18 70歳までの就業機会確保について(現行の65歳までの雇用継続、新たな選択肢)

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 6月下旬に発表された「経済財政運営と改革の基本方針2019」(骨太の方針)と「成長戦略実行計画案」で、65歳以上の雇用について、その年代の方々の希望などに応える多様な選択肢を整えて70歳までの就業機会の確保を図ることとされました。

 ます、現在の65歳までの雇用確保措置について、3つのメニュー(高年者雇用安定法第9条)を見てみます。

 1つめは、「65歳までの定年の引上げ」です。これは、企業規模が小さくなるほど実施する企業が多くなる傾向があります。企業規模別の65歳以上定年の実施率は、1,000人以上が7%、300~999人が9%、100~299人が13%、30~99人では21%で5社に1社が実施済みです。また、導入率が高い産業は、宿泊業、飲食サービス業、医療、福祉、運輸業、郵便業及び建設業です。(平成29年就労条件総合調査/厚生労働省による。以下「総合調査」という。)

 2つ目は、「65歳までの継続雇用制度の導入」(子会社・関連会社での継続雇用を含む)で、その方法は勤務延長制度、再雇用制度、両制度の併用の3つです。導入率は、前述の4つの企業規模すべてで90%を超えています。方法別にみると、再雇用制度のみが最も多く1,000人以上で90%、30~99人で68%となっています。勤務延長のみは少なく、10%を超えているのは30~99人のみです。(総合調査による)

 3つ目は、「定年の廃止」ですが、一律定年制を定めていない企業は、すべての規模で10%未満であり、最も少ない30~99人では2%に止まります。(総合調査による)

 今回、70歳までの就業機会の確保で想定される選択肢とされたのは、以下の7つです。企業は労使で話し合ったうえで、どの選択肢を自社の実施内容とするかを決めることになります。

  1. 定年廃止
  2. 70歳までの定年延長
  3. 継続雇用制度導入(子会社・関連会社を含む)
  4. 他の企業(子会社・関連会社以外の企業)への再就職の実現
  5. 個人とのフリーランス契約への資金提供
  6. 個人の起業支援
  7. 個人の社会貢献活動参加への資金提供

 1~3の3つは、現行の65歳までの制度と同じで社員は企業内もしくは子会社などに留まる形をとります。残りの4つは、いずれもその企業や子会社などから外に出ていく社員に対する支援であり金銭的なものが主となっています。そのため、70歳までの制度は雇用継続ではなく就業機会の確保と呼ばれています。

 4~7の選択肢は、おそらく社会人としての終のすみかを求めたい、構えたいという志向、自らの心身のコンディションに合わせてできることをしたいという志向を考慮したものと考えられます。そして、これらの選択肢で企業が行えること、責任の程度などについては、これから検討が進められていきます。

 今後の法制化の見通しですが、まずは、2020(令和2)年の通常国会に前述のような選択肢を示して企業の努力規定とする内容の法案を提出。その後、努力規定としての実施状況を見たうえで現在の65歳までの雇用継続と同様の義務化に進んでいくとされています。

 この70歳までの就業機会の確保に伴って年金の支給開始年齢を引上げることはないとされています。なお、年金支給開始年齢の繰下げの範囲拡大、在職老齢年金の見直しを行うとされており、すでに実現に向けた動きが出てきています。