35 キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)

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 有期雇用労働者である障害者の正規・無期転換について、以前は障害者雇用安定助成金で支援していましたが、令和2年度末にその助成金の整理・統廃合が行われて正規・無期転換の項目は、令和3年度からキャリアアップ助成金に移行して「障害者正社員化コース」が設けられました。

助成対象・支給要件

助成対象となる事業主

 助成対象となるのは、以下のいずれにも該当して、助成対象となる取り組みを行った事業主(事業場)です。

〇 雇用保険の適用事業所であり、キャリアアップ管理者を置いていること
〇 キャリアアップ計画書を作成して、労働局長の認定を受けていること
  

キャリアアップ計画書

 事業場の有期契約労働者等について、事業主が定める計画期間(3~5年)内に実施する処遇改善関連の措置項目とその内容、対象者、キャリアアップ管理者などを記載した計画書で、最初の措置項目を実施する前に都道府県労働局に提出して、労働局長の認定を受けます。
 なお、ここでの措置項目は、キャリアアップ助成金の各コースのことです。

 

キャリアアップ管理者

 有期契約労働者等のキャリアアップに取り組む者として、必要な知識及び経験を有していると認められる者を、その事業所に雇用されている者から選任してキャリアアップに向けた管理体制の整備を行うこととされています。
 適当な者を配置できない場合には、その事業所の事業主または役員を管理者とすることが可能です。 

   

助成対象となる取り組み

 このコースでは、身体障害者など(※)である有期契約社員や無期契約社員が、正社員などへの転換を行い、転換後の継続雇用と賃金の支払いで要件を満たした場合に助成対象となります。
 なお、有期契約、無期契約いずれの社員も、転換日までの継続雇用期間が6か月以上であることが必要です。

  (※)身体障害者、知的障害者、精神障害者、発達障害者、難病患者または高次脳機能障害者 

 正社員転換等のパターンは、右図の3つです。

 ① 有期契約社員から正社員(正規雇用)への転換
 ② 有期契約社員から無期契約社員への転換
 ③ 無期契約社員から正社員(正規雇用)への転換

 有期契約社員については、正社員化コースのように継続雇用期間3年以下の要件がないため、通算契約期間が5年を超える者(いわゆる「無期転換ルール」の対象者)でなければこのコースの対象となる転換が可能です。 

 その他のポイントとしては、
 ・上記①、③の転換では、多様な正社員への転換も助成対象に含まれること
   ⇒ ただし、転換日時点で対象事業場に通常の正社員が1人以上在籍していることが必要というのが原則
 ・就労継続支援A型事業の利用者はこの助成金の支給対象外であること
 ・転換前の継続雇用期間に昼間学生であった期間は含まないこと

 ・障害者トライアル雇用又は障害者短時間トライアル雇用をしている場合について、それらの雇用終了後、
  次のことが確実な場合は、雇用継続期間の要件を「当該障害者トライアル雇用等期間以上」とすること
   ⇒ 助成対象となる転換を行ったうえで、引き続き雇用保険被保険者として雇い入れ、継続雇用すること

  

正社員(正規雇用労働者)

 無期労働契約を締結しており、同じ事業主に雇用される通常の労働者と比較して勤務地や職務の限定がなく、所定労働時間も同じである者。また、賃金、賞与、退職金、定昇や昇格の有無等についても、通常の労働者と同様の正社員待遇を受けている者です。
  

多様な正社員

 次の3つの類型があります。

〇 勤務地限定正社員

勤務地が同一の事業主に雇用される正規雇用労働者の勤務地に比べ限定されている労働者

職務限定正社員

職務が同一の事業主に雇用される正規雇用労働者の職務に比べ限定されている労働者

短時間正社員

所定労働時間が同一の事業主に雇用される正規雇用労働者の所定労働時間に比べ短い労働

 上記の3つの類型に属する多様な正社員は、
 ・すべて無期労働契約を締結している
 ・限定されている一つの労働条件以外のものは正社員(正規雇用労働者)と同じ
 ・賃金、賞与、退職金、定昇や昇格の有無等では、正社員待遇を受けている

  

過去に同じ事業主の下で無期雇用労働者であった「有期雇用労働者」について

 正規雇用労働者への転換対象の有期雇用労働者が以下に該当する場合、無期雇用労働者とみなします。

 ・転換日の前日から過去3年以内に、同じ事業主の下で6か月以上無期雇用労働者であった者

   

事業主等の親族の取り扱い

 事業主または取締役の3親等以内の親族である有期契約労働者等を転換した場合は、助成対象外です。
   

求人応募の際の雇用区分について

 正社員求人に応募し、有期雇用労働者又は無期雇用労働者で雇用された者が、その雇い入れの際に正規雇用労働者等として雇用することを約束していた場合には、助成対象外です。  

   

