33 36協定の届出様式について

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 36協定の労働基準監督署への届出様式は、2020(令和2)年4月1日の協定分から大幅に変更され、その後、チェックボックスの追加や行政手続きでの押印の見直しへの対応で修正が加えられ、現在の様式となっています。
 現在、様式は9種類ありますが、今回はこのうち、労働時間上限規制を適用済みの企業が使う、様式第9号、第9号の2の2つについて説明します。

 
 
 

 ● 様式第9号、第9号の2の用途について
  ・様式第9号……限度時間(月45時間、年360時間)の範囲で時間外労働をさせる場合
  ・様式第9号の2……限度時間を超えて時間外労働をさせる場合
            いわゆる「特別条項付き36協定」に対応する様式で2枚組です。
            1枚目は第9号と同じもの、2枚目が特別条項に関するものとなります。
 
  

1 協定の対象期間と起算日、有効期間
  (第9号(第9号の2の1枚目を含む(以下同じ))

 ●協定の対象期間
   協定に基づき時間外労働、休日労働を行わせることができる期間で1年間です。
   (時間外・休日労働の上限規制が1月、1年の実績時間数で判断しているため)


 ●起 算 日
   対象期間の基壇日のこと。言い換えると、時間外労働上限規制の年360時間
   (特別条項付では年720時間)のカウントの起算日


 ●協定の有効期間
   協定自体の効力の有効期間のこと。対象期間が1年間であることから、1年が基本ですが、
   それより長い定めをすることも否定されてはいません。

    

2 時間外労働、休日労働をさせる具体的理由 (第9号)

 限度時間(月45時間、年360時間)の範囲で時間外労働を行わせる理由については、それぞれの事業場での時間外労働の上限時間の決定に関して、「当該事業場の業務量、時間外労働の動向その他の事情を考慮して通常予見される時間外労働の範囲内において…」とされていることが参考になります。

 36協定の記載例を見ると、理由として
 ・臨時の受注、納期変更
 ・受注の集中
 ・製品不具合への対応
 ・月末の決算事務

 ・棚卸
 といったものが例示されています。

  

3 臨時に限度時間を超えて労働させることができる場合
  (特別条項適用の理由/第9号の2)

 限度時間を超えて労働させる理由となるのは、合わせても1年の半分超えない限られた期間での一時的・突発的な業務量の増加などです。

 36協定の記載例を見ると、理由として
 ・突発的な仕様変更(→時間的余裕のない対応)
 ・製品トラブルや大規模なクレームへの対応(→大規模な顧客対応)
 ・機械トラブルへの対応(→生産プロセスの大きな支障となるもの)
 といったものが例示されています。 


 限度時間(月45時間)超の時間外労働は、年6月までに制限され、健康福祉確保措置も求められていることから、その月の時間外勤務が一定の時間数(例えば、30時間)に達した時点で、残りの期間の業務実施の見通しなどを確認して、勤務時間管理者と本人の間で共有することが、勤怠管理の円滑な運用につながります。
  

4 延長することができる時間数(第9号/第9号の2)

 様式第9号、第9号の2で、1日、1箇月、1年の各欄に記載する内容を次の表にまとめています。
なお、所定労働時間をベースにした内容で協定を結んでいる場合でも、これらの様式に記載する時間数は、法定労働時間をベースに計算した値です。

(所定労働時間ベースの協定時間を任意記載する欄も設けられています。)

  

 上の表の様式第9号の2の1箇月、1年の各欄で、「限度時間を超えた時間外労働の割増賃金率」とされているのは、関連する指針において、「限度事件を超えて時間外労働をさせる場合の割増賃金率は25%を超える率とするよう努めなければならない」とされていることによるものです。あくまでも、指針で求められているもので、法的義務ではないため、25%としても問題はありません。
 関連する指針の名称は、「労働基準法第三十六条第一項の協定で定める労働時間の延長及び休日の労働について留意すべき事項等に関する指針」です。

