今月13日、雇用保険制度等の見直しに関する雇用保険部会報告の素案が示されました。(この部会は、厚生労働者設置の労働政策審議会職業安定分科会の一部会)素案で言及された論点は、基本手当(いわゆる失業手当)の在り方、複数の職場で就労する「マルチジョブホルダー」、雇用保険の財政運営です。

■基本手当

 1つ目は、一般の受給資格者のうち、自己都合(正当な理由なし)で離職した方に対する3か月の給付制限期間の見直しです。具体的には、5年間のうち2回までに限り、制限期間を2か月に短縮することの試行です。ここでいう「正当な理由」とは、健康状態や家庭事情などの被保険者の状況、雇用管理や経営状況などの事業所の状況などから真にやむを得ないと客観的に認められる場合です。

 2つ目は、受給資格の判定に用いる被保険者期間の月数のカウント方法の見直しです。現在は、賃金支払基礎日数(原則、日給者は各月の出勤日数、月給者は各月の暦日数)が11日以上になる月をカウントしていますが、今後は11日未満でも労働時間が80時間以上になる月はカウントするべきとされました。これは、雇用保険の対象者が週所定労働時間20時間、雇用見込み期間31日以上まで拡大されていることに対応するためです。(事業主が雇用保険料を納付しているが、被保険者期間にカウントされない月が発生する可能性がある)

■マルチジョブホルダー

 65歳以上の層について、マルチジョブホルダーとしての働き方を選択する方がそれ以下の年齢層と比較して高い割合で増加していることなどから、 65 歳以上を対象にした試行を行い、5年をメドにその効果を検証するべきとされました。その試行とは、本人の申出を起点にして、2つの事業所(週所定労働時間5時間以上の事業所)の労働時間を合算して週所定労働時間が 20 時間以上である場合は適用対象にするというものです。

 また、失業時の給付は、現在の高年齢求職者給付と同じく一時金方式とすること、1つの事業所を離職する場合、2つの事業所をともに離職しかつ離職理由が異なる場合などについても言及されています。

■雇用保険の財政運営

 育児休業給付の給付額は、令和元年度には基本手当に匹敵する額になると見込まれています。これは、育児休業制度の浸透と数次にわたる制度拡充による給付額の増加によるもので、増加傾向はこの先も続くと見られています。

 この状況への対応として、育児休業給付を失業等給付とは異なる給付体系とした上で、その収支も失業等給付とは区分して、独自の保険料率を設定して運営すべきであるとされました。その保険料率については、当面は現在の雇用保険率のうち4/1,000相当とされています。

 雇用保険二事業(雇用安定事業、能力開発事業)については、雇用情勢の改善などによる収支改善が進んで保険料率も下げていますが資金残高が約1.4兆円に達する状況にあるため、更なる保険料の引き下げを可能とする規定を整備するべきとされました。

 以上3つの論点の他にも、高年齢雇用継続給付という論点がありましたが、素案では項目だけ挙げて言及はしない形になっています。この給付については、政府は段階的に廃止する方針であると報道されています。