令和2年度の表題の監督指導結果が厚生労働本省HPで公開されています。
実施対象となった事業場は、以下に該当する24,042事業所で、そのうち37%に当たる8,904事業場で違法な時間外労働がありました。
〇 各種情報から時間外・休日労働時間数が1か月当たり80時間を超えていると
考えられる事業場
〇 長時間にわたる過重な労働による過労死等に係る労災請求が行われた事業場
違法な時間外労働を月時間数で見ると、
〇 面接指導実施ラインの月80時間超 2,982事業場(違反事業場の33.5%)
〇 法定の上限である月100時間超 1,878事業所(同21.1%)
〇 月200時間超 93事業場
また、違法な時間外労働の多かった業種は、商業、製造業の順でこの2業種で全体の44.2%、次いで、接客娯楽業、建設業、運輸交通業が10%前後です。
長時間労働以外では、賃金不払残業が 1,551 事業場(対象事業場の 6.5%)、過重労働による健康障害防止措置が未実施であったのが 4,628 事業場(同19.2%)があり、是正勧告や指導が行われています。
指導監督事例として、次の3つが挙げられています。
① 36協定で定めた上限時間を超え最長197時間の時間外・休日労働をさせ、加えて、月80時間超の時間外・休日労働を
行った労働者の面接制度を未実施であった事業所に対して、是正勧告を行い、月80時間以内とするための具体的な方策
を検討・実施するよう指導したもの
② 36協定の締結・届出をせずに、最長月235時間の時間外・休日労働を⾏わせ脳・心臓疾患の発症に至り、加えて、一部
の労働者の労働時間を把握していなかった事業場に対して、是正勧告を行い、月80時間以内とするための具体的な方策
の検討・実施などを指導したもの
③ 最長月190時間の時間外・休日労働を⾏わせ、加えて、36協定締結での労働者代表を会社が指名していた案件で、是正
勧告を行い、月80時間以内とするための具体的な方策を検討・実施するよう指導したもの
(この事業場では、年5日の年休取得に関する事業主の義務(労働基準法第39条第7項)違反もあり)