➤ 令和4年度の最低賃金改定の目安について~全都道府県30円以上の増~
8月2日開催の中央最低賃金審議会(厚生労働省の所管)で、令和4年度の地域別最低賃金額改定の目安について右表の内容で答申を取りまとめました。
今回の目安である30円、31円の引上げは、昨年度の28円を上回り2年連続過去最高の引上げです。
地域別最低賃金については、東京の中央最低賃金審議会が、都道府県をその経済実態(地域別最低賃金額)に応じて、ABCDの4ランクに分けて、ランク別の引上げ額の目安を提示して、各都道府県の地方最低賃金審議会でその目安を参考に地域別の最低賃金を決めて、10月に改定するという流れになっています。
今年度のここまでの流れは、6月の骨太の方針2022で再確認された「全国加重平均1,000円までの引き上げを行う」という政府の方針に沿った形で進んでいます。このまま進むのであれは、今年10月の改定後の最低賃金の全国加重平均は960円程度(現在は930円)、来年には1,000円にかなり近づき、再来年で1,000円を超える可能性が出てきます。
実際に都道府県レベルではどうなっているかを、ランクCの北海道を例にみると、2016年以降はそれまでとは明らかに違う高い水準での引上げが続いていることがわかります。
(2022/8/2)
〇 時間や空間にしばられない働き方
〇 自由な働き方の増加が企業組織も変える
〇 働く人が働くスタイルを選択する
〇 介護や子育てが制約にならない社会
〇 性別、人種、国籍、年齢、LGBT、障がい、すべての「壁」を超える
これらは、今から6年前(2016年)に公表された、厚生労働省「働き方の未来2035」報告書での、2035年の働き方のキーワードです。
この報告書が公表された時は、時間や空間のしばりを解き放ったり、自由な働き方が大きな流れになるのはまだ先の話というのが正直な感想でしたが、いま(2022年)では、国の政策や意識の変化などもあり、種がまかれこれからどんどん伸びていくところまで来ていると感じます。
平成の終わりからの数年を振り返って見ると、働き方に関する新たな法規制や制度の導入が前例がないような質と量で続き、コロナ禍での予期しなかった休業やテレワーク導入などもあり、その対応は企業にとって大きな負担となりました。
ただ、残業縮減、休日取得促進、同一労働同一賃金などに取り組むにあたって必要不可欠な「生産性向上」が追い付いていないケースも多くあったのではないでしょうか。
新たな法規制や制度に対応した「かたち」を作っても、社員のスキルやモチベーションアップ、業務改善や機器・設備の導入による生産性向上の裏付けがないと、成果が目標どおりには上がらず、定着もしにくいといったことになりがちです。
では、働き方の変化に対応して、生産性向上へとつなげていくには、どのような施策やインフラ整備が必要なのでしょうか?
〇 多様な人とスキルを取り込むための雇用区分の再定義
就労場所や就業形態を含めた労働条件の見直し
〇 企業への貢献とのバランスが取れた評価を行うしくみの整備
〇 地域や業界の水準をクリアした持続可能な賃金制度の整備
〇 今後必要なスキルの再定義と教育・訓練体系の整備
〇 業務改善、デジタル化、アウトソーシング
そして、これらの施策やインフラ整備が、社員のスキルとモチベーション、業務改善などを通じた生産性向上につながり、それが持続することで、企業経営の改善を後押ししていきます。
当事務所が提供する評価制度の一つは、職種ごとに具体的な仕事を洗い出すことにより作成したJOBマップをベースに展開します。
その評価の要素は、「業績評価」「能力評価」「意欲評価」の3つであり、会社の方針などに応じて、各要素のウェイトのかけ方を変えます。例えば、管理職について、意欲評価を評価の要素から外すといったことも考えられます。
業績評価は、目標管理方式によります。ただ、管理職以外の者(主任、係長クラス)については、一次評価者である上司が、JOBマップ記載の仕事から評価対象の社員に割り当てる仕事を選択し、目標やポイントの設定をあわせて行う簡易方式の導入も考えられます。
能力評価は、JOBマップ記載の仕事について、その能力水準をポイント化して集計・評価します。
賃金制度の整備は、対象となる社員全員の賃金の分析、賃金原資の推移と今後の見通しの確認から始まります。そして、会社の規模や組織、賃金分析の結果などを考慮して、採用する給与制度を決定します。
賃金テーブルの作成・シミュレーションと並行して、諸手当や定額残業代、賞与、退職金制度の検証と見直し、定年後再雇用での仕事と賃金のバランスの調整などを行います。
この人事評価・賃金制度は、仕事基準のしくみであり、日本版同一労働・同一賃金(均等待遇・均衡待遇)に対応できるものです。
ベースとなるJOBマップ(スキルマップ)を、スキルアップの計画や自己啓発にも活用することで人材育成にもプラスとなります。
就業規則には、労働関連法令に抵触したり、公序良俗に反したりしない限りにおいて、その企業での働き方のルールを幅広く盛り込むことができる余地がありますから、後は、その会社の方針・考え方次第となります。
就業規則に法律上の記載事項をクリアする以上のもの、例えば、テレワークや副業・兼業などへの目配りをていねいにしたり、プロとしての社員の責任や義務、営業秘密や競業避止などのリスクへの対応を盛り込むといったことが考えられます。
その場合には、労働条件を一律に定めるための文書というより、会社のルールブック的な位置づけが強くなっていきます。
