2 労働時間と休日のちょっと細かい話(所定外と時間外、所定と法定)

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 ここでは、労働時間と休日について考える際にきちんと押さえておきたい「労働時間」の所定外と時間外、「休日」の所定と法定の考え方を説明します。
  

所定外労働と時間外労働

所定外労働

 会社で就業規則等で定める労働時間(所定労働時間)を超えて労働すること
   ⇒ あくまでも法定労働時間(1日8時間、週40時間)の範囲内で定める
    

時間外労働

 労働基準法で定める1日8時間、週40時間の法定労働時間を超えて労働すること    

 ただ、世間一般で残業というと、前者の所定外労働時間を指すことが多いのではないでしょうか。
 両者の違いを、厚生労働省作成のパンフレットでの設例に基づく図でくわしく見ていきます。

  

 この会社の就業規則上の所定労働時間は、9時始業の17時30分終業、休憩時間1時間を挟んだ7時間30分で青色の帯になります。そして、この日は追加で仕事を片づけて業務終了は20時となりました。
   

この日の所定外労働は?

 所定の終業時刻である17時30分から業務終了時刻の20時までの2時間30分で、赤とオレンジの帯で示されます。
      

この日の時間外労働は?

 まず、法定労働時間について確認します。この会社は、9時始業、休憩1時間で法定労働時間8時間は18時までの青と赤の帯で示されます。ですから、時間外労働は、18時から20時まで2時間でオレンジの帯で示されます。
 労働基準法での定めに従って割増賃金が計算され支払われているかどうかは、この時間外労働の時間で判断します。

 上図の赤帯の17時30分から18時までの30分間(所定労働時間を超えているが、法定労働時間には達していない時間帯)は、1日単位で見れば、使用者が割増賃金を支払う法的な義務はなく、所定時間内の労働に対する賃金と同額以上の賃金を支払えば法律違反に問われることはありません。(※)
    

(※) 月単位で見ると、赤帯の時間数の一部が時間外労働の扱いとなることがあります。
    ⇒ 「(週40時間)×(月暦日数/7日)」 ≺ 「(月の実労働時間) - (日、週単位で時間外労働として
       カウント済みの時間数)」となる場合です。
      ただし、所定労働時間を超えた場合に割増賃金を支払う規定の会社(赤帯の時間帯も割増賃金を支払う
      会社)では、この点を考慮する必要はありません。  
  

 赤帯の時間帯を割増賃金の支払対象にするかどうかは、それぞれの会社の裁量、労使の協議に任されていますが、割増賃金を支払う取り扱いにするときは、就業規則にその旨を定めておく必要があります。
   

  

所定休日と法定休日

所定休日

 会社で定める休日のうち法定休日以外の休日で、法定外休日ともいいます。
     

法定休日

 労働基準法で義務付けられている週1日もしくは4週4日の休日です。
 法定休日の曜日を就業規則で特定するところまで法律では求めていませんが、実務上は特定しておくのが望ましいです。

 下図の例では、所定労働時間が法定と同じ1日8時間、週40時間。土曜、日曜が休日の完全週休2日制で、就業規則で法定休日を日曜に特定しています。
 そして、他の条件として
 ・この週は法定休日の日曜は休み、所定休日の土曜に勤務している
 ・この週の所定労働日(月曜から金曜)の実労働時間の合計は残業なしの40時間
とします。



    

所定休日(土曜)の勤務について

 法律上の休日労働ではないので休日の割増率35%の対象外です。ただし、このケースでは、所定労働日(月曜から金曜)の実労働時間の合計が週の法定40時間に達していますので、土曜の労働時間はすべて時間外の割増率25%の対象となります。

 週の所定労働時間が38時間で、その週の残業実績がなかった場合は、土曜の労働時間の最初の2時間(週法定の40時間に達するまでの残り2時間)は法律上は時間外の割増率25%の対象外となり、それ以降の労働時間が法律上の割増対象となります。
  ⇒ ただし、その会社の就業規則等で所定労働時間を超えた場合に割増賃金を支払うことを定めている場合は

    この限りではありません。
  

さらに法定休日(日曜)も勤務した場合は?

 法律上の休日労働であり、日曜の労働時間すべてが休日の割増率35%の対象となります。また、22時を超えて24時までの間、休前日からの引き続きの勤務等で午前零時から5時までの間に勤務した場合は、深夜の割増率25%が加算されて割増賃金率は60%になります。
 そして、ここでの休日労働時間数は、時間外労働での年360時間(特別条項付き36協定は720時間)の上限規制、月60時間超の時間外労働での割増賃金率50%以上の措置(中小企業は令和5年4月から適用)についてはカウントされず、時間外・休日労働での単月100時間未満、2~6か月平均80時間以下の上限規制ではカウントされます。

 就業規則に「休日の振替」について定めた上で、事前に所定休日の曜日を所定労働日のいずれかと振り替えた(例えば、水曜日を法定休日にした)場合には、日曜は所定労働日となり、休日の割増率35%の対象外となります。

  

仮に法定休日を特定していない会社で、日曜、土曜いずれも勤務した場合は?

 法定休日を特定するところまで法律では求めていませんので、日曜、土曜の完全週休2日制で法定休日の特定がされていないケースはあり得ます。
 そのような会社で、2日の休日いずれも勤務した場合は、歴週(日曜~土曜)で後に来る土曜が法定休日とされ、土曜の労働時間すべてが休日の割増率35%の対象となります。  

   

【この投稿の執筆者】
  
 札幌・新道東社労士オフィス代表
    特定社会保険労務士 塚田 秀和

代表 塚田秀和