43 令和4年度の厚生労働省助成金について

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 令和4年度の厚生労働省助成金について、要件や助成内容が変更されたものをピックアップしています。
   

両立支援等助成金

出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)

 男性社員の育児休業取得などを支援する事業主に対して助成するこのコースでは、これまで大企業(中小企業以外)も対象でしたが、公表資料を見る限りでは、令和4年度以降は「中小企業主」だけが対象となります。

 大きな変更点は、助成の体系が、

 〇 雇用環境の整備措置、業務体制整備を行い、休業取得の実績(子の出生後8週間以内に開始する連続5日以上の休業)
   が生じた事業主への1回目の助成金支給(第1種)
 〇 第1種を受給した事業主を対象に、その後一定の年数で、男性従業員の育児休業取得率を30%以上上昇させた場合に
  その成果達成に対する2回目の助成金支給(第2種)
の2本立てとなったことです。

 このうち第2種については、育休取得率達成に要した期間によって助成額に差が付けられています。
(1年以内が60万円、2年40万円、3年20万円)
 なお、生産性要件での増額は、第2種のみ対象となります。

 第1種については、育児休業取得が一律20万円となっています。また、現行の個別支援加算、育児目的休暇の導入・利用への助成は廃止され、新たに代替要員加算(派遣を含めた代替要員の新規雇用が対象)が助成額20万円(3人以上45万円)で設定されます。

 第1種の要件のうち「育児休業を取得しやすい環境の整備」について、改正育児・介護休業法では、研修の実施や相談窓口設置など4つの取り組みのうち1つ以上の実施を義務付けているのに対して、このコースでは2つ以上の実施を助成の要件としています。
 また、「労使で合意された代替する労働者の残業を抑制するための業務見直しなどが含まれた規定に基づく業務実施体制」は法で義務付けられているものではありません。
 つまり、法を上回る措置をした中小企業主を支援するコースとなっています。
  

出生休業等支援コース

 
 令和3年度までの「代替要員確保時」の助成が「業務代替支援」に名称変更されています。
 この業務代替支援には、「手当支給等」で10万円支給の項目が追加されていますが、これは、代替要員を新規雇用することなく、職場内の他の労働者で業務を代替した場合の手当支給などに対するものです。
 この変更に伴い、令和3年度にあった職場復帰時の「職域支援加算」が廃止されています。
   

65歳超雇用推進助成金

65歳超継続雇用促進コース

 このコースでは、令和3年度は支給額設定での対象者数ごとの区分が、「10人未満」、「10人以上」の2つでしたが、新年度4月からは、「10名未満」の区分が、①「1~3人」、②「4~6人」、③「7~9人」の3区分に細分化されます。
 新たな区分ごとの支給額は、③「7~9人」の区分がこれまでの「10人未満」と同額、①と②の区分では、③の額から見て人数見合いの額に設定し直されています。

 例を挙げると、
 70歳以上への継続雇用の上限年齢引上げで、①30万円、②50万円、③80万円
となっています。


 また、「70歳以上への定年引上げ」については、これまで「定年廃止」と同額でしたが、4月以降は、「66~69歳への定年引上げ(5歳以上引上げ)」の額まで減額されます。その結果として、定年を66歳以上になるよう5歳以上引き上げる場合は、引上げ後の定年年齢にかかわらず同額となります。
 加えて、70歳以上への定年や継続雇用の上限引き上げ、定年廃止については、70歳未満からの引上げや廃止に限定されることとなりました。具体的には、70歳から75歳への定年引き上げや、70歳定年からの定年廃止といった取り組みは、4月以降は対象外となります。

 このコースの支給受付期間は、これまでは定年引上げ等の実施後2カ月以内でしたが、今回、「定年引上げ等の実施の翌月から4カ月の月初から5開庁日(土日祝日、年末年始除く)」に変更されます。
 具体例を挙げると、
 定年引上げを令和4年4月に実施した場合は、
 ① 令和4年5月2日~11日
 ② 令和4年6月1日~7日
 ③ 令和4年7月1日~7日
 ④ 令和4年8月1日~5日
が受付期間となります。(いずれも土日祝日除く)

 令和3年度のこのコースの受付は、支給申請件数が多かったことから、当初予定より大幅に早い令和3年9月下旬で終了しており、その際も告知から終了日まで1週間ほどしかない状態でした。
 そのようなこともあってか、令和3年10月までの取組についての経過措置として、次のア、イのいずれにも該当する場合は、今年4月11日~5月11日の期間に限り申請を受け付け、令和4年度の額を支給する経過措置が発表されています。

 ア 令和3年7月25日~10月31日までの間に、定年引上げ等支給対象となる措置を行っていること
 イ アの措置後2カ月以内に就業規則の届出、対象経費の支払いもしたが、令和3年9月24日(前倒しされた締切日)

  までに支給申請ができなかったこと
   

キャリアアップ助成金

正社員化コース

 このコースでは、昨年4月に、転換もしくは直接雇用後6か月の賃金アップ率が5%から3%になるなど変更がありましたが、この4月にも大きな変更があります。

 その大きな変更とは、これまで対象となっていた3つの転換パターンのうち、「有期から無期へ」の転換や直接雇用に対する助成が廃止されて、「有期から正社員」「無期から正社員」の2つに絞られることです。(ここでの直接雇用は派遣労働者についてのもの)
 これにより例えば、本人の都合でフルタイム勤務ができない有期・パート社員の処遇については、無期契約への転換は助成の対象外、短時間正社員など多様な正社員への転換は助成の対象ということになります。
 ちなみに、短時間正社員、勤務地限定正社員などを新たに制度導入して転換を行った場合には、事業所単位で助成額の加算があります。


