20 就業規則の落とし穴(法律違反の規定、必要記載事項の漏れ、過半数代表者)

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 就業規則の作成と変更、長期間見直していない場合に注意しておく点を3つお話しします。
  

法律違反の規定の存在

 就業規則は、法令やその事業場で適用される協約に反してはならない(労働基準法第92条第1項)とされています。そして、それらに反した部分は無効となります。
 これに関して考えられる事例には、作成してから長期間見直していない就業規則があります。
例えば、そのような就業規則では、ここ数年の育児介護休業法の改正事項、具体的には、育児・介護休業、子の看護休暇、介護休暇、育児・介護のための所定外労働、時間外労働及び深夜業の制限の措置について、規定の漏れや法律を下回る内容の古い規定が残っている可能性があります。働き方改革関連の労働時間規制などをきっかけとして就業規則の見直しを自社のスタッフだけで行う場合には、まず、厚生労働省のモデル就業規則と照らし合わせて、法律違反の規定がないかどうかチェックすることをお勧めします。
 また、減給の規定として労働基準法第91条の制限を超えた定めをしていたケース等もあります。
  

必要記載事項の記載漏れ

 就業規則には法定の必要記載事項が11項目あります。
 このうち、いかなる場合にも記載しなければならない3つの絶対的必要記載事項が、①労働時間、休憩、休日及び休暇等、②賃金関係、③退職関係です。
 そして、その事業所で定めがあるときに記載する8つの相対的記載事項が、①退職手当、②臨時の賃金等及び最低賃金額、③労働者に金銭的負担を求める場合、④安全衛生関係、⑤職業訓練、⑥災害補償及び業務外の疾病扶助、⑦表彰及び制裁、⑧列挙した①~⑦以外で事業所の労働者すべてに適用される定めをする場合です。
 これに関して考えられる事例には、自宅でのテレワーク導入に際して会社と従業員のそれぞれで金銭的負担をする項目を決めたが、その取り決めの就業規則への記載と労働基準監督署への届出をしていなかったケースがあります。
 また、就業規則に「○○○○(特定の事項)については、別規程に定める。」という委任規定を定めたが、その別規程が定められていなかった場合があります。なお、このような委任規定をした場合には該当する別規程も就業規則の一部となり、労働基準監督署への届出の対象となります。
  

過半数代表者

 労働基準法第90条第1項で、使用者は就業規則を作成又は変更するときは、過半数労働組合(事業所の労働者の過半数以上が加入する労働組合)、それが無いときは、過半数代表者の意見を聴かなければならないとされています。この過半数代表者は、その事業所の労働者全員の意思に基づき選出されたもので、以下の2つのいずれにも該当することが求められています。

①労働基準法第41条第2号に規定する監督又は管理の地位にある者ではないこと
②就業規則について、従業員を代表して意見書を提出する者を選出することを明らかにして実施さ
 れる投票、挙手などの方法により選出されたものであること

 これに関して考えられる事例には 、労働条件を切り下げる就業規則の変更(法定労働時間の範囲内での所定労働時間の延長、賃金の切り下げなどのいわゆる「不利益変更」)を行う際に意見を聴く過半数代表者の要件や選出方法に問題があったケースです。そのような場合には、就業規則の作成手続の不備が法律違反となるだけではなく、その就業規則の変更の内容である不利益変更の手続きが適切であったかどうか、ひいては不利益変更自体の有効性の問題に波及する可能性があります。