30 中小企業での時間外労働の割増賃金率

  1. ホーム
  2. 賃金・労働時間・休日
  3. 30 中小企業での時間外労働の割増賃金率

 2023(令和5)年4月から、「月60時間超の時間外労働への割増賃金率50%」が中小企業にも適用されます。
 現行と変更後の時間外・休日労働の割増賃金率を整理すると次のとおりとなります。
  

 月60時間超の時間外労働の割増賃金の処理については、

の2つの方法があります。
  

代替休暇制度

 この休暇制度は、
① 残業をした本人の代替休暇取得の意向(希望)に応じて、
② 月60時間超の割増賃金率のうち、25%相当分を対象として、
③ 「残業4時間=休暇1時間」 で換算した有給の休暇(1日または半日単位)を本人に与える
というしくみです。


 制度導入にあたっては、事前に次の事項を定めた労使協定を締結して、その実施について就業規則に明記しておく必要があります。
① 代替休暇の時間数の具体的な算定方法
② 代替休暇の単位(1日、半日もしくはその双方)
③ 代替休暇を与えることができる期間

 上記③の期間は、厚生労働省令で、当該60時間超の月の末日の翌日から2か月以内とされていますので、労使協定ではその範囲内で与えることができる期間を定めます。なお、代替休暇取得の有無は、本人(労働者)の判断によるものなので、、代替休暇が与えられる日は、本人(労働者)の意向を踏まえて決定します。


 割増分の代替休暇への換算の考え方については、下の図を参考としてください。


  

   

代替休暇の実務上の処理例

前提条件は、
〇 時間外労働 月76時間の場合 → 60時間超の時間外16時間の処理
〇 60時間超の割増賃金率は50%
〇 所定労働時間数は、1日 7時間30分、週 37時間30分

〇 代替休暇の半日単位での取得、時間単位での年休取得が可能な事業所
  

例1 / 本人に代替休暇取得の意向がない場合

 16時間分の割増賃金すべてを割増賃金率50%で支払います。
 代替休暇取得の意向の本人確認は、該当する月の末日からできる限り短い期間において行うこととされています。
 割増賃金については、休暇取得の意向がない場合はもちろん、意向が確認できない場合でも、該当する賃金計算期間に係る賃金支払日に支払います。
   

  

例2 / 本人からすべて代替休暇で取得する意向があった場合

 16時間分の割増賃金すべてを割増賃金率25%で支払います。
 いったん取得日が決まった代替休暇を取得できなくなった場合は、未払いとなる割増率25%相当分を、そのことが確定した賃金計算期間に係る賃金支払日に支払う必要があります。

 上記の【例1】に関連して意向が確認できなかった場合や、そもそも取得の意向がなかった場合で、既に割増賃金率50%で割増賃金を支払った後に、本人から改めて取得の申し出があったときには、その代替休暇を取得できないと労使協定で定めても、労働基準関係法令上の問題はありません。
(逆に、そのような場合でも、支払済みの割増賃金の清算を前提に代替休暇の取得を認める旨を労使協定で定めることも問題ありません。)  

  

例3 / 本人から一部のみ代替休暇を取得する意向があった場合

 例えば、8時間ずつ割増賃金(50%)と代替休暇に振り分ける意向であった場合は、
8時間分の割増賃金引上げ分(25%)は、代替休暇2時間換算となりますので、時間単位の年次有給休暇と合わせて、半日もしくは1日単位での休暇取得となります。

 ちなみに、この事業場で時間単位の年次有給休暇等が未導入だった場合に、代替休暇取得に必要な60時間超の時間外労働時間数は、
〇 労使協定で半日単位の取得を認めている場合は、16時間(月時間外 76時間)
〇 労使協定で1日単位での取得のみ認めている場合は、32時間(月時間外 92時間)