政府の就職氷河期支援は、2019(令和元)年5月に「就職氷河期世代支援プログラム」が取りまとめられ、3年間で就職氷河期世代の正規雇用者30万人増加の目標も掲げられ集中的な支援が進められています。
就職氷河期世代支援プログラム
このプログラムでは、現在30代半ばから40代半ばである就職氷河期世代に対する3年間の集中的な取り組みにより、同世代の正規雇用者を30万人増やす目標を打ち出しています。
支援対象となる方は、いくつかのパターンを想定し100万人程度と見込んでいます。
〇 正規雇用の希望はあるが不本意に非正規雇用で働く者(少なくとも50万人)
〇 就業希望はあるが様々な事情により求職活動をしていない長期無業者
〇 社会とのつながりを作り、社会参加に向けてより丁寧な支援を必要とする者など
施策の方向性として、次の2つの支援展開の仕方とその施策が示されました。
相談、教育訓練から就職まで切れ目のない支援
支援対象者側から関係機関などへのアクセスを前提とした支援であり、ハローワークに専門窓口を設置し、各専門担当者のチーム制での伴走型就職支援が行われます。
また、社会人の再学習、学び直し(リカレント教育)として、就業、子育てをしながら資格取得を目指すプログラム、短期間での資格取得と職場実習を組み合わせた出口一体型プログラムなどを整備します。採用側の受入機会を増やすために、採用選考を兼ねた社会人インターンシップ、助成金の見直し等による企業のインセンティブ強化などを実施されます。
これらの施策は、専門ノウハウを有する民間事業者への成果連動型の業務委託を行うことで加速化されます。
個々人の状況に合わせた、より丁寧な寄り添い支援
関係機関側から支援対象者への働きかけに重きを置いた支援であり、地域若者サポートステーションや生活困窮者相談支援機関のアウトリーチ機能を強化するなどして、人・家族の状況に合わせた息の長い継続的な伴走支援を行います。また、ひきこもり経験者の参画やNPOの活用も進められます。
就職氷河期世代支援に関する行動計画2021
就職氷河期世代支援の集中支援3年目の行動計画である「就職氷河期世代支援に関する行動計画2021」が昨年12月24日に公表されています。
その中では、4つの項目ごとに施策が列挙されています。
プラットフォームを核とした新たな連携の推進
取り組みとしては、全国・都道府県・市町村の各プラットフォームの開催が挙げられています。特に福祉と就労をつなぐ「市町村プラットフォーム」については、小規模な自治体は広域で設置するといった方法も使いながら、原則、令和3年度内の設置・運営を目指すとしています。
また、地域の自治体と経済団体、就労・福祉の関係機関などが連携した就職氷河期世代支援を後押しするための「地域就職氷河期世代支援加速化交付金」の活用が継続されます。
相談、教育訓練から就職、定着まで切れ目のない支援
主要なハローワークでの就職コーディネーター増員により、事業所が多く立地する地域での求人開拓、伴走型の就職相談・定着支援などが強化されます。
受けやすく、即効性のある「出口一体型」リカレント教育として、就職氷河期世代の方向けに創設した「短期資格等習得コース」での、訓練と職場体験等を組み合わせ、正社員就職を支援する訓練の実施が挙げられています。
また、一次産業や、観光業、自動車整備業、建設業などへの新規就業者の確保・育成といった施策もあります。
そして、採用企業側の受入機会の増加につながる環境整備として、正社員経験やキャリア形成の機会がなかった者を正社員として雇用した事業主への助成金(特定求職者雇用開発助成金(就職氷河期 世代安定雇用実現コース)や、トライアル雇用や職業訓練関連の助成金活用が挙げられています。
個々人の状況に合わせた、より丁寧な寄り添い支援
取り組みとしては、アウトリーチ支援員の配置等による自立相談支援機関の機能強化、地域若者サポートステーションの支援の充実などがあります。
その他の取組
取り組みとしては、就職氷河期世代への国の支援策に関する積極的な広報の実施、テレワーク関連の施策、国家公務員・地方公務員の中途採用の促進などとなっています。