35 キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)

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 有期雇用労働者である障害者の正規・無期転換については、昨年度までは障害者雇用安定助成金で支援していましたが、昨年3月末にその助成金の整理・統廃合が行われて正規・無期転換の項目は、昨年4月からキャリアアップ助成金に移行して新たに「障害者正社員化コース」が設けられました。
 

助成対象となる事業主(事業場)と取組内容

 助成対象となるのは、以下のいずれにも該当して、助成対象となる取り組みを行った事業主(事業場)です。

 ・雇用保険の適用事業所であり、キャリアアップ管理者を置いていること
 ・キャリアアップ計画書を作成して、労働局長の認定を受けていること

   

【助成対象となる取り組み】

 このコースでは、身体障害者、知的障害者、精神障害者、発達障害者、難病患者または高次脳機能障害者である方が、次の①~③のいずれかの転換を行い、転換後の継続雇用と賃金の支払いで要件を満たした場合に助成対象となります。
 有期雇用、無期雇用いずれも転換日までの継続雇用期間は6カ月以上です。
 つまり、無期雇用からの転換については、正社員化コースでの継続雇用期間3年以下の要件がないため、通算契約期間が5年を超える者(労働契約法のいわゆる「無期転換ルール」の対象者)でなければこのコースの対象となる転換が可能となります。


 正社員転換等のパターンは、右図のとおり。
 ① 有期契約社員から正社員(正規雇用)への転換
 ② 有期契約社員から無期契約社員への転換
 ③ 無期契約社員から正社員(正規雇用)への転換


 なお、就労継続支援A型事業の利用者はこの助成金の支給対象外です。

  ※ 上記①、③の転換については、「多様な正社員」への転換も助成対象に含まれています。
   

【過去に同じ事業主の下で無期雇用労働者であった「有期雇用労働者」について】

 正規雇用労働者への転換対象となる有期雇用労働者が以下に該当する場合は、「無期雇用労働者」とみなします。

  ・転換日の前日から過去3年以内において、同じ事業主の下で6か月以上無期雇用労働者であった者

   

【事業主等の親族の取り扱い】

 事業主または取締役の3親等以内の親族である有期契約労働者等を転換した場合は、助成対象外となります。
   

【求人応募の際の雇用区分について】

 正社員求人に応募し、有期雇用労働者又は無期雇用労働者で雇用された者が、その雇い入れの際に正規雇用労働者等として雇用することを約束していた場合には、助成対象外となります。
  

キャリアアップ計画書

 事業場の有期契約労働者等について、事業主が定める計画期間(3~5年)内に実施する処遇改善関連の措置項目とその内容、対象者、キャリアアップ管理者などを記載した計画書で、最初の措置項目を実施する前に都道府県労働局に提出して、労働局長の認定を受けます。
 なお、ここでの措置項目は、キャリアアップ助成金の各コースのことです。

キャリアアップ管理者

 有期契約労働者等のキャリアアップに取り組む者として、必要な知識及び経験を有していると認められる者を、その事業所に雇用されている者から選任してキャリアアップに向けた管理体制の整備を行うこととされています。
 なお、適当な者を配置できない場合は、その事業所の事業主または役員がキャリアアップ管理者になることができます。

正社員化コース以外のキャリアアップ助成金

 ・障害者正社員化コース
   ……障害のある有期雇用労働者等者を正規雇用労働者等へ転換した場合に助成する
 ・賃金規定等改定コース
   ……賃金規定等の増額改定により有期雇用労働者等の賃金の引上げを実施した場合に助成する
 ・賃金規定等共通化コース
   ……正規雇用労働者と共通の賃金規定等を導入した場合に助成する
 ・諸手当制度等共通化コース
   ……正規雇用労働者と共通の諸手当制度を導入した、または法定外の健康診断制度を導入した
     場合に助成する
 ・選択的適用拡大導入時処遇改善コース
   ……有期雇用労働者等を新たに社会保険に加入させると同時に被用者保険の適用と働き方の
     見直しに反映させるための取組を実施した場合に助成する

 ・短時間労働者労働時間延長コース
   ……短時間労働者の所定労働時間を延長すると同時に社会保険に加入させた場合に助成する

正社員(正規雇用労働者)

 無期労働契約を締結しており、同じ事業主に雇用される通常の労働者と比較して勤務地や職務の限定がなく、所定労働時間も同じである者。また、賃金、賞与、退職金、定昇や昇格の有無等についても、通常の労働者と同様の正社員待遇を受けている者です。

