22 育児休業(育休延長、パパ・ママ育休プラス)と育児休業給付金

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 今回は、育児休業のきほんの形(原則)に始まり、使い勝手をより良くする特例であるパパ休暇、1歳6カ月又は2歳までの延長、パパ・ママ育休プラスを説明して、その後に、育児休業給付金、社会保険料の免除その他の特例措置に触れます。
  

育児休業のきほん(原則)

 1歳に満たない子(1歳の誕生日の前日まで)の養育のための休業で、事業主に対する申出をすることで取得できます。原則として申出の回数は、1人の子につき1回であり、複数回の申出で分割して取得することはできません。
 休業期間は、子が出生した日から子が1歳に達する日(誕生日の前日)までの間で労働者が申し出た期間で、最長1年間となります。なお、出生後8週間は、母親にとっては産後休業の期間となりますが母親の場合はこの期間も含めて最長1年です。
 そして、希望どおりの日から休業するためには、原則として育児休業を開始しようとする日の1か月前までに申し出ることが必要です。
 対象となる子は、実子に限らず養子や養子縁組里親に委託されている子なども含まれます。 
 育児休業を事業主に申し出ることができるのは、日々雇用される労働者、「労使協定で定めた一定の労働者」(※1)以外の労働者です。ただし、有期雇用契約の労働者が申出をするには、次の2つの要件も満たす必要があります。
 ・同一事業主の雇用期間が引き続き1年以上
 ・子が1歳6か月に達する日までに、労働契約の期間が満了することが明らかでないこと(※2)

  (※1) 育児休業申出の時点で、①労働契約の期間満了、②労働契約の更新がないことのいずれかが確実である場合以外は
     「満了することが明らかでない」とされます。
  (※2) 育児休業申出日から1年以内の雇用関係終了が明らかな労働者、又は1週間の所定労働日数が2日以下の労働者 

  

パパ休暇の特例

 「申出の回数が1人の子につき1回」の原則の特例として、父親については、出産後8週間以内に育児休業をした場合(開始日、終了日ともにこの期間内に収めること)には、特別な事情がなくても再度の休業取得が可能です。
 2回目の休業について、パパ・ママ育休プラスの特例の適用、1歳6カ月までの延長の要件は通常の休業と同様です。
  

  • パパの1回目の育児休業期間の考え方

 パパの1回目の育児休業が可能な期間は、出産(出生日)が出産予定日より前か後かで異なります。
事例図とあわせて確認してください。

 ・出産予定日より前に出産した場合
   ……出産予定日からカウントして8週間後の日の翌日までの期間に、出生日から出産予定日の前
     日までの期間を加えたものが1回目の休業が可能な期間

 ・出産予定日より後に出算した場合
   ……出生日からカウントして8週間後の日の翌日までの期間に、出産予定日から出生日の前日ま
     での期間をを加えたものが1回目の休業が可能な期間

  
  
  

1歳6カ月又は2歳までの延長

 1歳から先のパパママ育休プラス以外での延長については、その条件にあてはまれば、1歳から1歳6か月までと、1歳6か月から2歳までの6か月ずつ2回の延長が可能です。なお、1歳の時点で2歳までの延長を申し出ることはできません。 
 1歳6か月までの育児休業の延長を事業主に申し出るには、育児休業の対象となる子の1歳到達日(1歳誕生日の前日)に労働者本人又は配偶者が育児休業中であり、かつ、次の①、②のいずれかに該当することが求められます。
 なお、1歳6か月からの2歳への延長では、1歳到達日を1歳6カ月到達日(1歳6か月の前日)と読み替えるだけです。

 ①保育所等における保育の利用を希望し、申込みを行っているが、1歳(2歳までの延長の場合は、
  1歳6か月)に達する日後の期間について、当面その実施が行われない場合

 ②1歳以降(2歳までの延長の場合は、1歳6か月)に子を養育する予定の配偶者(もう一人の親)
  が、死亡、負傷、疾病などにより子を養育することが困難となった場合

 1歳6か月までの延長についての申出では、その開始予定日を1歳到達日の翌日(1歳誕生日)と設定しなければなりません。申出を行うのは、1歳到達日の2週間前までです(2歳までの延長ではいづれも2歳到達日と読み替え)。
 
