24 令和3年改正育児・介護休業法に関するQ&Aについて

  1. ホーム
  2. しんどうコンサルコラム
  3. 24 令和3年改正育児・介護休業法に関するQ&Aについて

 来年(令和4年)4月から順次施行される改正・育児休業法に関するQ&Aが公表されていますが、ここでは、その全52問のうちおよそ半分の28問に絞ってご紹介します。
 この投稿は、現時点でのQ&Aの最新版(令和3年11月30日時点版)によっています。

※以下、本文中の( )書きは、Q&Aの番号です。
  

1.全 体

派遣労働者・出向者への法令の適用ついて

 派遣労働者について、派遣元はこの法で事業主の義務とされたものすべてを行う必要があります。
なお、次のいずれかを理由とした、解雇その他不利益取扱いの禁止については、派遣元・派遣先双方に課せられた義務です。(1-2)

〇妊娠又は出産したこと等の申し出
〇職場における育児休業等に関するハラスメントに関する相談等

 出向者については、育児休業に関する雇用管理を行っている事業主が行うべきもの。(1-3)
 

2.妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置

個別周知・意向確認を行わなければならない対象労働者について

 令和4年4月1日以降に妊娠・出産等の申出があった労働者に対しては、子の年齢が育児休業の対象年齢を既に超えているなど、今後育児休業を取得する可能性がない場合を除いて、事業主は、個別周知・意向確認の措置を行う必要があります。
 例えば、労働者が育児休業に関する制度等の周知や意向確認の措置が不要であると意思表示をしたとしても、事業主からの周知を行うことが求められています。(2-3、2-6)


 なお、労使協定で除外している入社1年未満の労働者、雇用契約の更新予定がない有期雇用労働者の場合は、意向確認措置を実施する必要はありませんが、当該労働者にとって後に育児休業申出が可能になる可能性があるので、個別周知の措置は行うこととなります。(2-4)
(筆者補足:これは、妊娠・出産の申出の対象となった子の1歳到達日(1歳誕生日の前日)までに、入社1年以上となる、新たに更新予定がある有期雇用契約を結ぶ可能性があるからです。)

 

妊娠・出産等の申出について

 妊娠・出産等の申出を口頭で行うことは、事業主において特段の定めがなければ可能ですが、措置を円滑の実施するため、口頭での申出先などをあらかじめ決めて周知しておくのが望ましい。(2-7)
(筆者補足:ここでいう「特段の定め」とは、就業規則などで申出の方法について、口頭を含まない形で定めることです。)

  

個別周知・意向確認の実施について

 面談による場合は、直接対面に限らずオンラインによる実施(音声のみの通話は除く)も可能です。(2-10)

 また、面談の場合は、文書交付などとは異なりそのままでは記録が残らないため、必要に応じて実施内容の記録を作成することが望ましい。(2-11)
(筆者補足:このような場合は、面談日時、面談場所、対応者、面談内容、決定した事項、次回面談への持越し事項などを文書化して保管しておくことをお薦めします。)

 個別周知・意向確認の措置を、取得を控えさせるような形で実施することは認められていない。具体的には、取得の申出をしないよう威圧する、申し出た場合の不利益をほのめかす、取得の前例がないことをことさらに強調するなどが考えられます。(Q2-12)

 

意向確認と育児休業申出について

 育児休業の意向確認の際に、「育児休業の取得の意向はない」と回答した労働者でも、法に基づき育児休業の申出を行うことができ、事業主は適法な育児休業申出を拒むことはできない。(2-13)
(筆者補足:これが、(2-3)の取り扱いが求められる理由です。)
 

3.育児休業を取得しやすい雇用環境整備の措置

雇用環境整備の措置の実施について

 次のことから、すべての事業主が雇用環境の整備を行う必要があります。(3-5)

〇 育児休業の申出対象となる子には、養子縁組等も含まれており、幅広い年齢の労働者が育児休業申出を行う
  可能性があること
〇 法律上、義務の対象となる事業主を限定していないこと

 雇用環境の整備等の措置のうち、「育児休業に関する相談体制の整備」については、次の要件を満たしていれば既設の窓口であっても問題はない。(3-4)

〇 相談体制の窓口設置、相談対応者の配置と、その周知を行うこと。これについては、形式的な設置に止まらず、
  実質的な対応が可能なものであること、労働者への周知などにより、利用しやすい体制を整備しておくことが
  必要。

 

4.有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和

改正法施行前後の労使協定の取扱いについて

 改正法の施行後において、継続して雇用されていた期間が1年未満の労働者(有期雇用労働者を含む)を育児休業の申出の対象外とする場合には、そのことについて、改めて労使協定を締結する必要があります。(4-3)
  

5.出生時育児休業について

改正の概要

 子の出生後8週以内の期間は、労働者の選択により、新制度と通常の育休(現行の育児休業)のいずれも取得可能です。(5-2)
  

対象者について

 出生時育児休業の対象は主に男性になりますが、女性も養子の場合などは対象となります。(5-3)
  

出生時育児休業制度に関する改正法の施行前後の取扱いについて

 令和4年10 月1日前に開始したパパ休暇については、次の規定の適用にあたっては出生時育児休業とみなされます。

〇育児休業(現行の育児休業)の取得可能回数
〇出生時育児休業の取得可能回数・日数等

  

【このルールに基づく取得パターン例】

(例1)
 施行日前にパパ休暇を取得し、施行日後に育児休業を2回取得することは可能
 ( このときのパパ休暇は、28日(4週間)を超える日数でも可) )

