和6)年10月に50 人超規模の企業と段階的に行うこととされました。また、適用要件のうち、 現行の1年以上の勤務期間要件は撤廃して「2カ月超」とし、週20時間以上の勤務時間要件は現状維持、月額賃金8.8万円以上の賃金要件は、最低賃金の水準も考慮して現状維持です。

 現在、週労働時間20 ~30 時間 かつ月額賃金 8.8 万円以上で働く短時間労働者の内訳は、国民年金第1号被保険者で今回の適用拡大で保険料負担が減り、給付増となる方が半数近く、国民年金の第3号被保険者(企業で働く厚生年金加入者の配偶者)で保険料負担が新たに発生する方が4分の1程度です。また、前回の500人超企業への適用拡大の際の対応については、労働時間の延長(保険加入)が58%、労働時間の短縮が33%で、保険に加入して労働時間を延長する方が多くなっています。そして、この時の厚生年金への新規加入者のうち約4割が国民年金第1号被保険者であり、その約半数が保険料を免除または未納の状態でした。

■高齢期の就労と年金受給の在り方

  • 65 歳以降の老齢厚生年金について、在職中から年金額の改定を毎年行い早期に年金額を増額させる「在職定時改定」の導入を行う。現在は、在職中の年金額改定を行わずに、資格喪失時(退職時もしくは70 歳到達時)に初めて年金額改定を行う仕組み(退職時改定)である。
  • 60~64 歳に支給される特別支給の老齢厚生年金を対象とした在職老齢年金制度(低在老)について、支給停止(減額)開始の基準額(基本月額と総報酬月額相当額の合計額と比較する額)を47万円(現在28万円)とする。
  • 年金の受給開始時期について、自身の就労状況などに応じて年金受給の方法をより柔軟に選択できるように、現行 70 歳の繰下げ受給の上限年齢を 75 歳に引き上げる。(受給開始時期を 60 歳から 75 歳の間で選択可能)
  • 年金受給の繰上げ・繰下げの際の増減率については 、最新の生命表などによる試算結果を考慮して 、1月当たりの繰上げ減額率を現行より0.1%引き下げて 0.4 %(現行0.5%)に、繰下げ増額率は現行と同率(0.7%)とする。

■その他の制度改正事項及び業務運営改善事項

  • 厚生年金・健康保険の適用拡大として、現行では適用除外である「雇用契約期間が2か月以内の者」について、実態として雇用契約の期間を超えて使用される見込みがあると判断できる場合は適用対象とするよう見直す。
  • 国民年金保険料の申請全額免除基準の対象について、地方税法上の非課税措置の対象に合わせ、未婚のひとり親や寡夫を追加する。(地方税法に定める障害者・寡婦は現行でも対象)
  • 脱退一時金制度(短期滞在の外国人に対して、被保険者であった期間に応じて支給)の支給上限年数(現行3年)について、特定技能の在留資格の創設などを含む改正出入国管理法の施行されたことなどから、5年に見直す。
  • 年金生活者支援給付金について、自ら要件に該当するかどうか確認することが難しい方の請求漏れを防ぐ必要から、支給要件の判定のための所得・世帯情報の取得対象者の範囲を、支給要件に該当する可能性のある者まで拡大する。(具体的には、簡易な請求書(はがき型)の送付を可能とする)
  • 現行の国民年金手帳について、被保険者情報が既にシステム管理とされ、個人番号導入もなされていることにより、現行の手帳の交付から基礎年金番号通知書(仮称)の送付に切り替える。
  • 厚生年金保険法に基づく事業所への立入調査について、適用事業所である蓋然性が高いと認められる事業所もその対象とできるようにする。
  • 年金担保貸付事業(年金受給権を担保として小口の資金の貸付けを行う事業)について、閣議決定に基づき廃止する。