38 介護休業と介護休暇

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 介 護 休 業

【介護休業とは?】

 負傷、疾病又は身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上にわたり常時介護(歩行、排泄、食事等の日常生活に必要な便宜を供与すること)を必要とする状態にある家族を介護するための休業で、対象家族の介護をする労働者が事業主に申し出ることにより取得できます。   
   

【常時介護を必要とする状態 】

 次の(1)または(2)のいずれかに該当する場合です。
  (1)介護保険制度の要介護状態区分において要介護2以上であること。
  (2)状態①~⑫のうち、2が2つ以上または3が1つ以上該当し、かつ、その状態が継続すると認められること。


     詳細については、「常時介護を必要とする状態に関する判断基準(厚生労働省資料)」 を以下のリンク先から
     確認してください。  👉リンク先

 ここでの判断は、あくまでも判断基準を参照して行うものであり、介護保険の要介護状態区分などによるものではありません。ですから、介護保険の要介護認定の結果通知書や医師の診断書の提出を制度利用の条件とすることはできません。
   

【対象となる家族の範囲】

 介護をする労働者との関係で、
  〇 労働者の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)
  〇 労働者の父母(実父母のみならず養父母を含む。)
  〇 労働者の子(実子のみならず養子を含む。)
  〇 労働者の配偶者の父母(実父母のみならず養父母を含む。)
  〇 労働者の祖父母、兄弟姉妹、孫

   

【申出ができる労働者】

 以下のいずれかに該当する者を除く労働者が、事業主に対して介護休業の申出をすることができます。
  〇 日々雇用されるもの
  〇 労使協定(事業主と過半数労働組合もしくは過半数代表者との協定)で、介護休業ができないものと定められた者

日々雇用されるもの

 1日単位の労働契約期間で雇われ、その日の終了によって労働契約も終了する契約形式の労働者。
 なお、労働契約の形式上日々雇用されている者であっても、当該契約が期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態となっている場合には、実質的に期間の定めのない契約に基づき雇用される労働者であるとして育児休業及び介護休業の対象となります。

労使協定で介護休業ができないものと定めることができる者

 ・介護休業申出の時点でその事業主に引き続き雇用された期間が1年に満たない労働者
 ・申出の日から93日以内に雇用関係が終了することが明らかな労働者
 ・1週間の所定労働日数が2日以下である労働者

事業主に引き続き雇用された期間

 事業所間異動があった場合でも、各事業所での雇用期間を通算します。
 また、労働組合の専従者となっている期間、長期療養等のための休職期間のように、労務の提供が行われていない期間も、労働契約関係が継続する限り雇用された期間とします。

1週間の所定労働日数の判断

 原則として休業申出の時点までの1か月間の状況等を踏まえて判断します。

 
 有期雇用労働者(期間を定めて雇用される者)については、次のいずれにも該当する場合に限って、申出をすることができます。
  〇 介護休業申出の時点で、その事業主に引き続き雇用された期間が1年以上である者
  〇 その者の有期労働契約(更新される場合は更新後の契約)が、以下の日までに満了することが明らかでない者
    ・介護休業開始予定日から起算して93日を経過する日から、更に6か月を経過する日

  

【取得日数と回数】

 対象家族ごとに、回数は3回まで、日数は通算で93日まで取得できます。
 (休日(労働日でない日)も含めた日数で計算します)

複数の対象家族について介護休業を取得する場合

 介護休業日数は、個々の労働者について、対象家族ごとに計算します。

 (例)労働者の父について、3回、93日の介護休業、配偶者の母について、2回、65日の介護休業
    この場合、労働者の父について新たな介護休業の取得はできませんが、
         配偶者の母について1回、28日までの新たな介護休業の取得が可能です。

同一の対象家族について他の事業主の下で介護休業をしたことがある場合

 以前に、他の事業主の下で取得した介護休業日数は、現在の事業主の下での介護休業日数には算入しません。

 (例)以前の事業主A:1回、28日の介護休業、現在の事業主B:1回、28日の介護休業の場合
     現在の事業主の下で、この先介護休業を取得可能な回数は2回、休業可能な日数は65日

 1回の休業日数の下限の定め、1回目の休業開始日から3回目の休業終了までの期間制限は法律上なく、事業所ごとに定めることもできません。
 ですから、その事業所が法定の回数及び日数の介護休業制度であれば、 次の例のようなことも可能です。

