42 転嫁円滑化施策パッケージ

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 昨年12月下旬に公表されたこのパッケージ(パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケージ)では、中小企業などが賃上げ原資を確保できるよう、労務費、原材料費、エネルギーコストの上昇分の転嫁円滑化対策のための各省庁の施策が取りまとめられています。

 関係するのは、内閣官房、公正取引委員会、消費者庁、そして厚生労働、経済産業(中小企業庁)、国土交通の各省です。
 ここでは、その中からいくつかご紹介します。

価格転嫁円滑化スキームの創設
 関係省庁からの情報提供や、違反行為情報提供フォーム(公正取引委員会HPに開設済)により、下請業者から匿名で買いたたきなどの違反行為の情報提供を広範囲からを受けて、今年度末までの情報に基づき事例、実績などに関しての報告書を取りまとめられます。それに付随して、コスト上昇分の転嫁拒否が疑われる事案があると見込まれる業種に立ち入り調査を行われます。

独占禁止法上の「優越的地位の濫用」に関する緊急調査など
 転嫁拒否が疑われる事案があると見込まれる業種に対して、来年度に標記の緊急調査が実施されます。また、転嫁拒否が疑われる事案については、立入調査が行われます。

下請代金法上の「買いたたき」に対する対応
 「下請代金支払遅延等防止法に関する運用基準」を以下のように改正することで、労務費、原材料費、エネルギーコストの上昇を取引価格に反映しない取引は、下請代金法上の「買いたたき」に該当するおそれがあることが明確化されます。(実施済)

 第4 親事業者の禁止行為
  5 買いたたき
   (2) 次のような方法で下請代金の額を定めることは,買いたたきに該当するおそれがある。

    ウ 労務費,原材料価格,エネルギーコスト等のコストの上昇分の取引価格への反映の必要性について、価格の交
     渉の場において明示的に協議することなく,従来どおりに取引価格を据え置くこと。(従来からの条項を変更)
    エ 労務費,原材料価格,エネルギーコスト等のコストが上昇したため,下請事業者が取引価格の引上げを求めた
     にもかかわらず,価格転嫁をしない理由を書面,電子メール等で下請事業者に回答することなく,従来どおりに
     取引価格を据え置くこと。(今回新設)

 また、親事業主への立入調査の件数を増やすといった取締りの強化や、下請取引の監督強化のための情報システム構築が行われます。

労働基準監督署からの通報制度の拡充
 立入検査・監督指導(臨検監督)の際に、労働基準関係法令違反が疑われなくても、賃金引上げの阻害要因として「買いたたき」等が疑われる事案は、公正取引委員会や中小企業庁、国土交通省に通報されます。

公共工事品質確保法等に基づく対応の強化
 民間発注者に対しても、公共工事の発注者と同様に、労務費、原材料費、エネルギーコスト等の取引価格を反映した適正な請負代金の設定や適正な工期の確保を求めるとともに、請負代金や工期などの契約締結の状況について、毎年、モニタリング調査などが実施されます。

公共調達における労務費等上昇への対応
 来年度から新たに、賃上げを積極的に行う企業の申請に対する加点が実施されます。
(対象となる企業は、大企業は、給与等受給者一人当たりの平均受給額を前年度比3%増、中小企業は、給与総額1.5%増)

関係機関の体制強化
 優越的地位の濫用に関する執行を強化するため、公正取引委員会に「優越的地位濫用未然防止対策調査室」が今年2月中旬に新設され、体制が強化されます。
 中小企業庁が実施する下請取引の監督を強化するため、現在120名の下請Gメンの体制が来年度から倍増となります。

 そして、毎年1~3月までを「転嫁対策に向けた集中取組期間」として強力に取り組みを進めていくこととなっています。