前回の続きで今回は、1か月を超える期間(特に3か月)のフレックスタイム制導入には時間外労働の関係から注意が必要になるという話をします。

 その前に清算期間が1か月の場合に触れておきます。この場合には、清算期間終了後に実労働時間(実績の労働時間)が総労働時間(所定労働時間)を超えた分の賃金を清算します。

 逆に総労働時間を下回った場合は、不足分の減額清算を行うか、次のフレックスタイム期間に繰り越すかのいずれかになります。なお、繰り越す場合は、法定の週40時間換算の時間数を超えない範囲内(法定労働時間と会社所定の労働時間の差分見合いまで)で行います。

 1か月を超える場合の計算は、少し複雑になります。まず、対象期間の各月ごとに、その月の実労働時間が週換算で50時間(暦日数/7日×50時間)を超えた分の割増賃金をその月の基本給や手当とあわせて支払います。

 そして、清算期間終了後に全期間の清算を改めて行います。このとき、実労働時間が総労働時間を超えた分から、割増賃金を支払済みの分を差し引いた時間数が賃金支払もしくは次期への繰り越しの対象となります。つまり、週換算で10時間以下の時間外労働に対する割増賃金は清算期間終了後にまとめての支払いとなります。

 年度を通して週換算で10時間以上の時間外労働を行っているような会社では、法違反が発生するリスクがあります。例えば、清算期間が3か月で13週にわたって週換算で10時間の時間外労働が積み上がり続けると清算期間終了時には約130時間となります。この130時間は清算期間が終了した月でカウントしますので、月100時間未満の時間外労働規制に違反してしまいます。このとき、100時間未満のボーダーラインは週換算7.5時間程度、同じく80時間以下は6時間程度となります。

 結論は、1か月を超える期間(特に3か月)のフレックスタイム制は、月別の繁閑差がはっきりしていて勤務時間に長短のメリハリをつけて働くことが可能なときに適した仕組みということです。つまり、繁忙月の時間外を閑散月の勤務短縮で打ち消せるか、もしくは「繁忙月数<閑散月数」で閑散月に時間外が積み上がることはない状況でなければ法違反のリスクが大きくなります。

 なお、導入する場合は、繁忙月を最初に持ってきて続く閑散月での調整の余地を大きくしておくような清算期間の設定をしておくとよいでしょう。