多様な正社員

 次の3つの類型があります。
 ・勤務地限定正社員
   ……勤務地が同一の事業主に雇用される正規雇用労働者の勤務地に比べ限定されている労働者
 ・職務限定正社員
   ……職務が同一の事業主に雇用される正規雇用労働者の職務に比べ限定されている労働者
 ・短時間正社員
   ……所定労働時間が同一の事業主に雇用される正規雇用労働者の所定労働時間に比べ短い労働


 上記の3つの類型に属する労働者はすべて無期労働契約を締結しており、上記の限定されている一つの労働条件以外のものは正社員(正規雇用労働者)と同じであり、 賃金、賞与、退職金、定昇や昇格の有無等では、正社員待遇を受けている者です。

  

助成金支給額

※ 以下の支給額は、中小企業の場合の金額です。

   
   

転換後・転換前6か月の賃金の比較について

【転換前・転換後6か月の賃金】

 転換前・転換後6か月における、基本給及び定額で支給されている諸手当を含む賃金の総額であり、次に該当するものは含みません。
  ・実費弁償的なもの
  ・毎月の状況により変動することが見込まれる手当

  ・賞与、臨時に支払われた賃金
 

【比較の方法】

 原則は、所定労働時間1時間当たりの賃金で比較します。
 例外的に、転換前6か月、転換後6か月それぞれの賃金総額で比較できるのは、次の2つのケースのみです。

  ・転換前後において所定労働時間に変更がなく支給形態がいずれも月給である場合
  ・変形労働時間制であって所定労働時間及び支給形態に変更がない場合


 以上の方法で比較して、転換後6か月の賃金が転換前6か月と比較して減額されていないときに、助成の対象となります。

算定に含めることのできない手当の例

 ・就業場所までの交通費を補填する目的の「通勤手当」
 ・家賃等を補填する目的の「住宅手当」
 ・就業場所が寒冷地であることから暖房費を補填する目的の「燃料手当」
 ・業務に必要な工具等を購入する目的の「工具手当」
 ・繁閑等により支給されない場合がある「休日手当」及び「時間外労働手当(固定残業代含む )」
 ・本人の営業成績等に応じて支払われる「歩合給」
 ・本人の勤務状況等に応じて支払われる「精皆勤手当」
 ・食費を補填する目的の「食事手当」 等

固定残業代の取り扱い

 固定残業代の総額又は時間相当数を減らしている場合であって、かつ転換前後の賃金に固定残業代を含めた場合に、賃金が減額されているときは、助成対象外となります。
  

手続き・実施の流れ

 手続き・実施の流れは下図のとおりです。
 

 上図の流れについて、

〇 キャリアアップ計画書を最初の措置項目(助成金のコース)の実施日前日までに事業所所在地の労働局に提出します。
 (過去に認定を受けた計画の計画期間・措置内容で実施できる場合は除く。)

〇 正社員等への転換は、就業規則等の定めに基づいて行うものであるため、1人目の転換を実施する前に就業規則等を改定

 して転換制度について定めておく必要があります。
 (そのため、実務上はキャリアアップ計画提出日から転換日まである程度の余裕日が必要)

〇 転換日後6か月が第1期支給対象期間となります。6か月の初日については、転換日と賃金計算期間の初日が同じ日の場
  合は「転換日」、そうでない場合は「転換日以後最初の賃金計算期間の初日」となります。


そして、この期間の賃金を最後に支払った日(6か月分の賃金支払日(※))の翌日から2か月以内に第1期分の助成金
  支給申請を行います。

   (※)就業規則等の規定により、時間外手当を実績に応じ基本給等とは別に翌月等に支給している場合は、6か月分
      最後の時間外手当の支給日を賃金を支給した日です。(時間外勤務の実績がなく、支給もない場合を含む。)

〇 第1期支給対象期間の翌日から第2期支給対象期間(6か月)が始まります。
  6か月分の賃金支払日と支給申請の考え方は、第1期と同じです。

〇 転換後、「勤務をした日が11日以上ある月」(※)の6か月分の賃金を対象労働者に支給するまでは、助成金の支給申請

  をすることはできません。

   (※)勤務予定日数が18日未満の場合は、勤務予定日数の6割以上の月と読み替えます。