なお、障害者正社員化コースでは、「有期から無期へ」の転換等は、4月以降も引き続き助成の対象です。

 4月からは、このコースの対象となる正社員と非正規雇用労働者(有期雇用、無期雇用)の定義が変わり、これまでより細かく定められます。
 具体的には、
 「正社員」については、「賞与または退職金の制度」かつ「昇給」が適用されている者に限られます。
 「非正規雇用労働者(有期雇用、無期雇用)」については、賃金の額または計算方法が「正社員と異なる雇用区分の就業規則等」の適用を6か月以上受けている者とされます。

 この2つの定義の変更は、障害者正社員化コースにも適用されます。

 これらの他には、時期未定としながらも、昨年12月に新設した「人材開発支援助成金の特定の訓練修了者を正社員化した場合の加算」の対象となる訓練を追加するとしています。
 現在この加算の対象となっているのは、
 ①特定訓練コースのうち、IT技術の知識・技能を習得するための訓練(ITSSレベル2~4)
 ②特別育成訓練コースのうち、一般職業訓練または有期実習型訓練
の2つです。

 教育訓練や学び直しというテーマに関しては、国で「人への投資を抜本的に強化するための3年間で4,000億円規模の施策パッケージ」がセットされ、昨年12月から今年1月にかけて内閣官房HPで施策アイデアの募集が行われました。
 4月からの人材開発支援助成金の変更に関する厚生労働省リーフレットでは、その募集での有効と思われる提案を踏まえてメニュー化した訓練を高率助成の対象とするなどの見直しを行うことを検討するとしていますので、その関係の追加・変更が行われるものと考えられます。

  

賞与・退職金制度導入コース

 このコースでは、有期雇用労働者等を対象に賞与・退職金制度を導入して、支給または積立を実施した事業主を助成します。(令和4年度新設コース)
 助成額は、1事業所あたり38万円で、賞与・退職金の両制度を同時導入した場合は、16万円加算されます。(このコースは生産性要件の対象となります。)
 なお、「諸手当制度等共通化コース」は、令和3年度末で廃止されています。
    

人材開発支援助成金

 4月以降継続されるコースのうち、
 「特定訓練」(正社員に訓練効果の高いものを10時間以上実施)
 「一般訓練」(正社員に職務関連の訓練を20時間以上実施)
 「特別育成訓練」(有期契約労働者など(非正規)の訓練)
の3コースで共通の見直しが行われます。

 具体的には、次の2つです。
 ①「訓練施設の要件の変更」として、事業主・事業主団体の設置施設のうち次の4つの施設を対象から除外
  ・申請事業主(取締役を含む)の3親等以内の親族が設置する施設
  ・申請事業主の取締役・雇用する労働者が設置する施設
  ・グループ事業主が設置する施設で、不特定の者を対象とせずに訓練を実施する施設
  ・申請事業主が設置する別法人の施設

 ②「訓練講師の要件の変更」として、外部講師の要件を次のとおり変更
  ・公共職業能力開発施設などに所属する指導員を追加
  ・指導員免許保有者や1級技能検定合格者以外の者について、「訓練分野の指導員・講師経験3年以上もしくは

   実務経験10年以上」を新たに求める

 現行は、その教育訓練の科目、職種等の内容について専門的な知識・技能を有する者でも可ですから、訓練の質の確保などのための要件厳格化の方向に進んでいます。

 3コース共通の見直し以外のものを見ていくと、

 特定訓練、特別育成訓練両コースでのOJT関連で、助成額の算出方法が、現行のOJT1時間当たり単価による方法から、1訓練当たりの定額制による方法に変更されます。
 なお、支給対象となる訓練の時間数の下限や、1労働者が1年間に受講できる訓練数の変更があるかどうかは、新年度のパンフレット、支給要領での確認待ちの状態です。
 加えて、OJTの訓練指導者1人1日あたりの受講者数が3名までとされますが、これは、前記の外部講師の要件と同じく、訓練の質を確保するためのものと考えられます。

 この他、特定訓練コースでの見直しとしては、
 ① グローバル人材育成訓練(海外関連業務に従事する従業員に対する訓練)の廃止
 ② 特定分野認定実習併用訓練(建設、製造及び情報通信業での認定実習併用職業訓練)に対する経費助成率15%の

   上乗せ措置を廃止して、認定実習併用訓練に統合
 ③ セルフ・キャリアドック制度(雇用者全員へのキャリアの節目ごとの定期的なキャリアコンサルティング実施)

   導入での経費助成率15%上乗せ措置を廃止して、同制度導入を支給要件化
などが行われます。

 ②、③により経費助成率の上乗せ措置はなくなり、特定訓練コースでは、中小企業45%、大企業30%に一本化されます。

 特別育成訓練コースでは、接遇・マナー訓練といった職業人として共通して必要となる訓練が、訓練時間数の50%未満に制限されます。(現行は職務関連の内容であれば制限なし)

 また、中小企業等担い手育成訓練(建設業や製造業などでの業界団体を活用した、Off-JTとOJTを組み合わせた最大3年の職業訓練)が廃止されます。
 該当する訓練について、4月以降は、有期実習型訓練(Off-JTとOJTを組み合わせた2~6か月の職業訓練)の枠組での実施を考えていくこととなります。

 これまで触れた3コース以外では、「教育訓練休暇附与コース」(有給教育訓練休暇、30日以上の長期教育訓練休暇制度の導入・利用への助成)において、
 ① 教育訓練短時間勤務制度の新設
 ② 対象に有期契約労働者や短時間労働者、派遣労働者を追加
の見直しが行われます。
   

   

【この投稿の執筆者】
  
 札幌・新道東コンサルオフィス代表
    特定社会保険労務士 塚田 秀和

代表 塚田秀和