(例2)
 施行日前にパパ休暇と通常の育児休業を取得し、施行日後に出生時育児休業を1回、

 育児休業を1回取得することは可能
 (出生後8週間経過する日が施行日後の場合に限る)

(例3)
 施行日前にパパ休暇を14日間取得し、施行日後に出生時育児休業を1回

 (残り14日)取得し、その後に育児休業を2回取得することは可能
 (出生後8週間経過する日が施行日後の場合に限る)

(例4)
 施行日前にパパ休暇を10日間取得し、施行日後に出生時育児休業を2回取得する
 ことは不可能
 (施行日前のパパ休暇が1回目の出生時育児休業とみなされるので、施行日後の
  出生時育児休暇のうち後の方が、3回目とみなされ取得できない)

(例5)
 施行日前にパパ休暇を開始し、施行日をまたいで取得した後、育児休業を2回取得
 することは可能
 (このときのパパ休暇は、28日(4週間)を超える日数でも可)

(例6)
 施行日後にパパ休暇を開始することはできない

  

出生時育児休業申出・期間について

 「産後○週間以内の期間についての休業の申出は出生時育児休業の申出とする」といった自動的・一律の取扱いはできません。また、事前に労使協定等でそのような取扱いを取り決めることもできません。(5-7)
(筆者補足:(5-2)を参照)

 出生時育児休業を2回に分割して取得しようとする場合に、初回の出生時育児休業の申出の際にまとめて申し出なかったときは、事業主は2回目以降の出生時育児休業に係る申出を拒むことができます。(5-10)

  

6.出生時育児休業期間における休業中の就業

改正の概要・派遣労働者への適用について

 休業中の就業は、労使協定を締結している場合に限り、労働者と事業主の合意した範囲内で、事前に調整した上で行うことが可能です。(6-1)

 具体的な手続きの流れは以下①~④のとおりです。

① 労働者が就業してもよい場合は、事業主にその条件を申し出
② 事業主は、労働者が申し出た条件の範囲内で候補日・時間を提示

  (候補日等がないなどの理由により事業主として就業させることを希望しない場合はその旨を提示)
③ 労働者が同意
④ 事業主が通知

就業可能日等の上限については、

〇 休業期間中の所定労働日・所定労働時間の半分
〇 休業開始・終了予定日を就業日とする場合は当該日の所定労働時間数
とされています。

 出生時育児休業給付金の対象となるのは、出生時育児休業期間中の就業日数が一定の水準以内である場合です。

ここでの一定水準とは、出生時育児休業を28 日間(最大取得日数)取得する場合は、10 日(10 日を超える場合は80 時間)。これより短い場合は、それに比例した日数または時間数です。
 (例:14 日間の出生時育児休業の場合は、5日(5日を超える場合は40 時間))

  

出生時育児休業中の就業申出について

 出生時育児休業期間中の就業可能な時間帯等として申出ることがきるのは、所定労働時間内の時間帯に当てはまるものに限ります。ですから、所定労働時間外の時間帯について、労働者は就業の申出を行うことはできません。
(例えば、勤務時間外の夜間の2時間でテレワークであれば勤務可能といった申出はできない)
(6-3)

 出生時育児休業の開始予定日の前日までに労働者から変更の申出があった場合には、事業主は、再度申出がされた変更後の就業可能日等について、定められた手続き((6-1)の手続きの流れのうち②以降)を行う必要があります。(6-4)

 労働者からの申出可能な内容は「就業可能日」「就業可能日における就業可能な時間帯その他の労働条件」です。
その業務内容が「労働条件」の範囲内であれば(例えば、テレワークで実施できる集計業務に限って就業可能と申し出る等)、労働者から業務内容について申し出ることができ、事業主は労働者の申出の範囲内で就業させることができることとなります。(6-5)

 出生時育児休業期間中の就業日は「労働日」であるため、撤回事由に該当しない事由で休むために年次有給休暇を取得することは可能です。
 また、出生時育児休業期間開始後に予定していた業務がなくなったときに、それを理由として事業主から当該就業日について撤回をすることはできません。(6-7)

 

7.育児休業の分割取得等

 現行のいわゆる「パパ休暇」は、今回の改正に伴い廃止され、出生時育児休業と、育児休業の分割取得化に見直されることとなります。(7-2)

 育児休業や出生時育児休業を分割取得する場合は各申出について、育児休業の開始予定日の繰り上げ(出産予定日前に子が出生した場合等について)を1回、終了予定日の繰り下げ(事由を問わない)を1回ずつすることができます。(7-4)

  

8.職場における育児休業等に関するハラスメント

 職場における育児休業等に関するハラスメントに該当するケースとしては、

〇 労働者が休業中の就業可能日等の申出を行わない場合や事業主の提示した日時に同意しない場合に、上司等が
  解雇その他不利益な取扱いを示唆したり、嫌がらせ等をしたりすること
〇 妊娠・出産の申し出をした労働者に対する個別周知・意向確認のための措置の実施に際して、上司等が育児休
  業制度等の利用を控えさせるような対応をすること
があり、また、事業主が提示した日時で就業することを労働者に対して強要した場合には法違反にもなります。
(8-1、8-2)

 育児休業制度等の利用を強制するために、上司等が当該労働者に対して人格を否定するような言動をするなどの精神的な攻撃等をした場合には、パワーハラスメントに該当すると考えられます。(8-3)