 (例)3回休業で、8日+20日+65日といった配分
    1回目の休業と2回目の間隔を1年以上空けること

 ただし、その事業所の介護休業制度が法定以上の制度(例えば、回数4回、日数180日)であれば、法定の回数、日数を超える部分(例えば、4回目、94~180日目)については、事業主が休業日数の下限や取得期間の制限を設けることができます。
 

【手続きについて】

 介護休業の申出の内容は、対象家族の氏名と申し出た労働者との続柄、要介護状態にある事実、介護休業の開始予定日と終了予定日などです。
 申出の休業開始予定日から実際に休業するためには、開始予定日の2週間前までに申出をする必要があります。
 
 事業主は、経営困難、事業繁忙その他どのような理由があっても適法な労働者の介護休業申出を拒むことはできません。(例外は、法の定めや労使協定により、申出をすることができないとされた労働者から申出があった場合です。)
 また、申出を受けた事業主は、申出を受けた旨、申出の介護休業の開始予定日と終了予定日、申出を拒む場合には、その旨及びその理由を、労働者に速やかに通知しなければまりません。

介護休業の開始予定日の2週間前までに申出をしなかった場合

 その場合には、申出の休業開始予定日と、申出日の翌日起算で2週間経過する日までの間で、事業主が休業開始予定日を指定して申し出た労働者に通知することができます。
 事業主の休業開始日指定の通知は、申出日の翌日起算で3日以内に行います。

 (例)労働者の申出日が1月10日で、申出の休業開始予定日が1月20日の場合、
    事業主は、労働者申出の開始予定日である1月20日と、申出日の翌日起算での2週間経過日
    である1月24日の間で、開始予定日を指定することができます。
    事業主の指定した開始予定日の通知は、労働者の申出日の翌日起算で3日経過日である
    1月13日までに行います。
  

申出等の方法

 労働者からの申出、事業主からの通知の方法は、次の①~③のいずれですが①が原則の方法で、②と③は事業主が認めた場合に使用可能となります。
 ① 書面を提出する方法(手交もしくは郵送)
 ② ファクシミリを利用して送信する方法
 ③ 電気通信回線を通じて事業主の使用に係る通信端末機器に送信する方法

 ③の方法は、 電子メールによる方法や、ブラウザその他のソフトウェアを用いて事業主が使用する通信端末機器に電気通信回線を通じて送信することのほか、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)メッセージ機能を利用した電気通信による方法も含まれます。
 また、電子メール等の記録を出力することにより書面を作成できることが求められています。  

 休業開始予定日の変更について、法令の定めはありませんが、事業所で手続きを定めて運用することは可能です。
 休業終了予定日の変更について、
  〇 繰り下げは、1回に限り、休業終了予定日の2週間前までに事業主に申し出ることでできます。
    なお、終了予定日の2週間前までに行われなかった申出については、事業主は拒むことができます。
  〇 繰り上げは、法令の定めはありません。


 休業の申出の撤回は、介護休業開始予定日の前日まで可能です。
 撤回した介護休業申出に係る対象家族についての再度の介護休業申出は、1回の介護休業につき1回に限りできます。
 なお、再度の撤回を行った場合は、その後になされる同じ対象家族についての申出を事業主は拒むことができます。

   

【申出がされなかったものとみなされる場合】

 介護休業開始予定日の前日までに、以下のような「対象家族を介護しないこととなった場合」に該当したときは、休業の 申出がされなかったものとみなされます。(労働者の申出と事業主の通知がなかったことになる)
  〇 対象家族の死亡
  〇 離婚、婚姻の取消、離縁等による対象家族との親族関係の消滅
  〇 労働者が負傷、疾病等により対象家族を介護できない状態になったこと

  

【休業期間の満了以外の終了事由】

 以下の場合には、申出をした労働者の意思にかかわらず介護休業の期間は終了します。
  〇 労働者が介護休業の申出に係る対象家族を介護しないこととなった場合
  〇 介護休業をしている労働者について産前産後休業、育児休業又は新たな介護休業が始まった場合
  