  

  • ここでいう「保育所等」の範囲

 ・保育園
 ・就学前の子どもに関する教育
 ・認定こども園(保育等の総合的な提供の推進に関する法律)
 ・家庭的保育事業(児童福祉法)
などですが、認可外保育施設は含みません。
  

  • 保育所等における保育の利用を希望し、申込みを行っているが、当面その実施が行われない場合について

 市町村に対して保育の申込みを行っているが、1歳6カ月までの延長では少なくとも子の1歳到達日(※)の翌日において保育が行われないという通知を市町村から受けている場合をいいます。

  (※)2歳までの延長では、子の1歳6か月到達日と読み替え
  
  

パパ・ママ育休プラスの特例

 両親ともに育児休業中であることに加えて、次の3つの要件すべてに当てはまる場合には、休業の対象となる子の1歳2カ月到達日(生後1年2か月となる日の前日)までの休業が可能となります。

 ・育児休業を取得しようとする労働者(本人)の配偶者が、子の1歳に達する日(1歳の誕生日の前日)
  以前において育児休業をしていること
 ・本人の育児休業開始予定日が、子の1歳の誕生日以前であること
 ・本人の育児休業開始予定日が、配偶者がしている育児休業の初日以降であること

 この特例は、育児休業の上限日数は原則の1年間(母は産後休業を含む)のままで、休業することが可能な時期を、対象となる子の1歳2カ月到達日(生後1歳2か月となる日の前日)まで延長するものです。
 この特例による育児休業が終了する時点で、前述の1歳6カ月までの期間延長の要件に当てはまる場合には、1歳6カ月までの延長を事業主に申し出ることができます。(1歳6カ月までの延長にあわせて育児休業の上限日数が変わります)

 厚生労働省パンフレット「育児・介護休業法のあらまし」ではパパ・ママ育休プラスの特例が利用できる例として下図の4つのパターンが示されています。なお、例1から例3の3つについては、父がパパ休暇(父 育休①)を利用していない場合でも、特例の3つの要件に当てはまるのでパパママ育休プラスの特例(父育休②)を利用可能です。

 
   

  • 上の4つの例示について

 【例1】  父の育休②の開始日が1歳誕生日より後(翌年4月2日以降)となった場合は、特例を
      利用できません。
 【例2】  母と父の育休期間が重なっていても特例を利用できます。
 【例3】  母と父の育休期間が連続していなくても特例を利用できます。
 【例4】  父がパパ休暇(父 育休①)を利用していない場合は、母の育休開始日が配偶者である
      父の育休開始日より前になるので、特例を利用できません。
  

  • パパママ育休プラスから1歳6か月までの育児休業延長

 この特例による育児休業が終了する時点で、前述の1歳6カ月までの期間延長の要件に当てはまる場合には、1歳6カ月までの延長を事業主に申し出ることができます。そして、1歳6か月までの延長にあわせて育児休業の上限日数が変わります。
 ただし、1歳6か月までの育児休業開始予定日は、1歳に達する日以後の本人又は配偶者の育児休業終了予定日の翌日としなければなりません。例えば、本人のパパママ育休プラスでの育児休業の終了日の翌日に、本人もしくは配偶者の最長1歳6か月到達日(生後1歳6か月の前日)までの育児休業を開始することになります。ここで本人のパパママ育休プラスでの育児休業をそのまま延長することはできません。
  

育児休業給付金

  • 支給対象となる方

 育児休業開始前2年間に、賃金支払基礎日数(※)が11日以上の月(完全月)が12カ月以上ある方。
なお、この開始前2年間で、雇用保険の基本手当受給、高年齢受給資格の決定を受けている場合は、その月数を差し引いた残り月数で受給資格の有無を見ます。

 (※) 賃金支払基礎日数は、原則として日給者は各月の出勤日数。月給者は、①各月の暦日数、②その月の所定勤務日数から
    欠勤日を差し引いた日数のいずれかでカウントします。
   

