42 事業再構築補助金のちょっとした話 6~10

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【メモ6】 新規事業者の特例 (R3.6.1)

 今回の第2回の公募要領を初めて見たときに「!」と思ったのは、売上高減少要件のところで、2020(令和2)年4月から12月までの新規事業者が特例的に支援対象になる場合があるとされたことでした。
 
 第1回の公募要領が公表される前の、今年の2月下旬から3月中旬にかけて、「創業してそれほど経っていないけど対象になるだろうか」という質問を複数受けていました。
 そのとき、私の方からは、「この補助金は、これまで続けて来た本業が大きいダメージを受けたので、新分野展開などを進めていくという作りであるし、対前年の売り上げ比較の要件もあるので、新規事業者という切り口は今のところなさそうです。ただ、この先に公表される公募要領で特例が打ち出されるかどうかはわからないですが、あまり期待はできなさそういです」と話をさせていただきました。 そして、第1回の公募要領には、新規事業者の特例はやはりなかったので、いま「!」となったわけです。

 今回は、事業計画書に、①コロナ以前から創業計画を有していたこと、②コロナの影響で売り上げが減少していることの2つを示すことが求められています。
 ②は公的な統計データを探してくるとして、①は融資の書類があれば一番いいのですが、その場合は補助金の話とは別に面倒事が出てきます。
 
 売上高比較は当然するのですが、平時における事業実績がないため、①当初の創業計画は妥当なもので、平時であれば、売上・利益目標は十分達成可能であったこと、②コロナの影響による急激かつ大幅な需要減少から一定の回復があっても、当初の創業計画での売上目標は達成困難であることの2つを数字を交えて事業計画で説明してから、新事業の話になると考えています。
 新規事業者の再構築は、それ以外の会社よりも難易度が高いというのが私の実感です。

   

【メモ7】 再構築後のいまの本業は? (R3.6.22)

 事業再構築という語感からすると、再構築後は本業の体制を縮小しなければならないように感じますが、実際にはそこまで求められてはいません。

 よくある質問【事業再構築指針全般】の中に「既存の事業を縮小又は廃業することは必要か。」という問いと、その答えとして、
「必ずしも必要ではありません。」
「ただし、業態転換のうち、提供方法を変更する場合であって、商品等の新規性要件を満たさないときには、設備撤去等要件を満たすことが必要となります。」
があるのをご覧になった方も多いかと思います。


 とはいっても、いまの本業の体制をそのままにしての再構築には、そうする理由を組み立てておくことが必要です。
 その際に考慮する要素として、考えられるものを挙げていくと、
 〇 本業の業種自体が、成長期、衰退期などのいずれにあるのか
 〇 商圏内での中長期的な需要の見込み
 〇 商圏内の競合企業の動向
   (商圏内需要が縮小傾向でも残存者利益獲得の可能性はあるか、逆に競争激化の方向に向かうか)
 〇 価格、品質、デザイン、使用により得られる満足感(効用)といったもののうち、
   どれで勝負しているか
 〇 老朽設備更新や新商品開発の投資を行う場合、現在の事業規模で回収できるか
 〇 ベテラン社員の退職後に、正社員を補充するのに見合う事業なのか
 〇 新事業とのシナジー効果があるのかどうか
などが出てきます。

 ただ、この補助金の目的や作りから考えると、「既存事業の縮小・整理+大胆な新事業への転換」の方が、あるべき姿により近いといえますし、既存事業の温存は、再構築の必要性・緊急性の点から説得力が弱くなるリスクは避けられないと考えられます。

     

【メモ8】 他の補助金との並行申請 (R3.6.23)

 事業再構築補助金サイトのトップに、次のような注意書きが出ています。(6月23日現在)

 「第1回公募で採択を発表した案件の中に、重複案件と思われる事業が発見されましたので現在調査中です。不正が判明次第、厳正に対応いたします。公募要領4.(7)⑩にありますように、他の法人・事業者と同一又は類似内容の事業については、厳正に対応いたしますので、十分ご注意ください。」

 同一又は類似の事業計画を複数の事業者で申請する重複案件は、不採択又は交付取消となります。これは、過去の事業計画との関係でも同じです。


 では、同一又は類似の事業計画を複数の補助金(例えば、事業再構築とものづくり)に並行して申請できるか?
 結論から言えば、可能です。

 公募要領(第2回)において、「同一法人・事業者が今回の公募で複数申請を行った事業」は不採択又は交付取消となるとされています。
 ですが、要件を満たしている限りにおいて、並行して別の補助金に申請することについては、同様の定めはなく、当然にそうであると読み取れる記載もありません。
 ただし、並行して申請している補助金のいずれかで、採択された場合は交付申請を行い、その後、残りの案件について採択通知が出ても交付申請はしないという対応になります。
(申請している補助金の審査結果がすべて出揃ってから、どの補助金を受給するか判断するという考え方もありますが、それぞれの決定のタイミングのずれなどの問題もありますので、この投稿では、このような記述としています)