新規作成や見直しへの対応方法については、自社直営、専門家への全面的な依頼のいずれかで、作業・費用両面で、「ゼロ」か「100」かの傾向があると感じていますが、第3の方法として自社直営の作業と専門家活用の組み合わせがあるのではと考えています。
具体的には、最初に専門家にヒアリングや現行規則の診断をしてもらい、問題点と作成方針のレポートを購入する。そして、そのレポートを下敷きにして自社直営の作業を進めていくというイメージです。
ただ、自社直営で完成してから専門家のチェックを受けるやり方は、大幅な修正で時間と費用が予想外にかかる可能性もありますのであまりお勧めできません。
既存の就業規則・社内規程の見直しと改定業務の基本的な流れは、右の流れ図のとおりです。
なお、企業設立や事業拡大に伴い就業規則・社内規程を新たに策定する場合は、流れ図から「既存の規則・規程の診断」をカットして、「改定」が「策定」になります。
見直し・改定の入り口となる「初回相談ヒアリング」では、改定案に盛り込みたいこと、現在の労務管理や働き方、現在感じている問題や違和感、将来的に懸念していることなどをお聴きします。
そして、改定後に想定される労務管理や働き方と現状とのギャップを把握した上で、既存の就業規則・社内規程の診断を行います。
改定内容の提示で、必要となる改定作業の規模とおおよそのスケジュールをお示しします。
社員説明会、労働基準監督署への改定版の届出については、当事務所での実施、企業での実施のサポートのいずれにも柔軟に対応します。
労働組合・過半数代表者からの意見書取得は、社会保険労務士が直接行えるものではないため、当事務所で行えるのは説明資料の作成などのサポートになります。
そして、納品後1年間のフォローとして、労働行政の動きや労働関係法令、社会保険などの情報を定期的に提供します。
厚生労働省助成金は、高齢者雇用、職業訓練・人材育成、有期契約社員の正社員転換といった今の企業経営にとって重要なテーマで設定され、労働条件の改善や社員のスキルアップに活用されています。
企業での教育・訓練への助成金を手厚くして、企業の取り組みを促進する流れはより強まっており、今年(2022年)4月には、大学院からサブスクリプション型サービスまでを広くカバーする「人材開発支援助成金(人の投資促進コース)」が新設されています。
また、最低賃金引上げ関連での「業務改善助成金(通常コース)」の特例的な要件緩和・拡充は、昨年度から継続中です。
補助金・助成金の別に捉われることなく、積極的な情報取集で活用できるものを見出して、柔軟に使い分けていくこと。
それが、企業の外部環境と内部環境それぞれにタイミングを外すことなく対応する施策を進めていくことに、少なからず貢献します。
助成金申請代行の流れは、右の流れ図のとおりですが、この流れ自体は、助成金を手掛ける他の社会保険労務士の先生や社労士法人と大きく変わらないものと考えています。
当事務所では、助成金への取組の入り口となる「初回相談ヒアリング」「助成金提案・方針決定」を重視します。その企業の現状や将来の事業展開の見込みから考えられる働き方などを考慮して、その企業に合った助成金を提案します。
助成対象事業の実施にあたっては、そこでの改善が企業に確実に定着していくよう、改善前の状態にリバウントしてしまうことがないようサポートしていきます。
企業での「働き方」と「生産性向上」の課題解決は進んでいますか?
当事務所では、次のような課題を解決して、そこでの変化(CHANGE)を企業にとってのさまざまな機会(CHANCE)につなげられるようコンサルティングサービスを提供しています。
テレワークやハイブリットワーク、出産・介護や病気のためにフルタイムで働けない社員の離職を回避するための勤務形態や処遇、副業・兼業などについて、企業の人材確保や生産性向上の点から今後、対応を進めていく必要性がより高まっていきます。
再来年(令和6年)から、建設業、自動車運転の業務、医師等にも時間外・休日労働の上限規制が適用されます。また、来年(令和5年)から、月60時間超の時間外労働の割増賃金率が50%以上となり、繁忙期などを長時間労働で乗り切る経営は難しくなります。
70歳までの就業機会確保の努力義務、令和7年の高年齢雇用継続給付の縮小開始などを考えると、定年後再雇用などの社員の役割・業務の再検討と、企業の賃金・評価制度を中長期的に持続可能とする取り組みが今後の企業経営の安定のために重要となります。
本業強化、業務再構築、それらのための新たな仕組み導入の前提として、業務の洗い出しと見直し、そして改善は必須です。これは、人事評価制度や人材育成の仕組みを整備する場合でも変わりません。また、5Sなどの現場改善を短期的な成果にこだわらずに継続することも重要です。
親族や社員への承継、スモールM&Aでの第三者承継のいずれでも、企業の労務管理のルール、評価や賃金決定の基準・方法などが見える化(明文化)されていないことは、円滑な承継の阻害要因となる可能性、承継後の経営リスクとして無視できないものです。
大学卒業後、事務系の公務員として北海道内の国の地方機関を中心に東京勤務、北海道への出向などを経験するうちに、この先自分に何ができるのか考えるようになりました。
紆余曲折あり、役所勤務との二足のわらじでゼロから社会保険労務士、中小企業診断士資格を独学で取得。
現在は、退職して個人事務所である新道東コンサルオフィスを開業。2022年5月に「新道東社労士オフィス」に事務所名を変更して、社労士業務に特化しています。
〇 札幌商工会議所会員(さっぽろサムライ倶楽部登録)
〇 特定社会保険労務士(北海道社会保険労務士会所属)
〇 ISMS(JIS Q 27001)審査員補
〇 中小企業診断士(資格休止中)