10 高年齢雇用継続給付

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高年齢雇用継続給付は、
 
高年齢雇用継続基本給付金 (基本手当を受給せずに雇用を継続する方が対象)
 ・高年齢再就職給付金(基本手当を受給した後再就職した方が対象)
の2つの給付金からなっています。
 

  

受 給 資 格 者

基本給付金】

次の要件イ、ロをいずれも満たす必要があります。

イ 60歳以上65歳未満の雇用保険の一般被保険者
ロ 雇用保険の被保険者期間が通算5年以上

    

再就職給付金】

次の要件イ~ニのすべてを満たす必要があります。

イ 基本手当を受給して、60歳到達時以後に安定した職業に再就職して雇用保険被験者と
 なっていること
ロ 基本手当に係る雇用保険被保険者期間が通算5年以上であること
ハ 再就職により雇用保険被保険者となった日が、①の基本手当の受給期間内にあること
二 再就職をした日の前日における基本手当の支給残日数が100日以上であること
   ⇒ 支給残日数100日未満の場合は支給対象外
    

60歳到達時と65歳に達する日

 60歳到達時は、60歳の誕生日の前日のこと
 65歳に達する日は、65歳の誕生日の前日です。
  

離職をはさむ複数の雇用保険被保険者期間の通算

 次の要件イ、ロのいずれにも該当する場合に、前後の雇用被保険者期間を通算できます。
 3つ以上の被保険者期間がある場合は、直近の期間とその前の期間から順にさかのぼって要件を確認していき、要件を満たさなくなったところで通算が途切れます。

イ 前後の被保険者期間の間の空白期間が
 1年以内であること

  具体的には、後の期間での再雇用された日
  の前日からカウントして1年以内に前の期
  間での離職日の翌日があることです。

ロ 前後の被保険者期間の間で、基本手当、傷病手当、就業手当、再就職手当または特例一時金の支給を
 受けていないこと

   

安定した職業

 1年を超えて引き続き雇用されることが確実であると認められる職業のこと
    

  

支給対象期間

基本給付金】

基本は、「60 歳到達日の属する月から、65 歳に到達する日の属する月までの間」ですが、

イ 60 歳到達時に受給資格を満たしていない場合は、受給資格を満たした日の属する月から
ロ 60 歳到達時に被保険者でなかった者は、新たに被保険者資格を取得した日または受給資
 格を満たした日の属する月から
それぞれ支給対象となります。

 ここで、イは、60歳到達前から引き続き就業しているが雇用保険の被保険者期間が通算5年に達していない場合です。

 ロは、60歳到達日を挟んで離職していた者が再就職した場合ですが、次の点に注意が必要です。
  ・離職期間中に基本手当、再就職手当などを受給していた場合は、支給対象外
    ⇒ ただし、基本手当のほかに再就職手当などを受給していなければ、基本手当の残
      日数により再就職給付金の支給対象となり得る。
  ・前職の離職日から再就職した日まで1年超の空白期間がある場合は、支給対象外
    ⇒ 65歳に達する日までに雇用保険の被保険者期間通算5年以上の要件を満たすこと
      もできない。 
  ・再就職した日に雇用保険の被保険者期間が通算5年に達していない場合は、通算5年
   以上となり受給資格を満たした日の属する月から支給対象となります。
  

再就職給付金】

再就職をした日の前日における基本手当の支給残日数によって変わります。

イ 支給残日数 200日以上の場合は、2年
   ⇒ 被保険者となった日の翌日から2年経過日の属する月まで
ロ 支給残日数 100日以上200日未満の場合は、1年
   ⇒ 被保険者となった日の翌日から1年経過日の属する月まで

 なお、1年もしくは2年経過する前に65歳に達した場合は、65歳に達する日の属する月までが支給対象期間となります。  

  

支給要件・支給額の計算

 基本給付金、再就職給付金ともに、支給対象月(支給対象期間の暦月)ごとに支給要件の確認と支給額の計算をします。
 支給対象月に関する要件として、その初日から末日まで雇用保険被保険者であることが求められます。例えば、支給対象月の途中での離職などにより、雇用保険被保険者でない日が1日でもある場合は、その月は支給対象外となります。
 また、支給対象月の全期間について、育児休業給付又は介護休業給付の支給対象となっている場合も支給対象外です。