 介 護 休 暇

 介護休暇制度の規定がある事業所は約6割、30人以上に限ると約8割となっています。(厚生労働省実施の平成30年度雇用均等基本調査)
 この休暇は、要介護状態にある対象家族の介護や世話をする労働者(日々雇用を除く)が1年度で5日(対象家族が2人以上の場合は10日)まで取得できるものです。取得の単位は、1日または半日ですが、1日の所定労働時間が4時間以下の労働者は半日単位での取得はできません。
 申出については、口頭でも可能であり、当日の電話などでも取得を認めることが必要とされています。また、要介護状態を証明する書類の提出についても、事後提出を可能にするなどの配慮するようにとされています。
 労使協定で対象者から除外できる労働者は、次のとおりです。
  〇 その事業主の継続雇用期間が6か月に満たない労働者
  〇 週所定の労働日数が2日以下の労働者
  〇 半日単位での取得が困難と認められる業務に従事する労働者(1日単位での取得は可能)

 3の労働者については指針で、国際路線などに就航する航空機の客室乗務員、長時間の異動を要する遠隔地で行う業務に従事する者、流れ作業や交代制勤務に従事する者が例示されています。

  

 所定外労働の制限

 要介護状態にある対象家族を介護する労働者(日々雇用を除く)が請求した場合には、事業主は、事業の正常な運営を妨げる場合を除いて、所定労働時間を超えて労働させることはできません。この請求について回数の制限はありませんが1回の請求期間は1か月以上1年以内として開始日と終了日を事前に決めた上で、開始日の1か月前までに事業主に請求します。

 次の場合には、労働者の意思にかかわらず制限期間が終了します。
  〇 対象家族を介護しないこととなった場合
  〇 制限期間中の労働者について、新たに産前産後休業、育児休業又は介護休業が始まった場合

 なお、労使協定でその事業主の継続雇用1年未満、週の所定労働時間2日以下の労働者を対象外とすることができます。

 

 時間外労働の制限

 要介護状態にある対象家族の介護目的で労働者(日々雇用を除く)が時間外労働の制限を請求した場合には、事業主は、事業の正常な運営を妨げる場合を除いて、月24時間、年150時間を超える時間外労働をさせることができません。この請求について回数の制限はありませんが1回の請求期間は1か月以上1年以内として開始日と終了日を事前に決めた上で、開始日の1か月前までに事業主に請求します。

 次の場合には、労働者の意思にかかわらず制限期間が終了します。
  〇 対象家族を介護しないこととなった場合
  〇 制限期間中の労働者について、新たに産前産後休業、育児休業又は介護休業が始まった場合

 なお、労使協定でその事業主の継続雇用1年未満、週の所定労働時間2日以下の労働者を対象外とすることができます。

   

 深夜業の制限

 要介護状態にある対象家族の介護目的で労働者(日々雇用を除く)が深夜業の制限を請求した場合には、事業主は、事業の正常な運営を妨げる場合を除いて、午後10時から午前5時までの深夜時間帯に労働させることはできません。

 日々雇用の他にも、次にあてまはる労働者はこの請求をすることができません。
  〇 その事業者の継続雇用期間が1年未満
  〇 週の所定労働日数が2日以下
  〇 所定労働時間の全部が深夜(午後10時~午前5時)にある場合
  〇 深夜においてその子を常態として介護できる同居の家族がいる場合

【 「深夜においてその子を常態として保育できる同居の家族」とは?

 16歳以上の同居家族で、次の3つの項目すべてに該当する者です。
  ・深夜に就業していない者
    (深夜就業の日数が月3日以下は、深夜就業していない者とする)
  ・負傷、病気などにより子の保育が困難な状態にある者ではないこと
  ・6週間(多胎妊娠は14週間)以内に出産予定、又は産後8週間以内の者ではないこと

    

 この請求について回数の制限はありませんが1回の請求期間は1か月以上6か月以内として開始日と終了日を事前に決めた上で、開始日の1か月前までに事業主に請求します。

 次の場合には、労働者の意思にかかわらず制限期間が終了します。
  〇 対象家族を介護しないこととなった場合
  〇 制限期間中の労働者について、新たに産前産後休業、育児休業又は介護休業が始まった場合

   

 所定労働時間の短縮措置等

 要介護状態にある対象家族の介護をする労働者について、仕事と介護の両立を容易にするために事業主は、連続3年以上の期間における所定労働時間の短縮等の措置を行わなければなりません。

 その措置は次のものから少なくとも1つを選択し、3年以上の期間で2回以上利用できるようにします。

 なお、労使協定でその事業主の継続雇用1年未満、週の所定労働時間2日以下の労働者を対象外とすることができます。