令和4年10月からの支給要件の変更

 令和4年10月1日以降に実施される転換について、次の3点で支給要件が変更されます。

1.正規雇用労働者定義の変更

 「同一の事業所内の正規雇用労働者に適用される就業規則が適用されている労働者」というところは、これまでと同じですが、次の2つの点で定義が厳格化されます。

〇 「賞与または退職金の制度」かつ「昇給」が適用されている者に限る
〇 正規雇用労働者としての試用期間中の者は、転換等したものとはみなさない

   ⇒ 2022年9月末までは、「正社員待遇が適用されていない(試用期間中は賃金が低いなど)
     試用期間中の者に限り、正社員とみなさないこととしている。

 賞与については、就業規則等に「原則として支給する」と明記することが求められます。
  ⇒ 「原則として支給、業績等によっては支給しないことがある。」は、支給対象となり得る。
   
 昇給については、就業規則等に客観的な昇給基準に基づいた賃金据え置きや減給の規定を置いている場合は、支給対象となり得ます。

  

2.対象となる労働者要件の変更

 転換前の有期雇用もしくは無期雇用での6か月以上継続雇用の間、賃金の額または計算方法が「正規雇用労働者と異なる雇用区分の就業規則等」の適用を受けていたことも新たに要件となります。

 今年10月以降、基本給、賞与、退職金、各種手当等については、いずれか一つ以上で正規雇用労働者と異なる制度を就業規則等に定めていれば、支給対象となり得ます。
 ただし、就業規則等で「個別の雇用契約書で定める」としていた場合は、就業規則等での賃金の額または計算方法の確認ができないため、支給対象外となります。

   

3.転換前の雇用形態を無期雇用労働者とする場合について

 転換前の有期雇用労働者等に適用される就業規則等に契約期間に係る規定がない場合は、転換前の雇用形態は無期雇用労働者として取り扱うことになります。  

  

助成金支給額

※ 以下の支給額は、中小企業の金額です。
  障害者正社員化コースでの加算措置はありません。

    
   

  

転換後・転換前6か月の賃金の比較について

転換前・転換後6か月の賃金

 転換前・転換後6か月における、基本給及び定額で支給されている諸手当を含む賃金の総額のことです。
 ただし、次のものは含まれません。

・実費弁償的なもの(旅費など)
・毎月の状況により変動することが見込まれる手当

・賞与、臨時に支払われた賃金   

比較の方法

 原則は、所定労働時間1時間当たりの賃金で比較します。
 例外的に、転換前6か月、転換後6か月それぞれの賃金総額で比較できるのは、次の2つのケースのみです。

・転換前後において所定労働時間に変更がなく、支給形態がいずれも月給である場合
・変形労働時間制であって所定労働時間と支給形態に変更がない場合
   

 以上の方法で比較して、転換後6か月の賃金が転換前6か月と比較して減額されていない場合は、助成対象です。
  

算定に含めることのできない手当の例

・就業場所までの交通費を補填する目的の「通勤手当」
・家賃等を補填する目的の「住宅手当」
・就業場所が寒冷地であることから暖房費を補填する目的の「燃料手当」
・業務に必要な工具等を購入する目的の「工具手当」
・繁閑等により支給されない場合がある「休日手当」「時間外労働手当(固定残業代含む )」
・本人の営業成績等に応じて支払われる「歩合給」
・本人の勤務状況等に応じて支払われる「精皆勤手当」
・食費を補填する目的の「食事手当」 等

    

固定残業代の取り扱い

 固定残業代の総額又は時間相当数を減らしていて、かつ転換前後の賃金に固定残業代を含めている場合に、賃金が3%以上増額していないのであれば、助成対象外です。

  

手続き・実施の流れ

 手続き・実施の流れは下図のとおりです。
 

 上図の流れでのポイントは、

〇 キャリアアップ計画書は、最初の措置項目(助成金のコース)の実施日前日までに事業所所在地の労働局に提出。
 (過去に認定を受けた計画の計画期間・措置内容で実施できる場合は除く。)

〇 正社員等への転換は、就業規則等の定めに基づいて行うものであるため、1人目の転換を実施する前に就業規則等

  を改定して転換制度について定めておく必要があります。
   ⇒ 実務上はキャリアアップ計画提出日から転換日まである程度の余裕日が必要

〇 転換日後6か月が第1期支給対象期間

   ⇒ 6か月の初日は、転換日と賃金計算期間の初日が同じ日の場合は「転換日」、そうでない場合は「転換日
     以後最初の賃金計算期間の初日」となります。

第1期分の助成金支給申請を行うのは、この6か月の賃金を最後に支払った日(6か月分の賃金支払日(※))の
  翌日から2か月以内です。

(※)就業規則等の規定により、時間外手当を実績に応じ基本給等とは別に翌月等に支給している場合は、
   6か月分最後の時間外手当の支給日を賃金を支給した日の翌日起算で2か月以内
   (時間外勤務の実績がなく、支給もない場合を含む)

〇 第1期支給対象期間の翌日から第2期支給対象期間(6か月)が始まります。
  6か月分の賃金支払日と支給申請の考え方は、第1期と同じです。

転換後、「勤務をした日が11日以上ある月」の6か月分の賃金を支給するまでは助成金の支給申請はできません。
  ただし、勤務していない日であっても給与が満額(通常の出勤日と同額)支払われている場合は、勤務をした日に

  含む取り扱いをします。