 支給額の計算では、①賃金の低下率の算出、②低下率に応じた支給額の算出、③支給額度額による調整等といった処理があります。
  

① 賃金の低下率の算出

 賃金の低下率は、指標となる賃金月額と比較したときの、現在の賃金の減額度合いを示す数値で、右の計算式で算出します。
       

支給対象月に支払われた賃金額

 その支給対象月に実際に支払われた額(以下「実際支払額」という。)を使うのが原則ですが、「みなし賃金額」の例外があります。
 この例外は、次のような理由で賃金が減額された日があり実際支払額が低下していた場合に、その減額された額を実際支払額に加算した「みなし賃金額」で低下率の算定をするというものです。

〇 本人の非行、無断欠勤(冠婚葬祭等の私事による欠勤を含む)
疾病、負傷

事業所の休業
妊娠、出産、育児および介護

〇 争議行為(ストライキ、怠業、事業所閉鎖等)

※ 「みなし賃金額」を用いるのは、あくまでも上記の理由に該当する場合の低下率の算定についてであり、
  その場合でも支給額の算定には、その月に実際に支払われた額を用います。
    

賃 金 月 額

 基本給付金、再就職給付金それぞれ次のとおりとなっています。
 なお、以下の賃金月額には、上限額(478,500円)、下限額(79,710円)が設定されています。
 (上限額、下限額は、令和4年8月1日現在)
  ⇒ 例えば、60歳到達時の賃金が上限額を超える月50万円の場合、賃金月額として登録できるのは上限額
    478,500円となる

 【基本給付金】

「基本給付金に係る賃金月額」

 60歳到達時(60歳誕生日の前日)を離職日(※)とみなして、その日から遡って6か月間に支払われた賃金総額を月額に換算した額
(6か月間に支払われた賃金総額を180日で除して、30日を乗じた額)

 (※) 受給資格の確認に用いる離職日とみなす日 

       

 【再就職給付金】

「再就職前に受給していた雇用保険の基本手当の算定基礎となった賃金日額の30日分」
  

上記の賃金日額関連で60歳到達時以外となるケース

〇 60歳到達時で被保険者でなかった場合
   ⇒ その直前の被保険者資格喪失日の前日(その直前の実際の離職日)

〇 60歳到達時、被保険者資格喪失日の前日(離職日)に受給資格を満たしていない場合
   ⇒ 60歳以降65歳未満の間で受給資格を満たした日

  

低下率に応じた支給額の算

 ①で算出された「低下率」に応じて次の計算式により支給額を算出します。
  

 【低下率 61%以下】

  
   

 【低下率 61%超75%未満】

  

  

支給限度額による調整等

 この給付には、支給限度額(364,595円)、最低限度額(2,125円)が設定されており、②での算出額との関係で、次のような取扱いになります。
 なお、これらの限度額は毎年8月1日に更新されます。(最新:令和4年8月1日現在)
  

②での算出額と実際に支払われた賃金の合計が支給限度額を超える場合

 支給限度額(364,595円)から実際に支払われた賃金額を差し引いた額を支給
  

②での算出額が最低限度額に満たない場合

 支給の対象外(給付額ゼロ)
    

率や支給額を算出する際の端数処理

〇 賃金低下率、支給率 …… 小数点以下第3位を四捨五入し、小数点以下第2位まで算出
〇 支給額 …… 小数点以下を切り捨てて算出

  

他の給付・年金との調整

再就職手当との調整

 再就職手当と高年齢再就職給付金は併給できず、いずれかを選択して受給します。  

  

特別支給の老齢厚生年金との調整

 特別支給の老齢厚生年金とあわせて受給する場合には、老齢厚生年金の支給額を下表のとおり減額調整します。   

  

  

育児・介護休業との関係

 育児休業または介護休業を取得した場合のこの給付の取り扱いは、次のとおりです。

支給対象月の初日から末日までの間に引き続いて育児・介護休業を取得していた場合

 高年齢雇用継続給付は「支給されない」
  

支給対象月の初日から末日までの一部で、育児・介護休業を取得していた場合
 (休業の開始月、終了月など)

 高年齢雇用継続給付は「支給される」    

  

今後の給付の見直し

 令和7年度に60歳以上になる方から、給付率が10%に縮小されます。
 なお、令和6年度までに60歳以上になった方は、現行の給付率が適用されます。

  【現行の給付率・見直し後の給付率の比較】
  
  
 

 これらは、2019(令和元)年12月の「労働政策審議会職業安定分科会 雇用保険部会報告」で、
「令和6年度までは現状を維持した上で、65歳未満の継続雇用制度の経過措置が終了する令和7年度から新たに60歳となる高年齢労働者への同給付の給付率を半分程度に縮小することが適当」としたことを反映しています。

   

【この投稿の執筆者】
  
 札幌・新道東社労士オフィス代表
    特定社会保険労務士 塚田 秀和

代表 塚田秀和