 休日労働については、第9号の2で、時間外労働と休日労働を合わせた1箇月の上限時間数の記載を求めているのに加え、第9号で、1箇月で法定休日に勤務させることができる回数、休日労働での始業・終業時間を求めています。

   
 ●労働時間上限規制に反した内容の協定届の取扱い
   各様式の1箇月、1年の各欄に、届出事業所の36協定に基づいて上限時間数を超える時間数を記載
  した場合は、その36協定は全体として無効となります。
   時間数が特定できない記載(例:100時間未満)をした場合は、その36協定は有効なものとは認め
  られません。

  

5 限度時間を超えて時間外労働をさせるときの手続き(第9号の2)

 特別条項を適用して限度時間超の時間外労働をさせるときに、労使の協定締結当事者間で行う手続きについて、具体的に記載します。
(例:労働者代表者に対する事前申し入れや通告、労働者代表者との協議など)

      

6 健康福祉確保措置(第9号の2)

 限度時間超(月45時間超)の時間外労働を行った労働者への「健康福祉確保措置」について、協定で1つ以上定めなけらばならず、次のような実施内容が指針で示されています。
 この措置は、限度時間超の時間外勤務が行われる都度、対象者に実施する必要があります。

 ① 労働時間が一定時間を超えた労働者への医師による面接指導の実施
 ② 深夜業の回数を1箇月について一定回数以内に制限すること

 ③ 終業から次の始業までに一定時間以上の継続した休息時間を確保すること
 ④ 労働者の勤務状況や健康状態に応じて、代償休日又は特別な休暇を付与すること
 ⑤ 労働者の勤務状況や健康状態に応じて、法定外の健康診断を実施すること

 ⑥ 年次有給休暇について、まとまった日数の連続取得を含めた取得促進をすること
 ⑦ 心とからだの健康問題についての相談窓口の設置
 ⑧ 労働者の勤務状況や健康状態に配慮し、必要な場合には適切な部署に配置転換をすること
 ⑨ 必要に応じて、
  ・産業医等による助言・指導を受けること
  ・労働者に産業医等による保健指導を受けさせること
 ⑩ その他


 協定に定める措置内容は、①~⑨のうちから選ぶことが望ましいとされているため、協定届では「⑩その他」の項目を設けて、①~⑨以外の定めにも対応しています。

▼ 健康福祉確保措置の解説を別投稿でしています。

             
          

7 チエックボックス(第9号/第9号の2)

 新様式には、チェックボックスが3つあります。チェックがない場合は、該当する項目についての労使確認がされていないと判断され、有効な協定届とはみなされません。

  時間外労働・休日労働の上限規制について
    この協定届(協定書)での時間数にかかわらず、実績の時間外労働及び休日労働を合算した時間数
   は、①月100時間未満、、②2箇月から6箇月までの平均で80時間以内とすること。
 

  ● 労働者側の協定の当事者について
    労働者側の協定の当事者が次のいずれかであること
    ① 過半数労働組合(その事業所の労働者の過半数で組織されている労働組合)
    ② 過半数代表者
     (①がない場合に、投票、挙手などでその事業所の過半数を代表するものとして選出された者)


  ● 過半数代表者について
    過半数代表者が次のすべてにあてはまる者であること
    ① 労働基準法上の管理監督者以外の者
    ② 過半数代表者を選出することを明らかにして実施された投票、挙手などで選出された者
    ③ 使用者の意向に基づき選出されたものではない者

   

8 協定書への記名押印などについて (第9号/第9号の2)

  ● 協定届としてのみ使用する場合(協定書は別途作成)
    協定当事者の氏名欄は、記名のみで可(パソコン入力のみで可)、押印不要。

  ● 協定書を兼ねる場合
    協定当事者の氏名欄は、①記名・押印、②署名(押印不要)のいずれかになります。
   

    

【この投稿の執筆者】
  
 札幌・新道東コンサルオフィス代表
    特定社会保険労務士 塚田 秀和

代表 塚田秀和