  

【メモ9】 製造方法等の新規性要件 (R3.6.24)

 よくある質問の【業態転換、事業再編】で、
「内製化は「製造方法等の新規性要件」に該当するか」という問いがあり、その答えは、
「満たしうると考えられます。」となっていました。

 新規性要件に関する3つの事項を順に見ていくと、

 「①過去に同じ方法で製造等をしていた実績がないこと」については、過去に内製化していた実績がなければ、クリアできるでしょう。
 例えば、創業から同じ製品やサービスを提供し続けている企業で、創業時に資金や人的体制の制約から、その一部を外注としたのがそのまま続いていたのを今回、内製化する場合などが考えられます。

 「②新たな製造方法等に用いる主要な設備等を変更すること」については、①の事例で、製造設備やサービス提供のための装置を新規導入するのであれば、クリアできるでしょう。
 ただし、社内の生産体制の改善により、既存施設の稼働率が下がり余裕が出たので、外注品を既存設備を使って内製化するといった場合は、クリアできません。

 「③定量的に性能又は効能が異なること」については、自社生産のデータを時系列でしっかり把握している企業であれば、数字で示すことは可能でしょう。

 内製化で難しいのは、製造方法等の新規性要件より、製品の新規性、商品等の新規性要件をクリアする方ではないかというのが私の実感です。

 例えば、食品加工の切り口で見ると、内製化による製造日数の短縮、温度管理のレベルアップ、生産数量調整の容易化などで、従来は賞味期限の壁に阻まれて実現できなかった製品を今回の再構築で市場投入するといったことなのかと考えます。

【メモ10】 フライングと事前着手 (R3.6.25)

 経済産業省の補助金に共通する仕組みを今一度確認してみると、

①まず最初に事業計画の申請

 国が補助金を支出する根拠となる事業内容と経費の積算などを事業計画という形にまとめて申請者が申請します。

②審査の結果、評価の高いものから採択

 ここでの高評価は、あくまでも、特定の公募における優劣のことです。ですから、同じ内容の申請であっても、その公募における他の申請のレベルによって、申請全体の上位何パーセントに位置するかは、変わってくる可能性があります。
 一度不採択となっても、事業実施を3カ月程度後倒しすることによるリスクを許容できるなら、事業計画を再度磨き上げての2度目の申請を検討して見て良いのではと考えます。

③採択・交付申請後に事業着手

 採択通知は、国がその申請を、補助金を支出する事業計画として認めたという意思表示です。
 採択通知を受けたことに対して、申請者が交付申請を行います。
 交付申請に対して、国が補助事業の実施を認めるのが、交付決定です。ここで、補助事業として実施できることとその範囲、実施に必要な経費(補助対象経費)の上限額が確定します。(当初の交付決定後に、変更の交付申請と交付決定により、事業内容などを変更する場合は除きます)

 ですから、交付決定がなされる前に契約や支払いを行ったものは、補助対象にはなりません。
 実施できることも、その範囲も決まっていない中で、フライングでやってしまったことだから対象外という扱いです。

 ③の例外が、「事前着手」です。
 今回のコロナ対応のように、さかのぼって補助事業を行う必要性や緊急性などがある場合に、申請前の事業着手を認める特例措置です。
 あくまでも特例措置ですから、事前着手の必要性や緊急性を含めて事務局に示したうえで承認を得る必要があります。事前着手を認める初日(第3回公募では、令和3年2月15日)の前日までに契約したものは対象外ですが、業者に相見積もりを提出させるなど、契約の準備行為に当たることは問題なく行えます。

④事業完了後の補助金支払

 事業完了後に、補助事業実施・実績報告で、実施内容と経費の支出実績を報告します。これについて、国は、交付決定(変更交付決定)どおりの内容での事業実施と経費の支出が行われたかどうかを確認(確定検査)したうえで、補助金の支払額(交付額)を決定して、申請者に通知します。
 申請者の補助金支払いの請求により、国は指定口座に補助金を振り込みます。
 ④の例外が、「概算払」です。

  

【この投稿の執筆者】
  
 札幌・新道東コンサルオフィス代表
    特定社会保険労務士 塚田 秀和

代表 塚田秀和