  • 支給対象期間

 原則は対象となる子が1歳までですが、パパ・ママ育休プラスのときは1歳2カ月、保育所入所などの理由での延長(1歳6カ月、2歳までの延長)のときは最長2歳までとなります。
   

  • 休業期間中に就労した場合

 休業期間中に、職場復帰とはされない臨時・一時的な就労をするときは、以下の2つの要件に両方とも当てはまれば支給対象となります。この要件は、育児休業前から在職中の事業所以外で就労した分も含めて判断することに注意が必要です。

 ・育児休業期間中の1か月ごとに、休業開始前の1か月当たりの賃金の8割以上の賃金が支払われて
  いないこと
 ・就業している日数が各支給単位期間(※)ごとに10日以下であること。
  ただし、10日超の場合でも、就業していると認められる時間が80時間以下であれば要件を満たす

 (※)休業開始日からその翌月の開始日前日までの1か月を最初の期間として、以降1か月区切りで設定したもの。
    ていきます。休業終了日が含まれる支給単位期間は、就業日数が10日以下(10日超・80時間以下)、かつ休業日が
    1日以上あることが必要です。
   

  • 支給額の算出方法

 原則として次の計算式により算出しますが、休業後6カ月を区切りに賃金月額に対する支給割合が変わります。

 
  
  
 支給単位期間(1カ月)に10日以下、もしくは10日超・80時間以下の臨時・一時的な就労を行い、事業主から賃金が支払われた場合の支給額は下表のとおりとなります。
  
 
  

社会保険料の免除その他の特例措置

  • 休業中の社会保険料の免除

 産前産後休業中(就労期間は除く)、育児休業等の期間(※)について、健康保険料、厚生年期保険料が免除されます。その手続きは、被保険者からの申出により事業主が行います。
 ここで免除が認められた期間は、将来、被保険者の年金額を計算する際は、保険料を納めた期間として扱われ年金額に反映されます。

 (※) 育児休業等の開始月から終了月の前月まで。休業等の終了日が末日の場合はその月までの期間。
  

  • 産前産後期間の国民年金保険料の免除

 国民年金のみ加入(第1号保険者)の方について、産前産後期間(出産予定月の前月から4か月間)の国民年金保険料が免除されます。また、多胎妊娠の場合は、出産予定月の3か月前の月からの6か月に期間が延長されます。その届出は、出産予定日の6か月前から市区役所などの国民年金担当窓口で行うことができます。
 ここで免除が認められた期間は、将来、被保険者の年金額を計算する際は、保険料を納めた期間として扱われ年金額に反映されます。 また、期間中に付加保険料を引き続き納付することも可能です。
  

  • 休業後の社会保険料の特例

 産前産後休業、育児休業等の終了後に、育児などを理由に休業前に比べて報酬額が低下することがあります。そのようなときに、事業主経由で健康保険、厚生年金保険の保険者(年金事務所など)に申出を行うことで、保険料の算定ベース(標準報酬月額)を改訂して、社会保険料の負担額を低下後の報酬額に応じた額にすることができます。
 改訂後の標準報酬月額は、休業終了月から3か月の報酬額の平均で決められ、休業終了月から4カ月目で新たな保険料負担額に変更されます。
  

  • 3歳未満の子を養育する期間についての厚生年金額計算の特例         

 3歳未満の子を養育する方について、その報酬額が養育開始の前月よりも低下している場合があります。そのような方について、養育開始前月に適用されていた標準報酬月額で、低下した期間に対応する厚生年金額を計算する特例です。その対象期間は、養育する子が3歳に達するまでの期間です。
 手続は、被保険者が事業主経由で年金事務所に申出書を提出します。
  

  •  育児休業等取得者の財形非課税貯蓄の特例措置

 3歳未満の子を養育するために2年を超える育児休業等を取得している方が、その休業期間中に財形年金貯蓄、財形住宅貯蓄への預入を中断する場合の特例です。
 そのような長期休業の場合には、勤務先経由で契約金融機関に申出書を提出することで、「積立中断2年経過後の課税扱い」への移行を回避して非課税措置を継続することができます。