34 パワハラ指針について

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 職場におけるパワーハラスメントに対して事業者が講ずべき措置等についての指針(パワハラ指針)の修正案が2019(令和元)年11月20日の第20回労働政策審議会雇用環境・均等分科会(厚生労働省設置)で示されました。その後、案のとおりの内容で2020(令和2)年1月15日に告示されました(厚生労働省告示第5号)。この指針の適用期日は、2020年(令和2)年6月1日で、この時点では大企業のみ適用で中小企業は努力義務に止まります。なお、中小企業への適用は、2022(令和4)年4月からです。

 この指針案では、職場におけるパワーハラスについて、職場における、①優越的な関係を背景とした言動で、②業務上必要かつ相当な範囲を超え、③労働者の就業環境を害するものとしています。ただ、客観的に見て、「業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導」は該当しないとなっていますが、実務上はこの「必要かつ相当な範囲」の解釈が非常に難しいところです。そして、就業環境を害するものか否かの判断は、「平均的な労働者の感じ方」を基準とすることが適当とされていますが、この基準をどこに置くかも実際に防止策を運用するにあたって悩むところになるでしょう。

パワハラの代表的な6つの類型

 この指針案では、パワーハラスメントの代表的な類型として次の6つが示されています。あわせて類型ごとにパワーハラスメントに該当する、該当しないと考えられる例が挙げられています。

■身体的な攻撃

■精神的な攻撃

■人間関係からの切り離し

■過大な要求

■過小な要求

■個の侵害

事業主が講ずべき措置

1.事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発

  • パワーハラスメントの内容及びそれを行ってはならないという方針を明確にして、管理監督者を含む労働者に周知・啓発すること
  • パワーハラスメントに該当する言動を行った者への厳正対処の方針とその対処の内容を就業規則などに規定して、管理監督者を含む労働者に周知・啓発すること

2.相談・苦情への適切な対応のための体制整備

  • 対応窓口をあらかじめ定めて労働者に周知すること
  • 窓口担当者が、相談内容や状況に応じて適切に対応できるようにすること(現実の事案発生時に限らず、そのおそれがある場合、該当するか否かが微妙な場合も広く相談に応じ、適切な対応を行うようにすること)

3.パワーハラスメントに対する事後の迅速かつ適切な対応

  • 事案についての事実関係を迅速かつ正確に確認すること
  • 発生の事実が確認できた場合には、速やかに被害を受けた労働者に対する配慮のための措置を行うこと(配置転換、行為者の謝罪、労働条件上の不利益の回復など)
  • 行為者に対する措置を適正に行うこと
  • 再発防止に向けた措置を講ずること(方針の再周知・再啓発など)

4.1~3の措置とあわせて講じるべきもの

  • 相談対応、発生後の対応において、相談者・行為者などのプライバシーを保護するために必要な措置を講じて、その旨を労働者に対して周知すること
  • 窓口への相談、事実関係確認などへの協力、都道府県労働局に対して相談、紛争解決の援助の求めもしくは調停の申請を行ったことなどを理由として、当該労働者に解雇その他不利益な取り扱いをしないこと

 この指針案を見る限りでは、会社での防止策の運用において、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導を広くとり、他方でパワハラに該当する範囲を狭くとられる可能性がまだ残されているように筆者には感じられます。

➤(参考)パワハラの代表的な6つの類型と主な労災認定例について

 令和2年1月29日実施の厚生労働省「精神障害の労災認定の基準に関する専⾨検討会」(第2回)の資料として示された「具体的出来事「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」(項目29)に係る労災認定事例の分析結果」の中に、パワハラの代表的な6つの類型ごとの主な労災認定例がありました。かなり極端な事例も含んでいますが、参考までに表にしました。