15 ジョブ型正社員と昭和型の正社員

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 今年の5月、政府の規制改革推進会議の議論の中で「ジョブ型正社員」という言葉が使われていました。

 その意味するところは、職務、勤務地、労働時間のいずれかの要素(又は複数の要素)が限定される正社員、つまり、職務限定正社員、勤務地限定正社員及び短時間正社員のことです。これらは、働くに際して何らかの制約がある方を積極的に取り込んでいけるもので、企業でうまく受け入れ態勢を整備できれば、人材難緩和の効果が期待できるものです。この言葉自体は数年前からあったのですが、最近では「多様な正社員」の方が多く使われていました。

 ジョブ型正社員の対極にあるのが、「昭和型の正社員」(いわゆる総合職)です。多くは新卒一括採用で職務や勤務地を限定することなく雇用され、会社の包括的な人事権に従い、様々な職種をこなし、転勤で住居を何度も変え時には単身赴任もこなす。勤務時間も時間外と休日出勤を合わせた長時間勤務であり、まさに「無限定」の世界です。

 この正社員(総合職)は、皆様もご存じのとおり新卒一括採用、終身雇用と一体のシステムとして残ってはいますが、その無限定に対応できない方、たとえば介護や子育てなどの事情がある方、新卒時の経済状況が悪くて新卒一括採用に入れなかった方などを積極的に受け入れるだけの幅の広さを持っていません。

 ジョブ型正社員は、有期契約労働者(契約社員やアルバイトなど)の無期転換の際の受け皿になり、正社員(総合職)が無限定な働き方をできなくなった際の受け皿にもなります。

 企業側から見ても、平成からの高齢化や労働人口の問題、企業の外部環境変化のテンポの加速化などもあって、このシステムを今の形で維持することへの負担感と疑問が大きくなってきているようです。今年の4月には、経団連の中西会長から「企業から見ると(従業員を)一生雇い続ける保証書を持っているわけではない」との発言があり、その後、経済同友会の桜田代表理事からは新卒一括採用、日本自動車工業会の豊田会長からは終身雇用に関する発言がなされています。

 昭和型の正社員から長時間労働の要素を除いた職務・勤務地無限定の正社員は、これからもまとまった数が残ると思いますが、この先のオフィスは、無限定な働き方をする正社員、様々なジョブ型正社員、どこでも通用するその道のプロであるプロフェッショナル社員が当然のように混在して働く場になっていくのではないでしょうか。